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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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突然告げられた“郊外実習”

王都での生活は、まさに夢のようだった。


市場に並ぶ珍しい品々。

学園図書館の果てしない蔵書。

王都料理の奥深い味。


そして何より――

「見たことのない世界」が、次から次へと目の前に広がる。


メイヤもリディアも、毎朝起きるたびに胸がふわふわしていた。


そんなある日。


教室の扉が、勢いよく開いた。


「はいはーい!注目ーーっ!」


パンパカパーーーーーン!!

と、自前の効果音をつけながら入室してきたのは、よりによってせれだった。


(この人、こういう時だけテンション高い……)


嫌な予感しかしない二人。


せれは胸を張り、宣言した。


「メイヤ、リディア!あなた達、郊外実習という名目で領地に戻りまーす!!」


「………………え?」


二人の声が完全にそろった。


セレステは指を立て、くるっと回転しながら続ける。


教師は言う


「いやーめでたいねっ!学園長からも承認がおりましたぁ!!安全!健全!教育的観点から見ても問題なしっ!」


「め、めでたくないよ!!」


「まだ見たいところいっぱいあったのに……!」


抗議する姉妹をよそに、セレステは爽やかに笑った。


(あー、これは絶対“めでたくない理由”が裏にあるやつだ……)


と、姉妹は薄々理解していたが、セレステの勢いに押され何も言えない。


セレステは机に手をつき、小声で。


「理由は……まあ“保護”よ。詳しいことは言えないけど、王都は少しばかり騒がしくなるからね」


二人は顔を見合わせる。


やっぱりそうか、と。


——————————


メイヤはほんの少し、肩を落とした。


「人材確保……まだ全然できてないのに……」


それを聞いたセレステは、ポンとメイヤの頭に手を置いた。


「安心しなさい。実習募集をかけるわ。王都の生徒からもね。」


「えっ?」


「費用は全部“学校持ち”。希望者にはみっちり現地訓練をさせるから……何人来るかはわからないけど、かなり有能なのが揃うと思うわよ?」


メイヤの目がぱちぱちと瞬き、やがてゆっくり開いた。


「ほ、本当に……?」


「本当よ。学園にとっても、現地での長期実習は良い経験になるからね」


その言葉を聞いた瞬間――


リディアがポンっと手を叩いた。


「じゃあ、準備しなきゃだね!帰ったら忙しくなるよ、メイヤ!」


メイヤは少しだけ考え、それから大きく、深く、うなずいた。


「……うん!戻ろう。領地が待ってるもんね!」


リディアはくるりと踵を返しながら、にんまり笑った。


「じゃあ決まり!荷物まとめておきなさいよー?出発は急よ!」


そして去り際に、

小さく、しかし確かな声で呟いた。


「――守るためよ。あんた達をね」


誰にも聞こえない声で。

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