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【完結】神様と呼ばれた精霊医 ~その癒しは奇跡か、祝福か~   作者: 川原 源明
第21章 世界へ

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第397話 倭国へ

数日後、倭国へ出発する日


 朝から港に来ていた。


 海風が吹き、波が穏やかに揺れている。青い空が広がる。


「イリーナ先生、今回も去年乗った船ですか?」


「えぇ、その予定ですよ」


『ラミナ、以前レリッシュ大陸に渡ったときの船で行きませんか?』


 私自身もそう思って、イリーナに確認をした。


「先生、去年レリッシュ大陸に行ったときの船を使いません?」


「ん~、ラミナさんと精霊さん達の負担にならないなら私としてもそちらの方が嬉しいのですが……」


『ボクは大丈夫!』


『うちも構わんで』


『私としては自前の船で移動の方が気楽でいいですね』


『だな、俺も余計な気遣いしなくて良い分アクアと同意見だな』


『ボクも良いよ~』


 エセリアはニコニコしながら頷いていた。柔らかな笑顔。


 精霊達は全員OKの様子。


「精霊達は全員OKだそうです」


「それではお願いして良いですか?」


「はい」


 カバンから船を出し海に浮かべタラップを架けた。船が現れ、ザバァと水しぶきが上がる。


「ラミナちゃん!」


「ん?」


 振り返ると、宿屋兼大衆食堂の店主のリズさんをはじめ多くの人が居た。見知った顔、笑顔。


「これを持って行きなさい」


 そう言って渡されたのはちょっと大きな包みだった。温かい感触。


「これは?ドラゴンの串焼きとハンバーグの詰め合わせさ、あんた好きだっただろ」


 確かに串焼きは私の好物だが、ドラゴンハンバーグは私というよりはフゥとまん丸の好物だ。


「あ~、ありがとうございます、って良いんですか?」


「いいよ、ここに居る皆があんたに怪我やら病気を治して貰ってんだ、守備隊の連中なんかは全員だろ?」


「まぁな」


 誰が守備隊のメンバーなのかは知らないけれど、見知った面々が集まっていた。


 ファラの姿が見えないけれど……?首を傾げる。


「ありがとうございます!あとで皆で美味しく頂きます」


「そうしておくれ、また遊びに来なさいよ」


「努力します!」


「ッフッフフ、行ってらっしゃい」


 リズが優しく笑う。


「はい!行ってきます!」


 リズから受け取った包みを大事に抱えつつ船に乗り、タラップを外した。ガタンと、板が外れる音。


『それでは出航しましょう!』


 アクアが言うと、ミントたちドライアドが帆を張り、フゥが風を起こし船が徐々に加速し始めた。バタバタと、帆が風を受ける音。


「皆お元気で!」


 手を振る。


「「「あんたらもな!」」」


 徐々に遠ざかる、ポートリタ、約十ヶ月の期間を過ごしたけれど、ファラも居てとても楽しい時間だった。胸が温かくなる。


『ラミナ、リアナの方に寄ってあげてくれない?』


 クゥかセレスから念話が飛んできた。


「アクア、航路を一旦リアナに向けてくれる?」


『わかりました』


 数十分後、リアナの城壁が見えてきた。灰色の壁が、海に浮かぶ。


 城壁の上にはリアナと、グリフォンたちが迎えてくれた。羽を広げ、鳴いている。


「リアナ~!元気でね!」


 コクコク頷くリアナ、結局最後まで声を聞くことが出来なかったな、なんて思っていると、一番大きなグリフォンの背に乗ったファラが現れた。


「ラミナ!受け取れよ!」

 

 そう言って、上空からファラが何かを投げた。


「ぇ!?」


 突然のことで慌てたが、上手くキャッチ出来、海に落とさずに済んだ。柔らかな布の感触。


「新しいリボンだ!元気でな!」


 今まで使っていたのは確かにボロくはなっていたけども……。胸が熱くなる。


「姉さん!ありがと~!姉さんも元気でね!」


「あぁ!」


 別れが済むと、船の針路が変わった。


 リアナの町が見えなくなるまで手を振り続けた。腕が疲れても、振り続ける。


「ラミナは、ファラ先輩のこと姉さんって呼んでるんだ」


 リアナの町が見えなくなると、ミアンから聞かれた。


「うん、何というか、私にとって面倒見の良い姉みたいな人だから」


「そうだね~、ファラ先輩凄く面倒見良いよね~」


 ミアンが微笑む。


「うん」


「ファラさんの一番良いところはそこですからね、どんなことでも後輩には知識や経験を全て伝えるんですよ」


 イリーナが言う。


「学生時代ですか?」


「えぇ、ファラさんを慕う子は結構多かったですからね、特に後輩女子にはモテモテでしたよ」


「あ~なんとなく解る、しゃべり方が男性っぽいし、面倒見が良いから同性から凄く持てそうですよね」


「えぇ、そうなんです。その中で一番気に掛けていたのがラミナさんでしたね」


「ぇ?そうなんですか?」


 驚いて目を見開く。


「えぇ、ラミナさんが入ってしばらくした頃でしたかね、ヴィッシュ先生に、詰め寄ってたことがあったんですよ」


「ぇ?なんで?」


「"お前はあの子を殺人者にするつもりか!"って大声で怒鳴ってたことがありましたね」


 なぜそうなる!?


「ぇ?なんで!?」


 声が上ずる。


「お腹を切る出産を始めた頃で、どこで耳に入れたのか分りませんが、そんなことをヴィッシュ先生に言っていたことがあったんです。それからですかね、クラブ活動とかでもラミナさんを気に掛けていたのは」


 クラブ活動の時は、いつも終始話ししていた記憶しか無いからなぁ。そんな裏が会ったとは思わなかった。


「ラミナは愛されているね~」


「ん~、かな……」


 そんな心配してくれてたのは嬉しいが、無用な心配をさせたようでちょっと微妙な気持ちだった。


 でも、温かい気持ちの方が大きい。


 ファラ姉さん、ありがとう。


 心の中で呟く。


 新しいリボンを握りしめる。


 大切にしよう。


 そう思った。


 船が進む。波を切る音が響く。


 ポートリタが、遠ざかっていく。


 でも、また会える。


 そう信じて、私は前を向いた。


 倭国へ。


 新しい場所へ。


 新しい冒険が、待っている。


読んでくれてありがとうございます!


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