06 有人とアリア
また夢を見た。
いつもの通り、あいつらにいじめられている…。 誹謗中傷だったり暴力だったり…。
しかし少しだけ違ったのは…。
突然現れた少女がいじめた奴らを駆逐し、その後…あの言葉を言いながら抱きしめられた。
『ボク…守ってあげるから』
そこで視界は遠のいた。
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「ん…」
不意に目が覚めた。 似たようで異なる天井だ。
それに本棚がたくさんあるが、どれも読めなさそうだ。
そんな事を考えてると…
「あ、目が覚めた?」
ふと声が聞こえ、目線を追うとアリア王女がいた。
しかもよく見渡すと抱きしめられた状態だった。 なんで?
「ここはボクの部屋だよ。 あの件で精神的にダメージを受けたキミをここまで連れてベッドに寝かせたんだ」
ああ、思い出した。
エリーゼ王女の報告の時、映し出された映像の人物が俺をいじめた主犯格だったことで、一種のトラウマめいたものを呼び起こしてしまったのか。
「多分、嫌な夢を見てるんじゃないかと思って、こうして添い寝したんだよ。 抱きしめながらだけどね」
「そうだったんですか…。すみません」
アリア王女にずっと抱きしめられていたことにちょっと気恥ずかしくなっていく。
同時に彼女から伝わる温もりで、何かが込みあがってくる感覚を覚えた。
「アルト君、もしかして欲情してる?」
「…っ!!」
違うと言いたかったが、否定できない位に体が熱くなっていた。
高校1年生の時のナナやノノにくっつかれた時と同様の熱さを。
あの時は、世間体を気にしたがために何とか耐え切ったが、ここは異世界でアリア王女と二人きり。
「いいよ、やろうかアルト君。 あそこならキミも安心してやれるだろうしね」
「え、でも…」
「ボクが受け止めてあげるよ。 ほら、早くっ♪」
そう言って、アリア王女は部屋内にある別のドアへ俺を連れて行った。
端的にいえば、そこはアリア王女の仮の研究室として使っていた小部屋だった。
空調用の小窓以外はほぼ何もない…いやトイレのドアがあったが…。 そこに着いた時、俺はもう抑えきれなかった。
そして、俺はアリア王女に色んな欲求をぶつけた…。
その時間は、長く感じるようだったが、実際はそこまで長くなかった。
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「…で、本当によかったのか?」
事が終わり、俺はアリアに聞いた。
そうそう、呼び捨てになっているのは、やっている最中に呼び捨てで呼んで欲しいと言われたからだ。 彼女は最後まで抵抗ぜずに俺の欲求を受け止めた。
だが、いきなりここまでしていいのだろうか、王女なのにと不安がよぎったので改めて聞いたのだ。
「いいんだよ。 キミに色々と心の傷を負わせちゃった責任もあるし、何よりキミと話すときが楽しいからね。 今後はキミの妻の一人として支えるって決めたんだ」
「本気でか!? …って妻の一人って『ハーレム制度』を利用してか」
「そうそう、キミの事をより知ってる双子姉妹も落ち着き次第キミの妻にさせようと考えてるよ。 あ、もちろんメルルも」
いやいや、ナナやノノはいいとしてもメルル王女はまずいだろ?
彼女自身の意思の確認をしないで事を進めないでくれよ…。
「ちゃんと確認は取るよ。 キミの方からも確認したほうがいいけどね」
まぁあれからアリアのペースに乱されてます。 でも、俺自身も分かっている。
アリアなりに俺を元気付けさせようとしてる事を。
だから、俺の妻の一人になるって事も本気なんだと。
「とりあえず、食堂へ行こうか。 何も食べてないでしょ」
「そういや、そうだったな…。 行くか」
確かに巻き込まれで転移してから色々あって、何も食べてなかったんだよな。
アリアに言われるまで気付かなかったとは…。 そんなわけで、俺たちは食堂へ行くことになった。
だが、そこで意外な再会が待ち受けていることを今の俺が知る由はなかった。