終 話 救済はなく、運命の扉がまた開かれる
私の名前は望月ルナ。
望月という名前の通り、私は丸顔なの。それが少しコンプレックスで、髪の毛で両頬を隠すようにしている。小顔効果ね。
私は親の都合で、遠くから引っ越してきた。
朝、職員室に向かうと、担任の先生が教室に連れて行ってくれた。
どんなクラスメイトがいるんだろう。
私はドキドキしながら、先生の背中を追った。
このクラスに馴染めるかしら。
私は不安だった。
カッコいい男の子、いるといいな。
期待にドキドキした。
そして、運命の扉がついに開かれた。
引き戸だけど(笑)
先生がガラガラッと引き戸を開けて、教室の中へ入った。私は先生の後を追って、教壇の脇に立った。先生は黒板に私の名前を書いた。
「えー、今日から君たちのクラスメイトになる望月さんだ。みんな仲良くしてやってくれ」
先生は教室を見渡した。
「そうだな……望月、とりあえず十六夜の隣に座ってくれ」
「十六夜君……?」
私は教室を見回した。すると、後ろの方の席で手が上がった。
「君の席、ここだよ」
私は十六夜君と目が合った。彼はニコリと微笑んだ。
うわっ。
めっちゃタイプ。
転校早々、こんなイケメンの隣の席なんて!
私は少しドキドキしながら、彼の横の席に腰を下ろした。
「よ、よろしく、十六夜君」
私は十六夜君の顔をチラ見した。背が高くて、がっしりとしていて、それでいてスリム。顔もすごく整っている。
「俺の教科書を見てもいいよ……ほら、机、寄せるね」
「ああ、うん、ありがとう」
私は感激した。
優しいっ!
イケメンに優しくされた!
「て、手伝うわ」
私が机を寄せると、彼は教科書を二人の真ん中に立ててくれた。教科書の反対側の端を十六夜君が持っている。
それだけで、なんだか赤い糸で結ばれているような気がした。
それに——近い!
思ったより彼が近くにいる。時折、肩が私の腕に当たる。
私は恥ずかしくなって、視線を窓の外に逃がした。
その時、ふとどこかで、桃の香りがした気がした。
「あれ?」
「どうしたの?」
振り返ると、十六夜君が微笑んでいる。
「気のせいかな……十六夜君からいい匂いがする。柔軟剤の香り?」
すると十六夜君は、クンクンと自分のシャツの匂いを嗅ぎ始めた。
「えーっ、マジ? 俺って汗臭いかな?」
「ごめんなさい、そんなんじゃないの! なんか桃の匂い? 甘くて、いい香りなの」
「桃の匂い?」
十六夜君はそう言うと、私の顔をじっと見てくる。すごい目力だった。
私は顔を真っ赤にした。
「い、十六夜君……どうしたの?」
すると彼は、一転して笑顔になった。
「いや、見つめちゃってごめん」
彼はそう言うと、恥ずかしそうに微笑んだ。
「なんだか君……殻が割れそうだと思ってね」
終わり




