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15 孤児院へ行こう

買い物を終えた俺たちは、一度荷物をアリアの別荘に置いてから隣にあるというメルルが運営する孤児院へと向かった。


「ここが、孤児院か…」


「なんか大きさがアリアお姉ちゃんの別荘と同じくらいだね」


ナナが率直な感想を述べる。


「元々、私に与えられた別荘を改築したものですから。 孤児院での私の寝室は3階になります」


なるほど。

与えられた別荘を親のいない子供たちのためにと改築したわけか。


「私もお世話をしますが、ほとんどメイドさん達が子供の世話をしているんですよ。 私は食費や光熱費などの各種管理がメインです」


孤児院を運営するにあたって、それを維持するために必要なのだろう。

食べ盛りな子もいるだろうから大変なんだろうな。


「ボクの方でも収入の半分をメルルの孤児院の支援に回しているしね」


アリアも金銭で支援しているのか…。


「それじゃ、入りましょうか」


そう言って、玄関のドアを開けてメルルが中に入る。

俺たちもメルルの後に続いて中に入った。


「あ、メルル様、お帰りなさい」


中に入ると一人のメイドの少女が出迎えに現れた。


「ただいま、ルーナ。 あと、様付けはいらないって言ってるでしょうに」


「そういう訳にもいきませんよ。 メイドがメルル様のことを呼び捨てにするなんて」


「子供たちは普通に呼んでくれてるのですけど…」


水色のロングヘアーのメイド少女は、見た目に反して生真面目なのだろうか?


「そちらの方々が転移被害者の方ですか?」


「はい、そうです。 初めまして、アルト・ココノエです」


「ノノカ・タカツキと申します」


「ナナミ・タカツキでーす。 ナナって呼んでね」


「これはどうも。 私はメルル様に雇われたメイドの一人で、ルーナ・ヒューイットと申します」


お互いの自己紹介が終わったところで、孤児院の広場に案内された。

そこには子供たちが積み木で遊んだり、お絵かきをしたり、小さい子の世話をしたりと賑やかだった。

しかし…


「見事に女の子ばかりじゃないか…」


「男の子も2人いますけど、今は別のメイドの子と買い出し中なんですよ」


一応、男の子もいるのか。

それなら少しは安心かな?

しかし、よく見てみると猫耳や犬耳の子もいるな。


「獣人や魔族の子は、違法奴隷商人たちに売りに出される寸前に阻止して救出した子たちなんです。 商人たちはその場で断罪したそうですよ」


「違法奴隷? どゆこと?」


ナナが首をかしげながらメルルに尋ねた。

ファンタジー世界なら奴隷も存在するだろうけど、ここじゃ少し違うのだろうか?


「七人委員会に属する国家が抱えるべき奴隷は重罪を犯した者のみがなる『犯罪奴隷』のみです」


「犯罪奴隷に堕ちる条件は、王家の許可なき殺人や横領など、国を揺るがす罪を犯した者のみがなるんだよ」


メルルとアリアが順番に説明をしてくれた。

いわゆる重罪に値するものがその奴隷に堕ちるということか。


「ここに保護された子たちは、家族を殺された挙句、税金が払えないからといって違法に『犯罪奴隷』にされかけた子たちなんです」


「そもそも、犯罪奴隷に堕とす判断は国王裁判で決めることであって、貴族が決めるものではないんだよ。 税金が払えない場合は、訪問時に国が支払い不要と判断するからね」


なるほど、犯罪奴隷に堕とすか否かの決断も国王の役目なんだな。

税金が払えない場合も定期訪問時の状況で国側が判断するということも分かった。

しかし、それにも関わらず貴族が勝手に決めるというのは何かおかしいな。

そう考えていたところにアリアはこう答えた。


「貴族の中には反七人委員会の思想を持ってる人がいて、その人が国の制止を振り切って勝手にルールを作って犯罪奴隷を違法に生み出してるんだよ」


「それって、いわゆる『俺ルール』みたいなものじゃないか」


「ええ、国の意思に反する行動をする貴族は大抵、敵対国家と繋がってる場合が多いんですよ。 今で例えるとアッシュ王国とか…ですね」


アリアの後にメルルが補足をする。

日本にもそういう売国的思想が(くすぶ)っていたけど、この世界の貴族の一部もか。


「じゃあ、あの子たちはもしかして?」


「ええ、アッシュ王国に奴隷として売られるところだったんです」


ナナが察したことをメルルが答える。

その瞬間にナナの表情が曇った。

ノノも察したのか怒りをにじませている。


「それで、その貴族と商人は断罪したっていうのは…」


「アーネ兄さん…、第二王子のアーネスト・エル・ステラが念話で許可を貰った上で、死刑に処したんだ。 一種の売国行為でもあったしね」


それを聞いてナナとノノは安堵の表情を浮かべた。

といってもこれはいわば氷山の一角にすぎないとアリアは付け加えていた。

王族のチェックの死角を縫って実行している奴らもいそうな感じだな。


「はい、あったかいのをどうぞ」


「あ、ありがとうございます」


そう考えていた時に、ルーナさんが温かい飲み物を用意してくれた。

飲み物はココアのようだ。

それを飲み干しながら遠目で子供たちを見ていたら…


「そろそろ、子供たちと触れ合いましょうか。 2人がこっちに来ちゃったみたいですし」


メルルがそう言った直後、猫耳や犬耳の女の子が俺の近くまで来ていた。

俺と目線が合うと、両手を広げて…


「にーに、ギュってして…」


「おにーちゃん、ミミもー!」


幼いケモミミ少女二人にせがまれた。



次回の更新は未定です。

基本的に不定期更新なので。

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