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氷炎護リ人  作者: 有麻環
幕間
86/97

5章 21 友のための否定

『――お前の正体それ即ち、『真実』の神。ユールの眷属だな』


 シアンの看破はシャナを始め、リザイア救出班の面々にもしかと届いていた。もちろん、立ちはだかるディリシアの耳にも。


「……ちっ」


 苦々しい顔で不機嫌さを隠さないディリシア。彼女の周りには翼竜や一角獣など数多くのものが召喚され、こちらに牙を向いている。

 一度に複数の召喚をしているためか、ディリシアの雪のような白肌はさらに色を失い、青白くなりつつある。それでも引かないのは、彼女なりに覚悟の上だという決意の表れなのだろう。

 そんな彼女に対面するのはライア。葉から借りた銃を回しながら見下すように口角を上げていた。

 

「おやおやお嬢様〜〜、舌打ちとは優雅じゃねーなー?大事な駒がやられそうで心配ですね〜」

 

「なんのことですの」

 

「あっはは!学習しねーなお前も。私に嘘は通じないって再三言ってるのに……。あの悪霊、お前の召喚した魂だろ。どっから探してきたんだか知らねーけど、仮にも神の眷属を出すとは……なかなかどうしてやるじゃーん」


 ライアも気がついていたのだろう。

 シャナもすぐに気がついた。もとよりシャナの得意技は魔力の流れを見定める「魔力感知」。召喚されたものが、誰の術によるものかは一目瞭然だった。

 

 ――そう。シアン達を追い詰め、今現在追い詰められている悪霊。その魔力は全てディリシアに繋がっていた。

 

 彼女はライアの言葉を鼻で笑い、自慢することもなく淡々と告げる。

 

「ふんっ。リザイアができたのだからわたくしにできないはずがありませんもの。あんな指針(カード)がなければまともに呼び出せない子と比べないで頂けますかしら」

 

「なんだ、意外と姉妹仲はよろしくない?ま、どうでもいいけど!」


 少なくとも、同じ公爵家で姉妹どちらも友好関係があったシャナの知る限り不仲ではなかったはずだ。しかし、今のディリシアの言葉を聞く限り、それも全て外面だったのだろう。こんなに冷たく、愛のない人だとは思わなかった。

 

 心の中で靄が渦巻く。

 もっとリザイアの話に深く踏み込んでいれば、少しは彼女の心の支えになれたのだろうか。そう考え始めるとキリがないが、戦況はそれを許さない。


『お前が神でも死んだ霊でも関係ない、生きた()()じゃないのなら――――私は普通に殺せるぜ!!』


 気づけばシアンは悪霊の本体との決着をつける直前。

 シャナは構えていた弓を引き、心をなだめ照準を合わせる。

 シアンが剣を振り下ろした直後。部屋の中心部で輝く繭の切断面。ライアの予想では当てるべき場所は極々小さいある一点。そこにシャナの持つ特異的な魔力、魔力を打ち消す魔力を打ち込むのだ、と。


『や……待って、やめっ――――!』


(うん。撃つならここ。今この瞬間――!)


 二つの剣が白い壁に深い傷をつけたタイミング。悪霊が最後の言葉を断ち切られた瞬間。シャナの一矢は放たれた。

 真っ直ぐ、迷いなく飛ぶ(やじり)は、妨害しようとするディリシアの召喚物を全て打ち消し、無事繭に突き刺さる。

 見た目では分からないがその瞬間、シャナの感知には確かに見えた。天使の羽によって作られた繭の魔力に綻びが生まれたことを。網目が僅かに緩むように、小さな穴が広がるように。

 傷つけどすぐさま元に戻ろうとする繭の修正力をシャナの魔力が()()したのだ。


「ナイスだシャナ!!――んじゃ蓮夜、手筈通りにな」

 

「うっス!」


 この時を狙っていたらしいライアがほぼノールックで銃弾を放った。彼女の魔力が込められた魔弾は高速で回転し、繭の隙間に吸い込まれていく。

 たった一瞬、されど一瞬。初めから自身の計画の内であるこの隙を、ライア=ディアスタシアが逃すはずもない。

 魔弾が繭の中に姿を消したと同時に、ライアの体が糸を切った人形のように崩れ落ちた。

 

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