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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
明和の政変

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江戸政変秋の陣<18> 有坂民部って胡散臭い奴がウゼェby小田原藩士

明和9年10月5日 小田原兵団本隊


「民部殿、物見の報告によると敵別働隊の横撃によって井伊兵団が必死の抵抗をして双方に想定以上の損害が出ておる様だと……」


「民部殿、これでは釣り野伏が実行出来ぬぞ?」


 物見からの報告と御庭番からの中継伝令で三宅坂の状況が思ったよりも悪いことで小田原兵団の軍議は紛糾していた。


 物見によると敵本隊と敵別働隊は三宅坂彦根藩邸前にて再編成中であり、すぐに追撃を開始しそうにはないとのことであったため、釣り野伏を発動するには状況が悪過ぎ、今すぐに動くわけにはいかない状況だったからだ。


「民部殿、黙っていないで何かござらんか?」


「左様、釣り野伏を発案したのは貴殿でござるぞ?」


「我ら小田原藩兵は殿の命で貴殿に従っておるが、我らとて兵の命を預かっておるのだぞ」


「今、我らが仕掛ければ会津・井伊の幕府軍本隊も動くであろう?民部殿、釣り野伏を捨て、単純な挟撃にしようではないか?」


 小田原藩士が次々に言葉を投げかける。


「今少し待たれよ、敵の、そして味方の動きを見てから判断しても遅くない。我らは全員が歩兵銃を装備しておるのだ。焦らずとも敵を殲滅するのは容易いのだから」


「であるならば、今すぐにでも襲撃すれば良いではないか?再編成中の軍ほど脆いものはない!」


「左様、我らは本隊、別働隊とも、すぐにでも挟撃出来る場所におるのだぞ!」


「諸将、今動いては敵を一網打尽に出来ないのだ。ただ、敵を討つだけなら江戸城に籠らせるのが一番簡単ではないか?態々、敵が動いてきたのだ。叛徒の片割れを完全に撃滅すれば諸大名にも幕府に逆らうと皆殺しだと恐怖を与えることになる。そうでなければならんのだ、その好機を捨てるなど何のためにここまで出向いたのかわからんではないか!」


 今回のクーデターを未然に防がず決起させた最大の理由、御三家御三卿を一度で始末し、危険な西南雄藩に幕府の武力が強大であることを思い知らせることだ。所謂、薩長土肥の幕末で討幕を主導した連中向けのデモンストレーションである以上、中途半端な追討では効果が薄い。


「では、どうするのだ?」


「もう少し待つ。もし、敵が退くのであれば、黙って江戸城へ入らせ、城を枕に討ち死にさせる。敵が前進するならば、その時は釣り野伏で包囲殲滅だ。容赦など要らん。例え、降伏しようが皆射殺せよ!」


「民部殿がそこまで言うのであれば従おう。だが、判断を誤った場合は、指揮権はお返し頂く。御身の扱いは我らが殿にお預けするがそれでよいか?」


「構わぬ」

 

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