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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
明和の政変

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江戸政変秋の陣<8> 民部殿、某のこと覚えておりますかな?by御庭番

明和9年10月5日 江戸外環鉄道 赤坂駅


「全員、降車完了!」


「降車完了、列車回送発車!」


「続いてユ9002レ入線!ホーム注意!」


 駅職員と車掌のやり取りと注意喚起が行われる。


 私が直率する小田原兵団本隊400名が赤坂駅に到着、駅前にて整列している。次に到着するユ9002レに第一中隊300名、ユ9003レに第二中隊300名が分乗している。


 それぞれの輸送列車は10分続行で運行されている。1時間後には赤坂駅に小田原兵団1000名が完全武装で行動可能になる。


 赤坂駅員の情報によると15分前に敵の水戸第二兵団が赤坂駅周辺を通過したという。


「進言したき儀これあり」


 小田原藩士が進言をしてくる。


「何か?」


「本隊はこのまま進撃し、井伊兵団と協同し敵第二兵団を挟撃、第一中隊、第二中隊を市ヶ谷、四谷へ急行させ、敵の退路を断ち、井伊兵団、本隊、第一中隊、第二中隊の総力をもって敵を半蔵門へ追い込むべきかと存じます!」


 確かに敵第二兵団はこちらとほぼ同数、ならば戦端を切った直後に後ろから奇襲をかけることが出来る。単純に火力だけでいえば三八モドキなら次弾装填なしで2000発を撃ち込むことが出来る。それだけでも総崩れしかねないだろう。


 おそらく、敵は目前の井伊兵団が目障りだから潰すという意図で動いているのではない。明らかに江戸城にいる味方の一橋兵団を無視して、自力で霞が関を叩き潰そうと考えている。だからこそ、後詰の兵を第二兵団として戦線投入している。


「半蔵門に追い込むのではなく、半蔵門から引きずり出して包囲殲滅するのだ!井伊兵団に使いを出せ!頃合いを見て霞が関へ撤退せよと!」


「ですが、それですと各隊の連携が……」


「ならば、我らが動かなければよい。なに、まもなくユ9002レ、ユ9003レも到着する。」


「ユ9002レ、入線!」


「当初予定通り、下車させよ!」


 その後、ユ9003レも到着し、総勢1000名が揃った。


「これより、部隊を二手に分ける。本隊はこのまま400名、第一中隊、第二中隊を別働隊600名とし、本隊はこのまま赤坂より三宅坂を目指し、井伊兵団を援護。別働隊は四谷方面を経由し半蔵門へ迎え」


 問題は敵の哨戒網だが……。


「桜田門の江戸警視庁から使いの者が参っております」


「通せ」


 江戸警視庁……いったい誰が?


「民部殿、お久しゅうございますな、長州以来ですかな?」


「なんと……貴殿は……」


 以前の長州の一件で協力しあった御庭番の一人であった。


「我が部下を数名連れてきた故、使ってくだされ……来る途中、水戸の物見をいくつか潰しましたがな」


 これで役者は揃った。


「早速だが、赤坂から半蔵門へ至る道中の敵の物見を排除していただきたい!」


「では、早速……」


 さすが御庭番。あっという間に姿を消してしまった。


「民部殿、我らは……」


「移動しつつ、御庭番衆の情報に従って行動するとしよう」

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