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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
明和の政変

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江戸政変秋の陣<23> 大久保忠顕の野望

明和9年10月5日 横浜駅


 幕府側の転生者だと発覚した小田原藩主大久保加賀守忠顕。


 彼はもとよりこの世界にいる存在である。結奈の本体である結衣の様な転移者ではなく、魂や記憶の憑依した存在……結奈と同じである。


「御三家御三卿と協調する兆候がある諸侯の動静を監視せよ」


「しかし、監視と言われましても……」


「もそっと頭を働かせよ……昨今の幕府の主導する行政及び経済政策で利を得ておるのは我ら上野、下野、武蔵、相模の諸藩と奥羽諸藩ぞ……ならば、その利を得来ておらぬ存在……そうじゃな、例えば……房総や常州の諸藩はどうだ?彼らは未だ鉄道の理を得ておらぬ。その利を求めてどちらかにつくとは思わぬか?」


「……されば諸侯の力関係を勘案しまして……佐倉の堀田相模殿……それ以外は石高も小さく無視してよいかと……」


「左様であろう?」


「関東以外であれば……西南雄藩……長州、薩摩、芸州、肥前、肥後……」


「そうじゃな……だが、長州は無視しても良かろう……先の一件で幕府に表立って抵抗など出来であろう。今はな……。問題は、肥前と薩摩だ。連中は幕府に貿易利権を掠め取られておるからな。幕府が密貿易しておることくらい周知の事実であるからな。まぁ、幕府も両藩に直接影響するような取引はしておらぬから恨みを買っておるとは思わぬが、自分たちよりも実入りが多いとなると気に食わんと思うのが人の情である」


「確かに左様でございますな……しかし、芸州と肥後は?」


「わからんか?両方とも危険な輩のすぐ横であろう!引きずられかねんし、力関係が崩れたら取り込まれるか裏切るであろうが!」


「なるほど……しかし、殿、いつ、そのような知識を蓄えられたのでございますか?我らいつもお側仕えしておりますにそのようなご様子は……」


「……その方らは余を何だと思っておるのだ?幼少とて見聞き覚えることくらい出来る。そしてそこから頭を使えばおのずとわかるであろう!」


 彼は調子に乗ってメタ情報から引き出したそれを突っ込まれてしまった。小出しにする程度ならば問題ないが、リンクさせてべらべらと講釈を垂れるのは非常に危険なのだ。特に藩主ともあろう立場になれば四六時中誰かが側にいる。


「わかったのであれば、さっさと監視任務につけ!民部に恩を売るためにもな!」


 彼、大久保忠顕の腹の底には一体どんな考えがあるのか……今はまだわからない。

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