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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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旅立ちの前準備と王都への道

試験日が近づくにつれ、メイヤとリディアの生活はますます規則正しく、密度を増していった。


朝は日が昇りきる前、軽いマラソンから始まる。基礎体力をつけるための腕立て、スクワット。

その後は剣術・棒術・新型弓具――クロスボウの基礎訓練。


午前の学科授業では、2人の苦手分野を徹底的に潰す反復学習。

昼食後の休憩を挟み、午後はお互いの得意分野を教え合う。

そして夜は、その日の反省点のチェック。


忙しい日々の中でも、メイヤの“農業改革”は止まらなかった。


◆◆◆


「ひよこたちは元気ね。そろそろ餌に混ぜる量を増やしてもいいわ」


メイヤは手際よく餌を混ぜながら、リディアに説明する。


集めていた鶏糞は、発酵を進めて肥料づくりが順調。

毎日の温度管理も、今やリディアが一人でできるようになっていた。


八十八穀の初収穫も終え、籾殻・糠・藁の再利用方法も村人たちへ指導済みだ。


「糠は撒けば肥料に。藁は敷き藁、堆肥、家畜の寝床にも使えるからね」


メイヤは小さな身体に似合わぬ、大人の農家顔負けの知識量で、丁寧に教えていく。


収穫した八十八穀は、炊飯、粥、餅、薄焼きなど、様々な料理に調理して村人たちに試食させた。


「うまいなこれ! 今までの穀物よりずっと食べやすい!」

「腹持ちもいいですな! 子供にも喜ばれますぞ!」


高評価の声が続々と上がった。


領主家や使用人たちからも大好評。

その結果――


「……水田開発、本格的に始めるぞ」


父アルトリウスの鶴の一声で、大規模な湿地の開拓が正式決定した。


◆◆◆


さらに追い風となったのは、ホクホク芋の収穫だ。


「掘るの簡単だし、放っといても育ってくれるんだなこの芋!」

「煮ても焼いても美味しいぞこれ!」


村人たちも笑顔が絶えない。


掘りたての芋を寝かせることで甘味が増すこと、茎の調理法、芋を使った保存食――

メイヤは惜しみなく知識を伝えていった。


「これなら、畑がなくても育てられるだろ? 裏庭とかでもできるはず!」


「すごい……! これならもしもの時に食料に困らないわ!」


農家だけでなく、町の住民も栽培を始めるほどの大人気となった。


田畑はそのまま活かされ、新たにできた肥料をすき込むことで土壌改善も進む。


こうして、領地全体が確実に“豊かさ”へと向かい始めていた。


◆◆◆


そして――


試験のための王都行きの日が近づいた。


「――私は一足先に王都へ向かうわ。あなたたちの到着……楽しみにしているわね」


セレステは、いつもの微笑みを浮かべながら意味深に言う。


メイヤとリディアは首をかしげたが、詳しい説明はない。


「……なんかセレステ様、楽しそうだったね」

「学園の先生たちにも何か言ってるのかも……?」


何かを企んでいるような、楽しみにしているような……。

2人は少しだけ胸がざわついた。


◆◆◆


王都へ向かうのは、メイヤ、リディア、そして侍女ミュネの3名。


そして同行するのは、商人ロウガの商隊だ。


「今回も任せてくださいよ、メイヤ様。荷馬車も護衛も、万全でっせ!」


ロウガは胸を叩きながら笑った。


一行はエドラン領を経由して王都へ向かう予定で、アルトリウスからはエドラン領主へ挨拶文が預けられている。


「メイヤ様、領主からのお手紙はこちらです。大切にお持ちくださいませ」


ミュネが丁寧に封筒を差し出し、メイヤは大事そうに胸に抱えた。


父の名代として他領へ挨拶に行く――

これは、領主の娘としての重大な責務。


「……がんばらないと」


メイヤは小さく拳を握った。


リディアも隣で笑う。


「大丈夫だよメイヤ。私もいるから!」


暖かい風が吹き、馬車の帆を揺らした。


こうして――


試験という大きな節目を前に、

姉妹は初めて“自分たちだけで旅をする”日を迎えるのであった。

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