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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
松江藩での日々

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砂糖調達 (改題&書き直し)

高松藩での砂糖国産化について、歴史上の出来事と齟齬が生じていますので、書き直しています。

明和5年5月1日夕方 出雲松江 松江城


今日は現地視察と庄屋、網元などとの会見で恵曇まで出掛けてきて、今し方松江城内の自室に戻ってきたのだが、戻るなり源ちゃんが顔を出してきた。一体何ごとであるのか?急ぎの用件なんて今はなかったと思うけれど。


「総さん、高松まで船を出してもらえないかい?」


「高松って、讃岐の高松?この間周旋失敗したのに、また行くの?今度は高松の殿様に無礼討ちされるんじゃない?」


「いや、殿様に会いに行くんじゃねぇんだ。」


「じゃあ、何しに行くの?高松藩が味方になってくれないんじゃ、高松は我らに価値はないよ?」


「砂糖を買い付けに行くのさ。」


「砂糖って?そんなもんがあるの?高松に?」


記憶にないし、砂糖って薩摩とかのイメージなんだが、ひょっとして私が知らないだけなのかも・・・。


「オレっちが高松藩に居た頃に砂糖の普及と国産化開発に関わっていたんだ。どれだけ生産できるようになったかは行ってみないとわからねぇけども、多少は手に入るはずだ。」


「嘘、本当に?」


「本当だよ。藩の専売だけど、有坂海運という商社として買い付けるならオレっちはあくまでも仲介者であって、高松藩には害をなすわけじゃない。それくらいはあの殿様でも許してくれるさ。」


「その砂糖、なんに使うの?」


「昼に城下の菓子舗に行ったら、不昧公に買い占められて菓子を一つも買えなかったのさ。」


あぁ、不昧公のアレか・・・。なるほど、和三盆は和菓子の大事な材料だもんなぁ。しかし、不昧公が財政再建してから茶人として好き勝手しているかと思っていたけれど、もうこの時点でも好き勝手してたんだな・・・。


「いいよ、この機会に松江を菓子産業を成長させよう。供給が増えれば京や大坂に売ることも出来るしね。有坂海運の積荷も増える。」


「それじゃあ、観光丸で高松まで行ってくるよ。」


「ついでに恵曇に石炭を運んできてね。」

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