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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
国有鉄道への道

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通信の高速化には江戸のシンボルタワーが必要!

明和8年10月18日 江戸 新橋 有坂民部邸


 謹慎開始から2日目。


 じっとしていろと言われてじっとしている様な人間ではないので、早速1日目にして無線通信の実用化を企む。


 電気通信………有線通信と無線通信の二種類があるが、パラゴムノキが手に入らず、ガタパーチャが手に入るという誤算で理想的絶縁体の実用化に暗雲が立ち込めた結果、当面は電気通信の実用化を後回しにしようと思ったのこの明和8年であった。


 しかし、一昨日16日の脅迫状の一件で電気通信、特に無線通信を実用化させることを決意した。


 そう、このまま事態が悪化すれば……旗本などの不満分子による鉄道破壊や有坂民部邸、鉄道奉行所、大江戸鉄道本社への襲撃が起きるのは確実。特に橋梁や駅、線路などの重要物へのテロなんか起こされたらたまったもんじゃない。


 場合によっては、爆破予告とかされて時間がないときなどに至っては、通信速度がそのまま事態進行に影響する。


 そう考えた結果、拠点間通信手段を築く必要性に迫られた。秘匿性の高い通信を瞬時に送り、体制を整えることが出来ることの重要性が否応にも増してきたことを痛感したからだ。


 有線通信では絶縁体の実用化に手間取ることが確実で、しかも、電線切断などで通信途絶の危険性が高いことを考慮しないといけないことから選択肢には入っていない。最初から無線通信しか選択肢は存在していないのだった。


 史実においてイギリスは海底電線で通信網を確立し、遠隔地からの情報があっという間に本国に届き、中央政府や軍中枢がその情報を元に政策決定、または軍事作戦立案実施に役立てた。また、各国に売り込み、利益を得るだけでなく情報を盗み取っていたのである。


 だが、イギリスに対抗するドイツ、フランスは有線通信に対して無線通信技術によってこの優位性を打破しようとした。短波による長距離無線通信だ。これならば大西洋すら飛び越える通信が可能である。しかも、小型トラック程度の大きさの通信施設と高さ10mアンテナ程度で済む。発電施設ならば風車や水車でも事足りるだろう。


 また、長文を打たずともパターン化した通信で事態把握出来るようにすれば数秒の通信でも十分に受信側に対応能力が生まれる。例えば、「ニイタカヤマノボレ」なんかそうだ。たかだか数文字で何をすればよいか受信側が理解出来れば、それだけアドバンテージを得ることが出来る。


 と言っても、そんなことまでチート源ちゃんには伝えていない。


 彼にはあくまで発電設備の開発とそこから生み出される電力の使い道として電灯を開発して欲しい。


 ぶっちゃけると、モールスシステムなんて発光信号としてカンテラでもやれるんだ。ただ、洋上でやる場合は遠くまで届くが、陸上の場合、高層建築でもない限り伝わらない。


 待てよ……なら、作れば良いんじゃね?


 江戸城で高層建築……うん、別に電力なくてもすぐにでも実用化出来るじゃんか……。


 うん、造ろう。アレを……。アレが有れば、最低でも品川から上野くらいまでは見えるはずだ。そして、各拠点には望楼を造ろう。昼間は発光信号の代わりの方法を考えれば良い、夜間は発光信号で十分だ。


 これならば、今すぐにでも取り掛かれる。


「よし、やるぞ!」


 気合を入れて、通信網の確立の為に路線図と実測地図を引っ張り出し定規を当て視認距離の算定と中継ポイントの目星をつけ始める。


「誰かある!」


 気合の入った大声で家人を呼ぶ。


 暫くして足音が聞こえた。


「……ちょっと!旦那様!いきなり大声なんて出さないで頂戴!」


 障子を開くなり結奈に怒鳴られた。


「そんなことはどうでもいい!大江戸鉄道本社に建築本部の幹部と設計技師を招集してくれ。今すぐに!」


「ちょっと……今度は何を企んでるのよ、貴方、謹慎の意味をちゃんと分かっているの?駄目よ!」


「何も悪だくみをしているわけじゃないさ!道が啓けたんだよ!」


 憑き物の落ちたかのようなスッキリとした顔でサムズアップしてやると結奈は呆れてしまったようだ。


「……今度は一体何よ?」


「江戸城に天守閣を建設する!」


「はぁぁぁぁ?」


 自邸に結奈の声が木霊した。

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