追試&補修
結果発表の2日後、比呂斗、十六夜、笠草の三人は多目的室に来ていた。
「なんで満点が三人もいんのよ」
笠草は不満そうにしていた。
「それは仕方がないだろ。満点だったんだから」
同じクラスで満点が3人いるのに納得がいかない笠草はある疑問が浮かんだ。
「でも、トップクラスの成績が同じクラスに3人もいるっておかしくない?クラス替えもしないのに」
確かに、と比呂斗と十六夜は頷いた。ここ光明高校は3年間クラス替えがなく、1位と4位の差は50点も離れている。
「あ~でも、間違えるのも無理はないかもな」
比呂斗がそんなことを言い出した。それを笠草は問いただすと、十六夜はわかったようだった。
「俺は、中学3年間信じられないだろうが成績が異常に悪かった。だが、春休みに猛勉強してここまできたのだ」
「私は、成績がよかったものの入試の日体調崩して点数がいつもより大分落ちたのよね~」
さすがに高校側も春休みに満点まで上がるとは思わないだろう、十六夜のケースも、成績がよくても入試が低くて学力が落ちたのと思われたのだろう。
「でも、春休みに猛勉強しただけじゃここまで上がるとは思わないけど」
頬を膨らまし少し比呂斗を睨んだが、全く動揺してなかった。
「実は、ある人から貰ったノートとあるサイトのおかげでな」
そして成績向上の経緯を話した。
「実は春休みにある人。ある人が誰かは言えないんだが。その人から貰ったノートは中学三年分5教科の内容がわかりやすくびっしりと書いてあるんだ。そしてなんと読みやすい。そしてあるサイトは、その勉強中に休憩がてら『勉強法』を検索したら、『勉強』でヒットしたのか、『天才詐欺師が教える人の騙し方の勉強』ってのがあったんだ。そしてそれをみると、最初は心理学的なものが書いてあった。顔のしぐさや癖で相手の心を読み取ったりする知識だった。その次は相手の騙し方だったんだが、押した瞬間『このページは削除されました』って出てきて、そのサイトが消えちゃったんだよね。でも、一応みていた心理学は覚えていたから、十六夜で実験したらとても当たっていて、それをテストを作る先生の出題傾向を今回試しに読んでみたら、三択問題5問中5問全問正解だった。先生全員4月に新聞部の取材で自己紹介のときに、仕草を少し見ていた訳だ」
と、説明し終えた比呂斗だが、笠草は納得していないようだった。
「全然信じられないんだけど。でも睦月さんが試されたんだから信じるしかないか」
「ほんとにすごかったよ~。教えてはくれなかったけど」
「これは俺だけの取柄だからな。十六夜に教えたらすぐ越されちまうよ」
「へ~、スペック的には睦月さんのほうが上なのね」
比呂斗をみながら半目になりニヤリと笑った。
「十六夜は国語と英語が優れているからな。それとスポーツテストの点数は俺が負けてるよ」
「えへへ、でも比呂斗はそれ以上に数学と理科が異常でしょ?それに体力は無くてもスキルは上だし」
「なんだこの偏った2人は」
笠草はそんな二人を見比べた。
(にしては、この会話を見る限り私がこの三人より優れているのは体力と社会ぐらいかな)
そんなことを思っていると、急に十六夜に声を掛けられた。
「ひぃえ?なに?」
反応が少しおかしくなった。
「私、『睦月さん』より『十六夜さん』もしくは呼び捨てのほうが慣れてるから、さん付けするときは下の名前でお願い」
「ん?わかった。いざっち」
「いざっち!?」
「ぷっ・・・いざっち」
急なあだ名命名で比呂斗は笑ってしまった。
「よし、わかった。蒼っち」
さらにツボにはまった比呂斗は笑い崩れそうになったが、そこで新任の入江先生が来て追試が開始した。
「よし、いまから追試を始めるぞ~」
一方、補修組
智は英語と理科の補修で英語担当の切崎先生と理科担当の山坂先生から課題を貰っていた。そしてその課題を教室で補修の時間で終わらせなければならない。
「全っぜんわかんね」
プリントをひと目みたが英語も理科も全くわからなかった。教室には智と同じで補修を受けてる人がいる。よく話す友達は補修を免れていて、実質1人で解かなければならない。
「どうしたものか。いや、まてよ」
智はテスト後の部室での出来事を思い出していた。それは、テストの見直しだった。十六夜と瑠衣が比呂斗の寝ている最中にしていた。その内容は、丁度問題を回収されなかった英語と数学。智はすぐにその見直しの内容を必死で呼び覚ましていた。補修の課題はテストと全く同じでテスト訂正していれば簡単だが智はしていなかった。
(ええっと、確か。ここがアで、ここがイ。この問題が××○)
智は自分の記憶を頼りにどんどん解いていく。なんとか全問書き、先生に提出すると、どちらも補修脱出の50点以上だった。
「よかった~」
追試組の結果は全員満点だった。それをみた入江先生ため息をつき、職員室へ向かって行った。
「問題はテストと違ったか。はぁ~あ、疲れた」
比呂斗は少しふらふらになりながら鞄を取った。十六夜は背伸びをして目を覚まさせた。笠草は欠伸一つですぐに鞄を持ち部活へ向かおうとした。
「2人とも、鍵は任せた」
戸締りを言い残し、スタスタと走っていった。
「なっ!抜け駆けしやがった」
比呂斗が十六夜を見るとそこにはもういなかった。
「比呂斗、あとは任せた!」
ビシッと敬礼してポケットから部室の鍵を出してくるくる回して部室へ向かった。
「ちょっとまて~~~~!」
結局比呂斗は鍵を持っていった。




