2 お絵描きワールドへ
「もう、なんなの? ……何で私が戦わなきゃならないの⁈」
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
フィンは語った。
「ありあ。
効率と正確さを重視する、デジタル思考のオメガ・ルミナンス星に、
あたたかさやぬくもりを重視する、我がプリズム星は、侵略されてしまったんだ。
そのペンダントは、おまえと魂の色を同じくする、亡きアリア姫の宿ったペンダントだ」
「な、亡き?」
「ありあ。プリズム星と、地球のため、戦ってくれるよな?」
「そんなこと言われてもなぁ」
肩にのっかった、うさぎ姿のフィンが、ありあに言う。
「ありあ。あれが、おまえの学校か?」
「う、うん」
ありあたちの通う、日良小学校が見えてきた。
「いいか、ありあ。オメガ・ルミナンス星は、この地球の未来を担う子どもたちに目をつけた」
「子どもたちって、フィンくんだって、子どもでしょ?」
人間の姿のフィンは、ありあより少しだけお兄さんに見えた。
「うるさい! 俺は、少なくとも、おまえの倍は生きてるぞ」
「うっそ?」
「嘘なもんか。
やつらは、子供たちの使うタブレットの、教育プログラムをハッキングして、子どもたちをじわじわと洗脳しようとしてるんだ」
「そんな!」
「すべては、オメガ・ルミナンス星の、王と大AIの仕業」
「大AI? って?」
「オメガ・ルミナンス星の、AIを束ねてるAIだ。王が大AIを使い、自分の星を管理したり、プリズム星を支配するのに、使ったりしてるんだ」
「う、うーん……」
「しかも、具体的には、子どもたちの使うお絵かきソフトやアプリを介して、みんなをデジタル色に洗脳しようとしている」
「お絵かきで?
……そんなの許せない!」
「そうだろ? だから、おまえがやるんだ。
そのペンダントで」
「ふえ?」
ありあが少し俯きがちに、5ー3組の教室に足を踏み入れようとする。
が、前方からやってきた、メガネをかけた男子にぶつかる。
落下する、タブレットと、スケッチブック。
「あ!」
「え?」
少年、周防ジンが、慌てる。
「ご、ごめんなさい、壊れてないよね? あれ?」
タブレットのディスプレイに、お絵かきアプリで製作中の、アニメ絵の女の子が写っている。
「これ、周防くんが描いたの? すごく上手!」
「……!」
ジンが素速くタブレットを取り上げると、廊下に出ていってしまう。
「? 周防くん」
その顔が真っ赤だった。
スケッチブックを抱え直して、ありあは、自分の席にランドセルを下ろす。
「ありあちゃん、おはよう!」
「あかりちゃん! おはよう!」
あかりが、今日もやってきた。
「周防くんと、話してたの?」
「ううん。ぶつかっただけ」
「……周防くんって、ちょっととっつきにくいよね?
いつも、一人だし」
「う、う〜〜ん……。
あ、でも。あの絵……。
周防くんって、絵がとっても上手いみたい。色も、線も、私には出せない感じで」
《ありあ。ありあ》
胸元から声がする。
「フィンくん?」
ありあは辺りを見回す。
「こ、困るよ。こんなとこで……」
《大丈夫だ、この声はおまえにしか聞こえない》
「え?」
《おまえも心の中で俺を描けば、俺に心の声が聴こえる》
「ほんと? じゃあ」
《カレーライス。カレーライス!》
《なにがカレーライスやねん!》
《ご、ごめん。なんとなく、試しに》
《ありあ、行くぞ。タブレットの中の、お絵描きワールドへ!》
「ちょっと、待って!」
ありあは、教室の後ろの、キャビネットからタブレットを取ってくる。
《あはは。タブレット持ってくるの、忘れてた》
《ありあ〜〜》
ありあがタブレットの電源を入れる。
《お絵かきアプリ・アルカディアを開いて!》
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
ありあが、大きな瞳を開く。
「ここは……?」
空間にたくさんのウィンドウが、どこか機械的に浮かんでいる。
「え……なに、これ……?」
【次回予告】
フィンだぜ。
地球に来て、ありあにペンダント託したのは、いいんだけど、
ちょびっと危なっかしい。
しかたないから、俺がサポートしてやるよ!
次回<魔法少女 アート⭐︎ありあ見参!>
みんなの想い、優しい絵で守るぜ!⭐︎




