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チートでもらった【アクセサリ制作】はおまけでした。本命は装備枠無制限だけど、カードに載らないし関係ないよね?   作者: めざし


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第三十三話 俺様の...獲物だ

「──邪魔を、するなぁっ!!」


薄れゆく、意識の中で。

セイの怒声が聞こえた。

俺を、抱えたままセイは片手で剣を振るった。その刃に──淡い金色の光が纏っている。


『▒▓▓█▒』


黒い影が、その剣を避けようとする。だが、間に合わない。


ザンッ!!


「どうだっ!」


セイの、一閃があの影法師に"入った"。

黒い靄が、初めてぐらりと揺れた。

(……入った……?)

俺は、朦朧とする意識の片隅でそれを見ていた。

あれだけ、俺の攻撃をすり抜けたのに...セイさんの剣は届いた。

なぜ?何が...違う?

……属性?……属性攻撃なら──

考えようとしたがそこで俺の意識はぷつりと途切れた。


(……あつい)

腹が熱い...全身が、鉛のように....重い...

揺れている。誰かに担がれて、運ばれている。


「……おい……死ぬなよ……こんなところで、勝手に死ぬな!!」


……セイさんの声だ。

なぜ?どうして、あなたが。

俺は、朦朧としながら、目を薄く開けた。

セイが、俺を背負って血だらけになりながら帰還のオーブへ向かって走っていた。

その背中はぼろぼろだった。あの、傲慢な聖騎士の面影は、どこにもない。片腕が、砕け足を引きずり....それでも、必死に走っている。


「……なんで……」


俺は、掠れた声で聞いた。


「なんで……セイさんが……俺を、助けるん...ですか……」


セイが、ふんと、鼻を鳴らした。


「……勘違い、するなよクソ冒険者!!これは、助けてるんじゃねえ」


セイの声は、憎らしいほど傲慢だった。だが、その奥に何か別のものが滲んでいた。


「……お前は、俺の獲物だ。……あんな、化け物なんかに、横取りされてたまるかっ!」

「……」

「俺は、お前のせいで……全部...失った」


セイが、荒い息の合間に吐き出す。


「下僕も!名声も!……女も!!!……全部、お前らにぶち壊された!……俺の、人生をめちゃくちゃにしやがって!!!」


その言葉に。俺は、何も言えなかった。


「だからな……お前を、殺すのは俺だ。俺じゃ、なきゃならねえ。……その権利は俺のもんだ。誰にも譲らねえっ!」


歪んだ執着。

この人は、最後までそうだった。人を駒だと思っている。

復讐すら、自分の所有物のように語る。

でも──今、この人は...その、歪んだ執着だけを支えに命を削って俺を運んでいる。


「……お前を、殺すのは俺だ。……だから、覚えて...おけ」


セイの身体が大きく震えた。


「お前はァ……この俺様..に...命を拾われた。……その、屈辱を...ガハッ……一生、忘れ..るな……それが、俺の……復讐だ...」


セイの壮絶な叫び声とともに、帰還のオーブへ...一歩また一歩その歩みを進める。

淡い...帰還の光が俺たちを待っている。

だが──後ろから...あの、影法師の気配が迫っていた。


『█▓▒異物▒▒█排除▒▒』

「……ちっ……しつ...こい、野郎だ」


セイが、俺を下ろした。オーブの、すぐ手前に。


「セイ、さん……?」

「ここまで来たらクソ冒険者のお前でも行けるだろう」


セイが、剣を構えた。血だらけの体で影法師の、ほうへ向き直って。


「クックック、この俺様が足止めをしてやる。……お前は、さっさと、いきやがれ」

「そんな……あなたも、一緒に……!」

「うる...せえッ!!」


セイが、振り返らずに、言った。


「……言った、だろう。お前は、俺の獲物だ。……俺の獲物を奪うあいつも敵だ。」


その、背中がやけに、大きく見えた。


「……最後に、いいこと、教えてやるクソ冒険者」


セイが、影法師を、睨みながら、言った。


「あの、化け物はな……俺の属性攻撃は入った。……見てただろう?」

「……!」

「属性を、乗せろ……それと、属性を乗せた渾身の一撃だ...一撃で消滅させろ...たぶん、あいつを、殺す唯一の正解だ。…ハッ!…せいぜい、役立てろ」


そう言って、セイは影法師へ向かっていった。


「うおおおおおっ!! かかって、こいや、化け物ぉぉぉ!!!」


聖なる、光を纏った剣が...影に向かって、振り下ろされる。


俺は、オーブの光に包まれながら。

最後に、見た。

セイが、影法師に斬りかかり──そして、その黒い腕に...

