これが現実です
「そんで?その条件って何?」
「私の仇をとって!魔王を倒して!」
盗人さんからのカケラ探し条件は魔王討伐か。うんうん、なるほど。死んで引きこもってたなら、今来た俺らの事知らないし、現状の魔王を知らないよなぁ。
「盗人さん、凄いもの見せてあげようか?」
「凄いもの?」
「魔王の残念な姿」
「はぁ?」
盗人さんは何言ってんだって顔をしながら俺の後ろをついて来た。幽体って動けるもんだな。なんか普通の人っぽくある歩いてる感じだけど、少し浮いてるんだよな。
「よし、この扉の向こうに居るぞ」
「なぁ?残念な魔王って本当になんだ?」
「見たらわかるよ。そして、見たら驚くから…。おーい、カケラ見つかったか〜?」
俺はそう言いながら扉を開けるとそこには、キールとマニャがおらずその代わりに…。
「イスト〜ほらぁ、痛い?痛い?」
「あー!ギィー!やめ、ヤベデェー!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。死ぬぅぅ!」
勇者のあはははという高笑いが響き、それに合わせて魔王の絶叫のハーモニー。そういう特殊な人には堪らない逸品となっております。なんて脳内でナレーションをしていると、横から声が聞こえた。
「へ?は?何これ?」
あ、そうだ。本来の目的は盗人さんにこの魔王を見せることじゃん。忘れてたよ、俺もあまりにも予想以上の光景でね。
「んー、何というかね。魔王はその、色々あって調教されてドMにされたんだよ。魔王だけに」
「意味がわからないし、上手くない。何?私はこんなのに殺されたの?そしてずっと幽霊してるの?」
あ、すっごい落ち込んでる。まぁうん。わからなくもないよ。殺した相手が今はこんなんです、とかなんとも言えないよな。
「まぁ、魔王はこんなんだからね。どうする?これでも、その、ヤル?」
「…なんかどうでもいいや」
「そうか。じゃあ、手伝ってね?」
「ああ、そういえばそんな約束だったね。忘れてたよ」
「じゃ手伝いよろしく。その前に、おーいお2人さん。キールとマニャは知らない?」
「イスト〜ここはどうかなぁ?」
「ヒィ!」
最近…あの2人から無視されるな俺。どんだけ2人の世界にドップリと浸かってるだか。
「無理だから、手伝いよろしく」
「なんか私気分が悪くなってきたよ…」
「でも、仇があんな姿なら清々しい気持ちになるんじゃない?」
「同じ女性としては複雑な気持ちだよ」
「ちなみに、もう1人の魔王のそばに居たのは勇者だよ?」
「…」
ドッキリ大成功かな?てか、ドッキリかなこれ?
「ところで、どうやって手伝ってくれるのかな?」
「ん?あー、そうだね。その盾の形とか教えてくれない?」
「えっと、元はこんな感じで今は壊されてカケラになってるから、どんなかわからん」
「こっちの方から反応があるね」
「は?なんでわかるの?」
「それは秘密」
「別に幽霊なんだから教えてくれても良くね?」
「師匠からの教わった技術をそう簡単に他人には教えられないよ。死んでてもね」
俺は今度は盗人さんの後を歩くのだった。てか、キールとマニャはどこに行った?




