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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
御庭番、有坂民部

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Another View 神庭幸太郎

明和6年4月7日 長門萩 萩城下


義兄の言いつけで長門へ出向くこととなり、随行する陸奥屋と綿密な打ち合わせと情報交換をし、準備が整ったのが1日、小倉から船で須佐へ向かい、2日に到着。陸奥屋の取引先である須佐の製鉄業者にて買い付けを行った。


その際、得た情報によると最近砂鉄が入手し辛くなり生産量が落ちているため、長門の製鉄業者が難儀しているとのこと。それと合わせて耐火粘土も入手し辛く、たたら炉造りだけでなく窯業関係も難儀しているらしい。


二つの情報を総合すると反射炉と高炉に資材を集中しているのは明らかであった。


砂鉄が藩による統制で在来製鉄業者に流通しなくなったせいで長門は鉄製品の供給が需要を満たせなくなり高騰しているそうだ。そして、周防も徐々にその影響を受け始めていて農民たちを中心に不満が出ているという。


周防は備前などから瀬戸内航路経由でいくらか供給されていることで若干の不足で済んでいるが、長門の不足と高騰は深刻なもので、農繁期に突入するこの時期に農具に不安を抱える農民が庄屋などに救済を要求し、庄屋も頭を抱えているという。


想定外の事態の推移であり、さすがの義兄もこんな状況になっているとは思いもしなかっただろう。


4日に萩に移動し、陸奥屋が懇意にしている地元の旅籠で聞き取り調査をすると須佐で仕入れた情報を裏付ける結果が得られた。


また、砂鉄が萩城へ運び込まれていることも確証を得た。ただ、義兄の言う反射炉は見当たらなかった。特徴的な煉瓦造りの煙突が見当たらない。城内の奥深くに設置されているのかもしれない。天守閣などが目隠しに使われていて見えないのであろうか?


なお、萩焼の窯元が藩命で耐火煉瓦を増産しているらしいという話を得たので、6日に窯元へ出向き、裏付けを取った。


これらの情報から反射炉は現状において稼動状態ではなく、実証段階もしくは資材物資の集積をしている段階であると推定結論を出した。


手元の金子は元は義兄のものだが、土産の一つに萩焼でも買って帰ってやろうと思う。

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