悪の組織ワル、勇者パーティー嵐聖、元勇者紫音、蓮華大激突
勇者・嵐一行は、船で南の島の離島へ向かっていた。
「ねえ」
話しかけてきたのは、嵐のペットである水龍だった。
「どした?」
「えっと、そいつの組織の細かい位置を把握してる?」
「もちろん」
「じゃあ、僕が色々調べてきてあげようか?」
「でも君、飛べないじゃん」
「泳げるし、歩けるよ?」
「たしかに。じゃあ頼む」
「オッケー!」
元勇者・紫音は、
「南の島までルーラです」
「はーい」
――南の島。
「この辺りに拠点が?」
「うん」
「!」
「隠れて!」
「特技・忍び足!」
「あれは?」
「あれは水龍じゃないですか?」
「あ、入っていきますね」
「て、ことは……水龍を放し飼いにしているのですか?」
「たぶん」
「あ、戻ってきますよ」
「あいつがいないうちに、早く行きますよ!」
「はーい」
――嵐聖。
「戻ったか、水龍」
「すぐ入れそうだよー。ルーラする?」
「頼む。おい、みんな! ルーラするから集まれー!」
「いきます! ルーラ!」
その瞬間――
目の前に、見知らぬ女がいた。
「したっぱか。鈴、やれ」
鈴とは、嵐聖一行の中でも天才といわれている人物だ。
「はっ!」
鈴が使う特技――**鈴槍躁術**。
それは、とても大きな音に弱い代わりに、とてつもなく速い突きと加速、そして高い威力を発揮する槍術である。
だが――
「こいつが、悪の組織ワルのしたっぱですか」
「死音操作」
それが、紫音独特の技。
ギュジューン!!
独特の爆音が、辺りに響き渡る。
紫音の部下でもあり、幼馴染でもある氷は、耳を氷で固めて爆音を防ぐ。
そう。
紫音は一瞬で相手の弱点を見破ったのである。
鈴が爆音に弱いことを。
氷が耳を氷で固めた理由は、少しデバフ効果が入っているからだ。
見事、直撃!
「げ……」
鈴にとっては致命傷だった。
「誰か、下がらせろ。俺が行く」
「おお、行ってくれるか。羽虚」
羽虚は、嵐聖の中で一番火力が高い人物だ。
「ふん!」
(ふむ。弱点はなさそうですね)
だが――
「その程度のスピードで、私を倒せるとでも思っていたのか?」
紫音の一番リーチが長い技。
**光切り。**
半径1kmの広さにまで届く高速攻撃。
そう。
ここにいる蓮華、氷、他の捕虜、そしてもちろん、本物のワルにも当たる。
「でも、私の死音操作で好きなだけ切ります」
ズバッ!
「羽虚さんも致命傷ですね」
「おい! ふざけんなよ、ワルめ!」
「?」
「私は元勇者、紫音ですよ? あなたがワルでしょう?」
「ヴァ?」
「え?」
「……」
「……」




