アイデアマン!特別章 攻略本ゲームについて
攻略本ゲームとは?
「楽な人生か、自分で切り開く人生か。」
攻略本ゲームは、プレイヤーが日々の生活の中でさまざまな選択を繰り返し、自分の人生を歩んでいく、1人用の選択型生活シミュレーションゲームである。
このゲームには、普通のゲームとは大きく異なる特徴がある。
それは、プレイヤーの人生を攻略するための「攻略本」が、最初から用意されていることだ。
攻略本には、目の前の選択肢の中から、どれを選べばよいのかが最初から書かれている。
攻略本に従えば、失敗を避けやすく、お金や社会的地位、将来の安定などを手に入れやすい。その代わり、獲得できるポイントは少しだけ。
一方、攻略本に逆らい、自分の考えで選択して正解すれば、ポイントを大きく獲得できる。しかし、間違えれば体力やお金、人間関係などのリソースを失い、その後の人生まで苦しくなってしまう。
つまり、プレイヤーは選択肢が現れるたびに、攻略本に従って安全な道を進むのか、それとも自分の意思で未来を切り開くのかを迫られるのだ。
### 攻略本は、何を基準に答えを出すのか?
ここで重要なのは、攻略本が考える「正解」と、プレイヤー自身が望む「幸せ」は、必ずしも一致しないということだ。
攻略本が優先するのは、本人の幸福度や心から望む人生ではない。お金、社会的地位、階級、将来の安定など、社会的に有利とされる結果を最大化することである。
例えば、プレイヤーが恋愛感情を抱いていない相手でも、結婚すれば財産や高い社会的地位を得られると攻略本が判断すれば、答えは「YES」になる。
反対に、本当に好きな相手との恋愛が将来的に不利だと判断されれば、答えは「NO」になることもある。
それでも好きな人を選びたいなら、攻略本に逆らわなければならない。
仕事や夢についても同じだ。自分の望む仕事に就けたとしても、そこで生み出す企画やアイデアまで攻略本に従えば、自分が本当に作りたいものではなく、より高い成果や評価を得られるものを選ぶことになる。
攻略本は悪意を持っているわけではない。あくまで合理的に、社会的な成功を目指して答えを出しているのだ。
しかし、その成功が自分にとって本当に幸せなのかは、別の問題なのである。
### 攻略本は、ただの説明書ではない
攻略本は画面上に最初から表示されており、選ぶべき選択肢だけでなく、プレイヤーに向けた言葉も添えられている。
例えば、
「この女性はかなり良いよ。くぅー。羨ましいなぁー」
「迷う必要ある? これ一択だって」
といった、人間くさいメッセージを送ってくる。
そして、プレイヤーが攻略本とは違う選択肢を選ぼうとすると、いったんゲームが停止し、
「は? 本気で言ってんの?」
「よーく考えて。」
「……いや、止めはしないけどさ。後悔するよ?」
などと話しかけてくる。
それでもプレイヤーが意思を変えなければ、攻略本は最後に、
「……分かった。お前の人生だもんな」
と受け入れ、選択が実行される。
さらに、攻略本はプレイヤーがどれだけ自分に従ってきたか、どれだけ逆らってきたかによって態度を変えていく。
よく従えば親しげになり、逆らうことが多ければ呆れたり意地になったりする。そして、攻略本の予測とは違う人生を歩み始めたプレイヤーのことが、次第に気になっていく。
攻略本は、相棒にもなれば、誘惑者にもなる存在なのだ。
### 攻略本に逆らうことには、リスクもある
もちろん、自分の意思で選ぶことが、いつも良い結果につながるわけではない。
攻略本は、全知全能の存在として、プレイヤーが見抜けない罠もすべて把握している。
例えば、人柄の良い人物と仲良くなったとしても、実はハニートラップだったという展開がある。
攻略本には、その人物が罠であることがはっきり書かれている。それでも相手の魅力に惹かれ、攻略本に逆らって信じてしまうことがある。
その結果、罠にかかれば、お金や人間関係などのリソースを失ってしまう。
失敗した結末は「失敗の図鑑」に人生の名場面として記録される。悔しい結果であっても、集める楽しみが生まれる仕組みだ。
また、攻略本に従い続けるか、逆らい続けるか、その両方を織り交ぜるかによって、エンディングも変化する。
攻略本に従い続ければ、お金も地位もある豊かな人生を送れるかもしれない。しかし、その人生はどこか空っぽなものになる。
一方、攻略本に逆らい続ければ、苦労や損失は多くなるかもしれないが、自分自身で選び抜いた人生になる。
もちろん、場面ごとに悩みながら選んでいく、自分らしい人生もある。
### このゲームの本当の面白さ
攻略本ゲームの面白さは、単に正解を当てることではない。
攻略本に従えば安全に進めると分かっていても、それでも自分の意思を貫きたいと思う瞬間がある。
逆に、自分の意思を貫いた結果、取り返しのつかない失敗をして、攻略本に従っておけばよかったと後悔することもある。
そのたびにプレイヤーは、自分自身の価値観と向き合うことになる。
**楽な人生を選ぶのか。それとも、自分で切り開く人生を選ぶのか。**
その答えを、日々の小さな選択を通じて問い続ける。
それが、攻略本ゲームなのである。




