1話
処刑台のまわりに広がる真っ赤な血だまり…
そこに倒れ伏す姿と喚起する周りの人間たち…
怯えているようでいてその顔は笑っている一人の令嬢…
それを守るように抱きしめる第二皇子…
なぜ…なぜ、あの子がこんな目に合わなければいけないの…
間違ったことなんてしてないあの子が…
誰よりお人よしなあの子が…
【絶対、こんな結末、認めないわ】
目を開けた先にあるのは、見覚えのある天井。
起き上がって周りを見れば、かつての私の部屋があった。
立ち上がり鏡の前に行けば、そこに映るのは自分で覚えているよりも若い自分だった。
長く柔らかいプラチナブルーの髪に深い青の瞳
セレフィナ・サフィール・ローゼンクロイツ
このヴァルディア帝国の現皇帝の弟
ローゼンクロイツ大公の娘
この国の唯一の大公女であり、先の未来で処刑される運命が待っている。
それが買えられないことはわかっている。
だってこの世界はもともと別の世界に存在する小説の物語だから。
あの世界での親友が愛読していたものだ。
さだめられたものであることを知ったとき、何をしようと変えられないのだと絶望した。
でも、もう関わりはないのだからと安心していたのに
また、この世界に来てしまったなんて…
これからのことに頭を抱えているとノック音が聞こえてきた。
急いでそれにこたえると懐かしい者達がいる。
「失礼いたします、お嬢様」
前の記憶では最後まで私を信じてくれた2人だ。
だが、そのせいで反逆者だと私の目の前で殺された。
「お、お嬢様!?」
気が付けば私の目からは涙が流れ落ちていた。
前の世界では私の性格や周りのこともあって冷たくしていたし、
慕われているなんて知らなかった。
いや、知ろうとせず怯えていたのだ。
ずっと謝りたかった。
私のせいで、私なんかのせいで巻き込んでしまったことを…
「リネット、ノエリア」
「え、」
驚くのも無理はない…
私は、誰かと深くかかわらないように名前を呼ぶことを避けていたから…
だけどもう怖がらない。
また前のようになるとしても、今の時間を大切にしよう。
「ごめんなさい、ちょっと夢見が悪くて、」
「顔色もよくありませんね。
旦那様にお知らせして、」
「大丈夫よ、お父様は忙しいもの。
だから何も言わないでおいて」
「しかしお嬢様、」
「それより、今日はお茶会があるでしょ?
早く準備をしなくちゃね。」
「…承知しました。」
心配する2人に準備されながら、今日のお茶会のことを考える。
皇族主催のお茶会だ。
場所は城の庭で開催され、もちろん皇族も参加する。
そこで私は第二皇子に言い寄られ、婚約者にされる。
合わなければすむ、という話ではない。
これは物語なのだ。
か弱い子爵令嬢と時期皇帝が出会いハッピーエンドを迎えるための必要な要素。
だが、記憶を持っているということはチャンスなのだ。
絶対に回避してみせる。
これをフラグというのだが、
この時の私はまさかあんなことになるとは思わなかった。




