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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
幕閣への道

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山吹色のお菓子

明和6年1月1日夜 江戸 新橋 有坂民部邸


年始の挨拶に来た人たちとのアレとかソレとかやっと終わった。なんか江戸市中の大店が列をなしていたのが兎に角面倒だった・・・。


そう、マジで連中、山吹色のお菓子持ってくるんだもの。ありがたいんだけど、明らかに罠だとしか思えないんだよ。これ、どうするよ・・・。今日一日で1500両も献金されたんだけど・・・。明日も恐らくまだ来るだろうから松の内だけで知行+役料の6000両を超えるんじゃないかな・・・。


「おーい、結奈ー。」


「なにかしら?私忙しいのだけれど?」


結奈は結奈で不機嫌だし・・・まぁ、あれだけの訪問客だもんな・・・家事を取り仕切ってるからその苦労や・・・まぁ、私は手出ししないし、したら結奈の怒りを買うだけだからねぇ・・・。


「あー、すまない。」


「まぁ、いいわ。私も旦那様に聞きたいことがあるのだけれど?いいかしら?」


「かまわないよ。」


「隣の部屋にある、山吹色の饅頭とか最中、何アレ?」


「うん、それについて話をしようと呼んだのだけれど・・・。」


「返してきなさい。」


それが正しい反応だと思うよ。


「やっぱ、そう思うよねぇ。一応、私個人は受け取れないから、幕府への献金として受け取ると受領書を発行したけれど・・・いくらあると思う?」


「そうね、足元掬われないためにはそれが賢明よ。ざっと1000両はあるんじゃない?」


「1500両あるんだよ。うちの幕府から頂いている年収の25%。多分、明日も同じくらい来るんじゃないかな?」


「2日で3000両って・・・いくらなんでも多過ぎでしょう・・・。御城でも他のお奉行様方に目をつけられたのでしょう?」


そう、そこなんだよねぇ。明らかにこの献金の額ではスキャンダルをでっち上げるためのソレとしか・・・。


「まぁねぇ。でも、越後屋三井はまだ挨拶に来ていないんだよね。他のところは直接関わりがなかったけれど・・・。今後材木問屋は懇意にしないといけないんだろうけれど・・・。」


「旦那様?この献金、幕府への献金として受け取ったなら、幕府のために役立てて、江戸の民のために使ったらどうかしら?」


「どういうこと?御城の御金蔵に納めるんじゃないの?」


結奈、何を企んでるんだ?普段は細い目が爛々と輝いて獲物を仕留めようとしてるネコ科の動物みたいに開いてるんだが・・・ぶっちゃけ怖い・・・。こんな結奈見たことがない・・・。


「罠なら掛かってあげれば良いのよ。備蓄米を購入して幕府鉄道奉行名義で非常時に放出すると布告すれば良いのよ。もしくは、町奉行に購入した備蓄米を現物で寄付して、管理はうちの蔵にしたらいいじゃない?」


「なるほど、江戸市中の民を味方につけてしまうってことか。」


「すぐに飢饉が来なくても、恐らく明和の大火は起きるのだろうから、その時に効果を発揮すると思うわ。」


ふむ。それなら幕閣や各奉行なども文句をつけられない。まして、スキャンダルにしようにも、江戸市中へ放出すると布告してしまえば良い。


「よし、今夜は徹夜で高札書くから、結奈も手伝ってくれ。明日の朝一番に江戸中の高札場に布告してやろう。」


「わかったわ。そういうことなら、いくらでも協力するわ。」


なんだか、とってもハイになってきたぞ。結奈もやる気だし、最初の難関は難なく突破出来る気がする。

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