032 『BOSSを攻略します』
■春の一月、八の日 其の四■
馬場和子です。
突然の乱入者が目の前にいます。
こちらの豪華キャストにビビっているのかもしれません!
振り返ると男性陣の顔は青ざめていましたが……。
急に現れたおじさんに「お嬢ちゃん、ちょっと顔貸せや!」と言われました。
お嬢ちゃん? こちらには3名の女性が居ます。サイカ姐・姫さま・あたし。はて? 誰をお求めでしょうか? 言っておきますが姫さまはお高いですよ? お勧めは次点のあたしです。手籠めにしやすいです。違いました。お手頃です。お年頃です。
「誰でもいいから、一人こっちに来い」呆れている様です。口調も顔もそれほど怖い感じじゃなくなっています。私が行ってきていいですか? 食べ終わっているのがあたしだけなんでー。
「あたしでもいいです? お色気担当なので」
「冗談はもういいから、上までついて来い」確かに冗談のつもりでお色気を伝えましたが、即切り捨てられるとショックを受けるものですねー。これがうわさに聞く因果鳳凰というやつですね。意味は原因と結果は火の鳥の如く何度でも復活して繰り返されるので気を付けましょう! だったと思います。
階段を上がり二階へと案内されました。これが表や裏手に誘導されたらひと悶着あったかもしれませんねー。
二階に上がると一室に通されました。チラリと扉を見るとギルドマスター執務室と書いてあります。
「まぁ座れやー」
「座りますけど。お客様が来たら何かしら出すのが礼儀では?」精一杯に啖呵を切ります。
「おっおう……」誰かに何かを言いつけて戻ってきました。
あれ? これってばヤバイ感じです? もしかして、もしかして。ヤクザ屋さんの組長でしたかー。あたし生きて帰れるのかしら? 修羅場は王子様が土壇場で助けてくれる前提でのみ歓迎です。キョロキョロと部屋を見渡しながら呟きます。
「おう、その、ま~なんだ。ギルド長なので組長って事になる。バルドルス・ガジムだ。命までは取りはしねえよ、まぁ座れや」頭をポリポリかきながら反対の手でソファーを示してきます。
ちょっといい感じのソファーに座ります。見た目通りふわわふでした。
「そうですかー。そのヤクザな組長さんが、か弱いあたしに何の用なのです?」いざとなったら王子様の代理で姫さまが来てくれると思いますし。無問題ですよ?
「さっきの話なんだけどなー。お前らの事、凄い話題になってんだわ~」
「そうなのですか。ありがたい事です」皮肉も込めて深くお辞儀をします。
「こちらにとってありがたい事じゃないのはわかるか?」前髪もないのでこめかみの引きつりがよく分かります。
「わかると言えば分かりますし、わからないと言えば分からないですねー」
「何が分かって、何が分からない?」困り顔でまた頭をポリポリとかいています。
「そうですねー。結果的にサイカ姐が辞めてしまったことについては謝罪しますがー。冒険者とは自由な人々の集まりと聞いていますのでー。そこから先はわからないですねぇー」
「まぁ~自由に生きたいってやつが多いのは確かだがそこまで自由があるわけじゃない」
「そういうですかー。了解しました」
「理解が早くて助かる。困るんだよな。引き抜きとか、ちゃんと俺を通してキッチリ話をしてくれないか?」
「それはそれで構わないのですがー。ははーん♪」
「なんだよ」
「それで何でわざわざここに呼んだのです?」
「それはお前達の事を思ってだなー」
「なるほどなるほどー。それで脅しをかける様に体裁を取り繕ってか弱い女性を呼び出したと……」部屋に女性が入ってくると机にカップ2つとカゴを置いて行きました。
お茶菓子が登場しました。初です! やりました全部。お持ち帰りです。一度やってみたかったのです。噂に聞く[お持ち帰り]ぐんずとお菓子を掴んでアイテムポーチにほり込みます。あとはおもてなしもしていただいていいのですよ? 最後は送り狼さんの出番です。
