帰り道
用事を終えた俺は2階の職員室から1階に降り昇降口で外履きに履き替え、少し遠回りの道で小体育館へ向かった。てかこの学校の小体育館へ行くまでの道がめんどくさいよな。
「夕方になると涼しいな...」
小体育館へ行くまでの道のりで、右手には校舎で左手には野球部のグラウンドがある。そのグラウンド一面を夕日で包み込むような風景が好きで遠回りするのが明日春のちょっとした楽しみである。
「学校の怪談で夕日が綺麗な日の時、黄昏てる痛々しい青少年がいると聞いたことがありますが、白茅さんだったんですか...納得ですね。」
おおっとここで毒舌な咲穂子柊利が俺の心に刃物を突き刺してきたようです!白茅選手これにはダウンです。
「咲穂子、俺の行動が怪談の部類に入るっておかしくないですかねぇ...てか部活は?」
「終わりましたよ。他の皆さんも30分前ほどに帰りましたよ。」
「時間の流れとは早いものだな...」
「そんな悲しい目をしているのに、なぜガッツポーズをしてるのかが疑問に思います。」
咲穂子は目をじとっとしながら俺との距離を詰めてくる。可愛いなぁおい。
「なあ、咲穂子さん...い、一緒に帰り↑ませんか?」
声が裏返ってさらに敬語で話してしまった。勇気を振り絞って言ったんだから褒めてよね!
「そんな童貞臭をかもしだされても困ります。」
「.......でも、駅までならよろしいですよ。」
「よっしゃぁ!今から駅に着くまで俺がなぜ料理が得意なのかをぶっ続けで話すぜ!覚悟してろよ咲穂s───」
「昨日テレビでやってた女子世界卓球の感想を駅に着くまで話しますのでご清聴ください。」
「えぇ〜」
結局この後、咲穂子の感想は駅に着いてからも止まらず1時間経ってやっと解放された俺はバックがないことに気づき、学校に戻るはめになるという悲劇がありましたとさ。あはははは...はぁ
まあ、咲穂子の楽しそうな顔が見れただけでも幸せというかなんというか。