第2話 崩壊の始まり
首都直下大地震が起きてから数時間が経った。
俺は晴人と颯と一緒に体育館についてから、避難所の設営を手伝っている。
颯はついさっきどこかに行き、今はいない。
「あぁ〜腹減った〜」
晴人が体育館にあるパイプ椅子に座り込む。
「お疲れ様、ほらこれあげる」
俺はポケットにあったクッキーを渡した。
「よっしゃ!ありがとう悠真!いただきます!」
晴人は勢いよく袋を開ける。
「って砕けてるじゃねぇか!」
「それはしょうがないだろ、落下した時もずっとポケットに入ってたんだから」
「それもそうだな!」
晴人はクッキーを口に流し込む。
「うっめぇ〜!腹が減った体に糖分が染みるぜ〜!ありがとな悠真!」
「晴人が1番頑張って働いてるからな。何かできないかって考えてたんだ」
俺と晴人が話していると先ほどどこかに行っていた颯が戻ってくる。
「みっけたぜ〜!俺っちの相棒のNOVAちゃんだ!」
颯は自慢げに俺らにノートパソコンを見せてくる。
「颯、それどこから持ってきたんだ?さっきまで持ってなかったよな」
俺は疑問に思い颯に尋ねる。
「これはだな〜!体育館の倉庫に隠してたんだぜ!」
「それってバレてたらやばくないか?」
「まぁバレたらやばかったかもな〜。まぁそんなことよりもだ、俺っちのパソコンは特別製でね、こんな状況下でも使えるように作ってあるんだぜ!」
「あー!なんか中学校の時に開発してたよな!なんだっけ、大企業と一緒にこの世に一つしかないパソコンを作ってるって言ってた気がする。」
晴人が中学校のころを思い出していた。
俺ら3人は小学校からずっと同じ学校に通っている。
「そういえばなんか言ってたな。俺も思い出した」
「ふふふ、それがつい最近完成したのさ!まぁ見てろって!」
颯がノートパソコンを起動する。
すると、
「NOVA、PCへようこそ!」
という音声がパソコンから流れた。
「さてさて、今の状況はどうなってるのかな〜?」
カチャカチャというキーボードを打つ音が響く。
「ふむふむ……地震の情報が分かったぞ!」
「早いな、それがそのパソコンの特徴か?」
「まぁそれもあるな!NOVAには高性能のAIが搭載されてて、俺っちが知りたい情報を調べる手伝いをしてくれるんだ!その他にもいろいろな手伝いをだな」
「あぁ!もう分かったから早く地震の情報を聞かせろ!」
痺れを切らした晴人が颯の話を遮る。
「たっくよぉ〜、これから良いところだったのに!まぁいいや、今回の地震は東京を中心とした関東全域に最大震度7、マグニチュード9.1の首都直下大地震が起きたらしい。マグニチュード9.1は日本国内で観測された中で初だな。」
「やばい状況だな……確か、東日本大震災がマグニチュード9.0だった気がする。」
「それであってるぞ。ちなみに、俺っちらがいる青葉高校までは津波は来ないらしいが、津波の被害が多いところもあるみたいだ。」
「なぁ、颯、朝凪中学校の周辺を調べてくれ!」
「OK任せろ!結衣っちのことが心配だもんな」
颯は数十秒間で調べてくれた。
「こっちよりも被害が少ないみたいだ!良かったな悠真っち!」
「良かったぁぁぁ!!!これで安心だ。明日歩いて朝凪中学校に行って、結衣を迎えに行ってくる!」
「あぁ!それが良いと思うぞ!」
俺らが安堵の空気に包まれていたとき、2度と聞きたくないような忌まわしい音が鳴った。
ウィーン!ウィーン!
緊急地震速報です。強い揺れに注意してください。
ウィーン!ウィーン!
緊急地震速報です。強い揺れに注意してください。
「悠真!颯!こっちに来い!」
晴人は瞬時に安全な場所を判断して大きな声で俺らのことを呼ぶ。
俺らは頭を抱えながらできるだけ急いで晴人の元へと向かった。
晴人は俺と颯を自分の体の下に隠し、守ってくれた。
「晴人、平気か?」
「晴人っち……」
「あぁ!?こんぐらい平気に決まってんだろ!ほら揺れが収まるまで黙って頭守っとけ!」
数分間揺れが続き、揺れが収まった。
「さっきの地震よりは弱かったな。それでも震度5強ぐらいあるんじゃないか?」
俺が颯に尋ねると、
「今調べてるぜ!…………おっと…………」
「どうしたんだ颯?」
「お前ら落ち着いて聞けよ……今の地震、俺っちらがいる東京が中心じゃなかった」
「なんだ!そうなのか!」
晴人がすぐに返事をするが、
「晴人、一回待て、それで颯どうした?」
俺は颯に話を続けるように促す。
「俺っちたちが味わったような震度7の地震が、全国各地で一斉に起こった。」
「……それは本当なのか?」
「おおマジだ。これはヤベェことになるぞ……日本が崩壊する危険性がある。」
「……」
「……」
俺と晴人は言葉を失った。
「多分、その原因は東京で起きた首都直下大地震だな。この大きな地震で他のところの地震が誘発されたと考えるのが自然か……」
颯は冷静に地震が起きた原因を分析している。
「これからどうなるんだ?」
晴人が颯に尋ねる。
「まず、今ある日本の社会は崩壊する。それに伴って、国家の存続が危機に瀕する状況になる。このとき、日本全域のライフラインとインフラが完全に停止し、被災者で溢れかえることで全国の自治体や医療機関が完全にパンクするだろう。まぁとにかくすごくやばいってことだ」
「なぁ颯、俺らこれから生きていけるのかよ。」
俺は不安に駆られる。
「さぁな?ここからは俺っちもよく分からん状況になっちまったぜ。正直、さっきまでの東京だけが被害にあった状態ならまだなんとかなったかもしれないんだけどな。あの規模の地震が全国各地で起きたなら、もう神頼みかもな」
「そうか……それと、東京はさらに大きな被害を受けたとかって情報はないか?結衣が心配だ」
「んーと、ちょっと待てよ、今調べてみる。」
数十秒後、
「結衣ちゃんがいると思われる朝凪中学校周辺は大きな被害があったとかいう情報はないぜ。だから安心しろ」
「そうか……こんな状況で、良かったって思っていいのか分からんが、ひとまず安心だ。」
今後日本がどうなるかなんて分からない。だから、この1分、1秒を大切にしようと俺は思った。