「なんだお前は美人局か何かか?」
「美人と聞いて、お礼申し上げますー」
「だれもいってねぇーよ!」
「そうですかお礼参りさせていただきましたのにー」
「やっぱりお前が親玉か」
「いえいえ、親分は姫さまですよ。でも、なんだか全てお任せされている感じはありますねー。で? 何が聞きたいのです」
「噂になってる話は真実なのか?」
「噂って何の事でしょうね? スゴイべっぴんの美人局が居る話でしょうか? それとーも、肉に興味津々の可愛い女の子がいるって事でしょうか? はたまた、パワハラで飛び出した受付嬢が冒険者を骨抜きにしてハーレムを作ろうとしている事でしょうか?」
「いや、そういう御託はいいんだよ。お前ら冒険者を引き抜いて何がしてえんだ?」
「どういう答えがお望みです? あたしの想像では叶えられると思いますけどー?」
「やりにくいったらありゃしねぇ~なぁ~。お嬢ちゃんは全てお見通しか?」
「見た目は子供、中身も子供……。もとい! 見た目は美しく、中身は賢くを目指しています。そんな知的で出来る女・カズコによるとですねー。バルドルスさん貴方。実はうちに来たいのではありませんか?」
「なんでそうなるんだ?」
「そうですねー。先ほども言いましたが、一つ目に一階のみんなの前でいちゃもんを付けて呼び出した事。コレはその場でもめて追っ払えばいいですよね? なのでまず、本当に話を聞き出したかったのだと思います。しかも内密に。何の話を聞きたかったのか? いくつか噂になっている様ですが、真実かどうかですよね?」
「そうだ」
「でも、それってサイカ姐が戻ってきた時点でまず確定ですよね? 噂ってどんな感なのでしょうねー。想像の域を出ませんがビラも配ってますし。新しい村ができた事、住人を募集している事を含め、一番大きな噂だと身体が元に戻るでしょうか?」
「なるほどな。それで?」
「なのでその事実確認を密かに行いたかったのかと考えます」
「何故そう思う!?」
「証拠はあがっているのですよ。ふふふ」(あー言ってみたかった台詞が今!)
「何の事だ?」
「証拠はバルスさん! あなたのそのツルっぱです! 滅びの言葉の様な名前で滅びた頭が証拠です!!」
「人の名前をかってに滅びの言葉に位置付けるな!」
「で、どうなのです? 内密に話したかった事から紐ずけていくと答えが導かれて来たのですが?」
「ああ、降参だ。正直、元の身体って髪も戻んねえか?」(やりました! 正解を引き当てたようです)
「さあ? どうなんでしょう? 可能はなくないんでしょうか?」
「それは本当か!?」落ち着いてください。両肩が痛いです離してください。
あたしはご老人達の体調が元に戻った事・普通体型に戻った子供の事を教えて差し上げました。ですがあくまで可能性ですよ? そんな所まであまり期待しないでいただきたい。下から見上げた目線で物を申しました。すいません。
「でもよー腕や目が戻るなら髪も戻るんじゃねぇのか?」
「どうなんでしょうねー。人の寿命が戻らないので髪の寿命も戻らないかもしれませんよ?」
「出来る事は何でもしたいんだ。髪が禿げ上がってからカミさんの態度が冷やかで冷やかでモウー。すぐにハゲだからってハゲのせいにするんだ!」
えっとー御免なさい。気持ちだけは分かりますが。髪が元に戻っても、そこの関係性は戻らないかもしれません。そんな貴方に贈るピッタリな言葉があります「万事休す」
□カズコの後書き□
ギルドマスターの一本釣りです。
ん?
狙って一人だけ釣ったわけではありませんので違うかもしれません。
訳がわかりませんが、設置してもいない罠に飛び込んできた獲物がいます。
獲物がデカすぎて対処に困ります。どうしましょうか?
■目標レベルと現在の数値■
総人口:19
総人口レベル:48
次 回 目 標:62
最 終 目 標:65534
正直に言います!
推理物……無理です。




