『思い出したあの日』
不思議ですが思い出したので書きます。
9月1日
馬場和子です。
とうとうこの日がやって来ました。
今日を打ち勝てば。
新しい未来が見れるんだ!
大好きな小説を読みあさり、自分に置き換え想像する。そんな日々は今日でおわりです。
手術に成功したら。
まずはいつも見ていた、あの中庭のお花畑の中を走り巡るんだー。
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あたしの病室にストレッチャーなる物が運ばれて来ました。
いよいよです。
小さなタイヤが付いた移動式ベット《ストレッチャー》に乗せ替えられるといつも出たかった病室から出される。
自分の足で歩いて出れたら、どんなに素敵なのだろう……。
大きな荷物用のエレベーターに乗せられ、ヒンヤリした空気の通路を通り抜ける。
思わず嫌な想像《霊安室》をしてしまうが、頭から振りほどきます。
ストレッチャーはゴタゴタとした機械だらけの部屋に押し込まれ止まります。
さぁいよいよだ。
もう一度ベットに移されると体に色々な物がつけられる。
さまざまな色分けをされた電気コードが私の体から垂れ下がる。
「カズコちゃん。麻酔をするから体の力を抜いて楽にしてね」
「はい、先生よろしくお願いします」
クスリと笑われた気がしたが……あたしはそれを確かめることができない。笑え、笑うんだ。笑う先には福きたりです……そのまま眠りにおちていった。キット笑えたと思います。
「あれっ?? あたし負けた?」
「君は負けていないよ」誰でしょうか? それよりもここはどこでしょうか? あたしはどうなったのでしょうか?
「私が誰でここがどこかは重要じゃないよ」声をかけてきた存在を直視することは神々しくてかなわない。
「そうですね。あたしは、私の身体はどこですか?」視界はいつも通りの気がする。しかし、伸ばした手が見えない。実感としてあるのに実体としてない。もっと実感がないのは足だ。両足を地が地についている気がしない。
「君の身体は弱かった。その魂の強さと違って」
「魂?」
「君は今、その強い精神体だけの存在」
「君の魂。強い想いは私のところに届いたよ。だから、別の世界でもう一度頑張るといいよ」
「別の世界?」
「そうだよ」
「ちょうど君と同じ年の子がいてね」
「その子は身体は丈夫だけど精神が弱かった……君とは逆だね」
「今度はそちらで頑張って見てはどうかな?ーーやりたい事」
「たくさんあるんだろ?」
「ハイ!」
「毎日、日記に書いてました」
退院してする事。逢いたい人。食べたい物。全て書いてあります。書いて持ってます。あれ? 想いを込めたらでてきました。
「そう、強い想いは時として大きな力を生むんだよ」
「私のところに届いたようにね……」
「ーーじゃあ、そろそろいきなさい」
「ハイ! 生きます!!」
もうあれから半年ぐらいがたっているのですね。
孤児院の子供達をみていたからでしょうか?
ふいに思い出したので書き留めました。




