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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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王都郊外、想定外の“大規模実習隊”

王都を出て半日。

約束の集合地点──王都郊外の大きな草原に、メイヤたち三人は到着した。


「……え?ちょ、ちょっと……あれ全部?」


目の前に広がる光景に、メイヤの口がぽかんと開いた。


ずらりと並ぶ馬車、馬、装甲の厚い輸送車。

見たこともないほどの巨大な荷馬車列が、草原を埋め尽くさんばかりに隊列を組んでいる。


「え……多くない……?メイヤ、これ本当に“実習”だよね……?」


リディアも、剣の柄に置いた手が震えている。


ミュネも呆然として荷物を抱えたまま固まった。


「なんか……軍の遠征みたいなんだけど……?え、これ、私達のせい……?」


そのとき――


「おーい!こちらにおられましたか、メイヤ様、リディア様!」


低いが通る声が飛び、三人が振り向く。


近付いてきた男は、白金の鎧を身に着けていた。


「す、すみません……あの、その鎧……王室直轄……?」


「はい。王立近衛兵隊、派遣分隊長のラウフェンであります」


(近衛!? なんで近衛!? 護衛の最高峰じゃん!!)


メイヤが心の中で叫ぶ。


しかし驚く暇もなく、ラウフェンは次々と言った。


「今回の郊外実習の護衛として、我々近衛兵の他、世界商品登録機構より武装部隊並びに研究班、さらに学園所属の研究員や補助教員が同行しております」


「ちょっ……ちょっと待って!?なんでそんな大規模に!?」


さすがのリディアもツッコまずにいられない。


ラウフェンは困ったように微笑んだ。


「まあ……理由は“王家判断”ですので。詳細は伏せられております」


(絶対に騒動のせい……)


(うん。間違いなく私たちが起点のやつ……)


(領地に戻る原因、やっぱりそれ系……)


三人の胸のうちに同じ言葉が浮かんだ。


——————————


「ところで……同級生は?来てるんだよね?」


メイヤが恐る恐る聞くと、ラウフェンはうなずいた。


「はい。あなた方と同じクラスの生徒二十名。全員参加です」


「「全員!?」」


メイヤとリディアの声がハモる。


「え、だって……最後まで残ってた二十名って、みんな癖者というか……好奇心の塊というか……」


「無料で安全な旅付き、しかも実習扱い。学生なら絶対参加しますよねえ……」


ミュネの言葉に、ラウフェンは苦笑する。


「ただ……今はお会いさせるのは難しいかと」


「どうして?」


メイヤが首を傾げると、ラウフェンは周囲を一瞥しながら説明した。


「ご覧の通り、この規模です。王都から領地に向かう“初の編成”でもありますし、王様が近衛を中心に“商隊構成”を整えられました。つまり、軍事・商業・学術が混合した異例の大隊なのです」


「……初めての組み合わせってことは、まとめるの大変なんだ?」


「ええ。今この場でバラけられると、隊列の再編が不可能になります。規模的に、一人探すだけでも一時間はかかるでしょう」


三人は草原に広がる行列を見渡した。


見渡しても見渡しても終わりが見えない。


荷馬車だけでも二百近い。

護衛・研究員を合わせれば軽く五百を超える。


「これは……確かに“会いたい”とは言いにくい……」


そう呟いたメイヤに、ラウフェンは柔らかく笑った。


「安心を。道中で休憩を挟みますし、初日の宿営地で合流時間を設ける予定です」


「……よかったぁ」


三人が胸を撫でおろしたところで、別の近衛兵が駆け寄った。


「ラウフェン隊長!列の再編完了したとのことです!」


「了解。では、メイヤ様、リディア様、ミュネ様。あなた方は私の馬車へお乗りください。特別指定の“中央防護区”となっておりますので」


「中央防護区……そんなのまであるんだ……」


「ええ。王命で。──“絶対に守れ”とのことです」


王という権力の重みが、静かに三人へと降りかかる。


(やっぱり、ただの実習じゃない……)


(完全に“保護されてる”んだ……)


でも。


メイヤはぐっと拳を握った。


「……いいよ。守られるだけじゃなくて、ちゃんとやることやる。領地に帰るんだもん。準備だって、迎える覚悟だって必要だよね」


リディアとミュネも頷く。


「うん。私達も忙しくなるよ」


「ご飯もいっぱい作らなきゃね。なんせ、この人数だから……」


ラウフェンは三人の気概を感じ取り、誇らしげに頭を下げた。


「では──帰還隊、出発します!」


その瞬間。


号令が草原に響き渡り、巨大な隊列がゆっくりと動き始めた。


王都での“夢のような日々”に幕が下り、

新たな“領地大改革の現場”へ向けて、三人の旅が始まる。

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