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開始5分でサービス終了した伝説のバグゲーに転生したんだが攻略できない!  作者: 那須 儒一


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第3話 レベルを上げて物理で殴れ

【チャプター1-1 入学】


一日遅れで入学した俺とスターナは、

メノウ魔法学園の制服に着替えた。


白いローブの縁には、蛍光青ネオンブルーが彩られていた。


割り当ては1年5組――10名で構成されたクラス。


担任の説明チュートリアルでは、魔力の高さに応じて、ローブの縁の色が変わるらしく、俺は最低ランクのEランクみたいだ。


その流れで、スキル習得の画面に移行する。

地水火風の基礎魔法から応用魔法まで入れると、五十種類も属性が存在する。


――凄いやり込み要素だ。


あとはサブスキルか――

おっ、このスキルは大事だな。

俺は、ステータスを振り分けスキルを習得する。


【ステータス】


プレイヤー名:ダイチ(ランクE)

レベル2

HP112  МP62

物理5 魔法10

防御5 速度2


【魔法スキル】

〚水魔法〛

・ウォーター(初級) ・レインボウ(初級)


【サブスキル】

〚クラフトスキル〛

・簡易トイレ(初級) ・通常トイレ(初級)


よし、とりあえず水魔法とトイレクラフトを習得した。ステは魔法に振ってと……。


この世界は、トイレが一番大事だからな。


「みんな、スキル習得は終わったかな?

それでは、授業を始めるよー!」


紫色の長髪に丸眼鏡の女性――担任のクラウゼル先生に連れられ、白一面の広場に到着する。


「まずは、練習試合だ!」


メノウ魔法学園2階――白道場。


「ダイチ……戦うは……怖い」


隣でスターナが両脇を抱え、震えていた。


「スターナ、大丈夫だよ。

死んでも、ベッドで蘇生できるらしいから」


「ちょ、死ぬのは嫌よ!」


「それでは、まず初めに1年生で首席合格を果たしたAランク魔法使い――ライドウくん!」


流れるような金髪に切れ目の青年。

――キャラの作り込み的にライバルポジションっぽい。


……となれば、対戦相手は……

「ダイチくん、前に出てきてくれ」

クラウゼル先生と目が合う。


……やっぱり俺か。


ライドウ・キサラギ……レベル20か。

中々、手強そうだ。これ、負けイベか?


「それでは! 両者見合って、始め!」

先生の合図で、ライドウはすぐさま杖を構えた。


「巻き上がる朱、爆ぜる魔炎――絶望を満たすは神獄の焔!」


“イグニート・ヘル”


俺の周囲を六つの火柱が取り囲む。


……くっ、凄い熱気だ。


俺、死ぬのか……

どこかゲーム感覚でいた。

転生ってこたは生身と何ら変わらない。


ここにきて、初めて死という恐怖に蝕まれる。


こっちは武器すら持ってないっていうのに。


火柱はやがて一つになり、煉獄の炎が俺を焼き尽くす。


「うわぁぁぁぁぁ!」


――ダメージ3。


……いや待て。

さっきの詠唱、二十秒くらいなかったか?


それで3?

蚊に刺された方が痛いぞ。


それなら、「虚空を飛翔せよ!」


“ウォーターアロー”

俺の指先に水が圧縮され、無数の水の矢がライドウを襲う。


「くっ……」

ライドウが仰け反るが……ダメージ1。

待て待て、こんなの一回のバトルで何分かかるんだよ。


ライドウはHP500もあるし。

しかも今の魔法で俺のMPはほぼ無くなってしまった。


こうなりゃヤケクソだ。

――俺は、勢いに任せにライドウを殴りつけた。


「ぐわっ!」

ライドウが頬を抑え転げ回る。


ダメージ256……!?

おい、これはバグか。

明らかにゲームバランスがおかしすぎる!


俺はトドメのグーパンをライドウに見舞い、

あっけなく勝利した。


「バカな……魔法使いのくせに拳だと……」

ライドウはそれだけ言い残し、気絶した。


「「うぉぉぉぉぉ」」


クラス全員の歓声が俺に注がれる。


「ちょっと、ダイチ、やるじゃない!」

スターナが俺の背中を叩くが、なんの達成感も感じない。


だって、通常攻撃で殴っただけだし。


今日の授業もといストーリーイベントはこれで終わった。


戦闘経験値が入り、レベル3に上がった。


もしや、物理にステ振りがマストなのでは?

スキルツリーで魔法を習得しない代わりにステータスポイントに還元という、魅力的な項目が目につく。


とりあえずスターナで試してみるか。


「スターナ、おいで……」


俺はスターナを手招きする。


「い、イヤだ!」

スターナは何かを察したのか、俺から距離を取る。


「ふーん。そんな態度でいいんだ?」


「うっ……ダイチ……痛くしないでね」


「大丈夫だよ、ただのデコピンだから」


俺がデコピンの構えを取ると、スターナが目をつぶる。


不覚にも、怯える表情が少しだけ可愛く感じた。 


「そりゃ!」


「いだっ!」


「デコピンによるダメージが15か……。

あと、5回もすればスターナが死ぬな」


「ちょっと、怖い計算は止めてよ!」


さて、ここからが本題だ。

物理のステータスを5→7に割り振る。


もう一度スターナにデコピンをした。


「ふぎゃっ!」

スターナが勢いよく吹き飛び、教室の壁に激突する。


60ダメージ!?

マジで、物理最強じゃん!


「ダイチ……最後に伝えたいことがあるの……私、ダイチのこと好きだったんだよ……」


残りHP3のスターナが、かすれた声で死亡フラグを立てる。


「回復あるから大丈夫だぞ」

俺はスターナに、ヒールポーションを勢いよく飲ませる。


「がぼぼぼっ!」

スターナは溺れたような声を漏らす。


「よしっ、全回復だ!」


「ちょっと、アンタどんだけ鬼畜なのよ!」

全快で起き上がったスターナから鋭いツッコミが飛ぶ。


「そんだけ、はしゃければ充分だろ」


こうして俺は、早くもこの世界の真理に辿り着いてしまった。

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