貫かれる瞬間を。


「セイ、さん……!!」


俺の叫びは、光に呑まれて...届かなかった。

  

──気がつくと。

俺は、地上にいた。

リンドールのダンジョン入り口。

見慣れた街の光...帰還のオーブが、俺を送り届けたのだ。


「レイ君!!」


フィーネさんが、駆け寄り俺を抱きしめた。片眼に包帯を巻いて。それでも、俺を見て涙を流していた。


「よかった……! 生きてる……! 生きてくれてた……!」

「フィーネ、さん……みんなは……」

「みんな、無事です! バルトさんも……ティアさんが、治療して……! あなたが、時間を、稼いでくれたから!」


よかった。みんな、助かったんだ。

その時俺の後ろに帰還の光がともった。


「セイ、さん?」


セイは、地面に倒れていた。

ぴくりとも、動かない。

胸に──大きな、風穴が、空いていた。心臓を、貫かれた痕。


「……セイ、さん!」


俺は、傷ついた体を引きずって、セイに駆け寄った。


「セイさん! しっかり……ティアさん! ティアさんを──!」


だが........

ティアさんが、駆けつけてセイの傍らに膝をつき...そして──静かに、首を横に振った。


「……もう……手遅れ、です。……心臓を、完全に…………ごめんなさい、レイさん」


エクストラヒール。欠損すら治す聖者の力。

それでも──届かなかった。

命の灯が消えた者はもう戻らない。


「……そんな……」


俺は、セイの傍らに座り込んだ。

この人は、俺を憎んでいた。

俺のせいで、全部を失ったと。俺を、殺すのは自分だと。

……最後まで、傲慢で、身勝手だった。

なのに。

その、命を賭けて...俺を、助けてくれ...さらに、攻略の鍵まで、残して。……逝ってしまった。


「……なんで、ですか」


俺は、動かない、セイに、問いかけた。


「なんで……そこまで、して……俺なんかを……」


答えは、返らない。


だが──セイの、顔は雄弁に物語っていた。


「お前は俺の獲物だ。誰にもわたさねぇ、俺を忘れるな。一生感謝しつづけろ」


満足げな、死に顔だった。



「……レイ君」


フィーネさんが、そっと、俺の肩に手を置いた。


「……この人のこと、嫌いでした。……ティアさんに、したこと……許せないと、思っていました」

「……はい」

「でも……」


フィーネさんの、声が震える。


「……あなたを、助けてくれた。……この人が、いなかったら...あなたは……もう……」


言葉にならない。フィーネさんが、俺に、そっと寄り添う。

俺は、動かなくなったセイを、見つめた。

……ありがとう、なんて。言えない。この人は、それを、望んじゃいない。「お前は俺の獲物だ」と、言ったのだから。


だから、俺は。


心の中で、静かに誓った。

……忘れません。あなたに、命を拾われたこと。あなたが、残した言葉を。……一生、忘れない。

それが、あなたの、望んだ"復讐"なら。

甘んじて、受けます。

だから──どうか。


「……安らかに」


俺は、そう、呟いて。セイの、目をそっと閉じてやった。


その夜。

俺たちは、ホームに戻った。

バルトさんは、ティアさんの治療で、一命を取り留めた。フィーネさんの片眼もエクストラヒールで塞がった。

全員、生きている。

でも──空気は、重かった。

あの、黒い靄の化身。俺たちを、蹂躙し、セイを、殺したあの影法師。

あれは、まだ、ダンジョンの最下層にいる。

そして──俺の、頭の中では。

セイの、最後の、言葉とひとつの不吉な疑問がぐるぐると、渦を巻いていた。

(……あの、影法師は。……なんで、俺を、"転生者"って、呼んだんだ)

(……なんで……俺だけを、あんなに執拗に、狙った……?)

その、答えに。俺は、まだ。気づいていなかった。

だが──その答えを、知ったとき。

俺は、もっと、深い絶望を。味わうことに、なる。

この時の俺はまだ...何も、知らなかった。



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