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明日も葵の風が吹く  作者: 有坂総一郎
国有鉄道への道

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謹慎生活の始まりと電気技術の開発

明和8年10月17日 江戸 新橋 有坂民部邸


 そんなわけで御城からさっさと帰ってきて、謹慎生活の始まり。


 とは言っても、幕臣有坂民部が謹慎になっただけだから、有坂海運や大江戸鉄道のオーナーとしては関係ないので仕事はいくらでもある。


 流石に幕府直営鉄道については幕臣としての立場が邪魔をするので何も出来ないけれど、何もしなくても平常通りの業務は行われているわけで、別に居なくても運行がストップするわけではない。


 と、まぁ、暇と忙しいの中間くらいの塩梅である。


「義兄上が謹慎になって一日中ここに居てくださるので仕事が捗ります」


 義兄が謹慎になって一番喜んでいるのは他でもない義弟神庭幸太郎であった。犯人サイドよりも身内が喜ぶとかどうなんだろうか……。


「旦那様がここに居て余計な真似をしないだけ平穏で良いことはないわね。」


 嫁も嫁で碌でも無いことを言っている。確かにこの時代を引っ掻き回しているのは私だが……。


「で、2人して私の執務室に居る必要はないと思うがね?」


「あら?私は田沼様から旦那様を見張っていろと頼まれているのだけれど?『あいつは絶対に碌でも無いことを企むから実行させるな』と言われたのよ?そもそも、旦那様は謹慎って意味ちゃんと分かっているのかしら?」


 そう言いながら新しいお茶を淹れてくれた結奈に向かって溜息を吐いた。


「結奈は良しとしよう。だが、幸太郎は別だ。お前さんは自分の執務室があるだろう?」


「ええ、ですが、義兄上への決済書類が多いのでここで作業をするほうが早いのです。今まで私がコレ全部処理していたのですから少しは私の苦労を理解していただきたいものです」


 こっちは違う意味で相当に恨みを買っていたようだ。


「あぁ、わかった。好きにしろ。」


 諦めて自分のことに集中することにした。


 なにせ、国有鉄道化に伴う諸々の作業がある。幕府直営鉄道も基本的には大江戸鉄道の延長線上であり運営方法も同一だから大きく違うのは制服と出資元程度である。であるが、統合するためにはそれらを微妙に異なるものを同じものにする必要があるし、大江戸鉄道は株主が居るから国有化に際して出資者である株主に出資額を返還もしくは購入しないといけない。株式の殆どは私の所有だけれど。 


 だが、そう簡単に仕事に集中させてくれるかと言えばそうは問屋が卸さない。


「総さん、居るかい?謹慎中だって聞いたぜ!」


 随分久々の登場の源ちゃんである。川越藩の秩父鉱山での仕事を終わらせると関東におけるサツマイモ栽培やサトウキビ栽培などで常に出張が続いていた彼が戻ってきたのだ。


「源ちゃん、久し振り。元気そうだね、で、何用?」


「おうよ、なんでも新型銃とか色々な開発を推進しているそうじゃねぇか。オレっちもなんか一枚噛ませてくれねぇか?」


 これは好機!水力発電機と電灯、あとはモールスシステムを開発させる良い機会だ。


「今から紙に書く内容のものを実用化して欲しい。予算はその都度請求しても良いから」


 そう言うと簡単な発電機、エジソン電灯の仕組みを書いて手渡した。


「これが出来れば、火を使わなくても明かりが取れる。火事を減らすことが出来るはずだ」


「確かに火を使わずに明かりが取れるなら便利だねぇ」


 興味津々といった感じでなるほど~と言いながら紙を眺める源ちゃんである。


「任せたぞ!」


「おうよ!」


 これで無線通信の第一歩が踏み出せる。幕府が独占的に扱えば通信速度が物凄く速くなる。

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