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【完結】神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~   作者: 川原 源明
第7章 動き出す友の病治療

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第91話 サウススペルン

 帝都グリーサを出発し、馬車に揺られること数刻後。


 サウススペルンの城壁の中に入り、馬車降車場で降りた私は、辺りを見渡した。


 いくつか気づいたことがある。


 人族よりもリンクル族、ドワーフ族、エルフ族、獣人族が多い気がする。


「何か気になることがありますか?」


 横にいたイリーナが私に尋ねた。


「なんか人族が少なくて、他の種族の人が多い?」


「そうですね、サウススペルンは獣人、リンクル、ドワーフの割合が高いと思いますよ。エルフの方々は町の南にある森の中に集落があって、そこからよく来られますね」


「なんか理由があったりするんですか?」


「ありますよ~。ルマーン革命の話は知っていますか?」


 ミントとアクアからいろいろな話を聞いているから、知っている。


「精霊さんから聞いています」


「そうなんですね。ここは革命軍最大の拠点だったんですよ。そのため、人族だけではなく各地からさまざまな種族の方々が集まったんです」


「すると革命が終わった後も、ここに住む人が多かったってことですか?」


「そうです。こっちに来てください」


 イリーナの後についていくと、大通りに出た。そこから中心部の方を見ると城壁が見えた。そして、その奥にも白い城壁があった。


「四枚の城壁に囲まれている……?」


「そうです。一番内側の二枚の白い城壁はスペルン王朝時代の物なんですよ。そして三枚目の城壁は革命以前のもので、一番外側の城壁は革命時にリタさんが精霊さんとともに作ったんです」


 精霊と一緒に……ということは、まん丸が作ったのだろう。


「へぇ~」


「ちなみに三枚目と四枚目の城壁の間にある建物も、リタさんと精霊さんが作った建物で、内側とはまったく違う建築様式なんですよ」


「へぇ……」


 降車場近くの建物は、三階建ての建物が多く並んでいた。


「もしかして寮と似たような感じなんですかね?」


「そうですよ。単身用の棟、ファミリー用の棟と、いろいろな間取りがあるんですよ」


「へぇ……兵舎みたいなものだったってことですかね?」


「そうですよ。なので近年は一番外側は住居区として使われていますし、商業区などにも活用されているんですよ。目的の治癒院は、住居区と商業区の城壁手前にあります。行きましょうか」


「はい」


 イリーナの後についていく。外側の城壁から、次の城壁まではかなり距離がある気がする。


「帝都より広かったりするんですかね?」


「帝都ほどではありませんが、この国では二番目の広さと人口を誇る都市になっています。帝都まで馬車で三時間ほどですからね。サウススペルンの先には大きな港もありますし、東側に住む人たちがキラベル方面よりこちらのルートで帝都に向かうことが多いので、人の往来も多いですよ」


「へぇ~」


「特に帝都の収穫祭期間は、この町もけっこう混むんですよ」


「え? そうなんですか?」


「帝都で宿を取れなかった人たちが、この町で宿を取るんです」


「近いからここで一泊してってこと?」


「そうですね」


「スペルン遺跡も近いんですか?」


「遺跡なら、西門を出てすぐの所にありますよ」


『この町はね~、スペルン王朝時代の衛星都市だったんだ~』


「衛星都市?」


『そうだよ~。遺跡の方には王に近い者たちが住んでて、こっちは兵士の家族や食料の貯蔵庫なんかがあったんだよ~』


 なんかイリーナとまん丸の話を聞いていて、町の成り立ちを知るのも興味がわいてきた。


「はぁ~」


「精霊さんから何か聞けました?」


「王朝時代は衛星都市としてって」


「そうですね。歩いて二十分くらいのところに遺跡がありますからね」


 イリーナの足が止まった。


「ここが、サウススペルン治癒院になります」


 イリーナが見上げている建物を見ると、周辺の住居とはまた違った感じで、真っ白な外壁の建物だった。


「ここだけ周辺と違いますね」


「ここはリタさんが錬金科の教師をしていた頃に、治癒院として建て直した場所ですからね」


「目立つのはそのためなんですか?」


「そうですよ。治癒院目的の人が迷わないようにという意図です。ちなみに各地の治癒院も、白い外壁とあのマークで統一されています」


 あのマークと指さした先には、二枚のヒール草がクロスし、その上から白い鳥が両翼で包み込むようなシンボルマークがあった。


「ヒール草と白い鳥?」


「白い鳥はホワイトダヴ、平和の象徴を意味しているんですよ」


「へぇ」


「どんな状況下でも、あのシンボルを掲げる者を攻撃してはならないっていう意味もあるんです」


「え?」


「そのシンボルの元には、怪我人や病人がいますよっていう意味もあるんです。そんな場所を攻撃したら……」


 治癒院に来るのは治癒師か、病人や怪我人。つまり、そういうことだろう。


「世間に非難されるってことですね」


「そういうことです。中に入りましょうか」


 木製の扉を開けて中に入ると、広いロビーが広がっていた。


「面白い」「続きが気になる」「応援する!」と思っていただけたら、


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