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竹取物語16

さらに翌日

「しんちゃーん?昨日見ましたよ?駅前で」

「・・・ナンノオハナシデスカ」

「とぼけちゃって、明女の生徒さんと仲よさそうに駅でお別れしてたじゃないですかー?」


 朝いちばん、教室に入ると悪友に肩を組まれた。


「慶介、からまないでくれ」

「これがからまずにいられますかって、明女ですよ?明女。どうやってあんな敷居の高い学校の女子に手が出せるのかねえ」

「出してねえ!」


 真司はうっとうしげに、肩に組まれた腕を振りほどくと慶介から半歩離れた。

 真司の悪友、沢渡慶介。中学からのクラスメート。もちろん降りる駅も一緒だから昨日駅前での一件をしっかり目撃されていたらしい。


「ふふふふふ、用事があるからって先に帰っていったけど。まさかまさかの大そうなご用事だったようで」

「・・・別にあの子に用事があったわけじゃあないけど」

「つまり用事ついでにおつまみを!?うらやましい!けしからんっ!合わせてうらやま・・・」

「最後まで言わなくてもわかるから。何もなかったからいいじゃないか」

「何?何の話?」

「あ、麻子さんですかー・・・いえいえ、なんでもないですはい」


 同じくクラスメートが後ろから登校してきつつ声がかかる。


「おはよ」

「おはようしんちゃん。慶介もおはよ」

「だからしんちゃんはやめなさいって・・・」


 クラスメートで幼馴染に苦言をいいながら道をあけつつ挨拶。


「しんちゃんはしんちゃんでしょ、それで?」


 ショートヘアでスポーティな雰囲気を醸し出す彼女は新島麻子。彼女も同じく中学からのクラスメートだ。というより彼女の場合さらに付き合いが長く、家も同じ町内である。同じ学校に通ってここでもう12年目、幼稚園までさかのぼればもっと長い付き合いである。


「なんでもねー」

「慶介に聞いてないっ」

「まあまあ、朝から喧嘩しないの」

「喧嘩じゃないですっ」


 二人を伴って、教室に入る。まだクラスメートとなじんでない為、そこまで騒がしくはない教室だ。


「あれ?しんちゃん眼鏡は?昨日買いにいったんじゃないの?」

「んー、なんか気に入ったの無くってさ。見えないわけじゃないからこのままでいいかなって思って」


 実際は突然視力が回復して、眼鏡をかけていた時より視界がしっかりしているがそこは触れずに話した。


「でもしんちゃん視力ハイパー悪かったよね大丈夫?見える?」


 麻子が顔を覗き込んでくる、この幼馴染は毎度距離が近い。

 そして眼鏡をかけていた時より顔立ちがしっかり見える分居心地が悪い。


「いいから、ほら。さっさと着替えてきな。朝礼終わったら速攻体育だよ」


 1,2限目は体育だ。朝っぱらからやめてほしいものだ。


「ふふふ、今日はサッカーだからね。俺様輝く!朝から輝く!」

「はいはい。頼んだよエース様。オレは毎度のごとく守護神と化しているよ」


 真司は運動が苦手なため、キーパーかディフェンスだ。


「ふははははは!任せたまえ!しんちゃんは役立たずでも一向に構わない!その分、俺の活躍を期待してくれ!」


 こんなことを言われても悪い気にはならない、その程度には付き合いが長いし軽口がたたける二人だった。






「見事にチームがバラけましたなあ」

「ですなあ」


 なんとなく二人で並びながら校庭を見つめた。サッカーはサッカーだがいままでと違いクラス対抗では無くなったようだ。

 慶介率いるチームはサッカーこそ中心にやっていないが、運動が出来る人間での構成。

 そして真司のいるチームはサッカー部が中心と、いままでの授業であまり成績の残せなかった運動が苦手なメンバーだ。

 そして、どちらにも属さない人間がうまい具合に分かれている。


「まあ高校生レベルのサッカーだと蹴れば入るからなあ」

「キーパー誰でもいいだろうから、またオレが入るよ」

「・・・なんか悪いな。なるべくディフェンスにも回るから頑張ってくれ。」


 同じクラスのサッカー部の面々に声をかけられる。ワールドカップやら欧州リーグの影響でサッカー部員やサッカー経験者がなかなかに多い。


(まあいつも通りつったってればいいか)


 真司はため息をつきながら、キーパーのポジションにつく。ちなみに真司以外の運動出来ない面々はびびってゴールに近すぎず遠すぎずの場所にいた。

 真司は屈伸をして、体を伸ばすと妙な気分になった。

 そんな違和感を説明できないまま、ホイッスルが鳴りボールが転がり始める。

 慶介がボールを持ち、隣のクラスのメンバーと攻め上がり始めた。

 サッカー部中心と言ってもまだ高校生、それに相手もサッカーをしたことがない訳ではない。なかなかボールが止められずに、真ん中から徐々に真司のいるゴールにボールが近づいてくる。一人が攻め込んで、ボールを回し慶介の足元にボールが収められた。

 中盤から戻ってきたサッカー部の一人が慶介の前に回り込んでコースを塞ぎつつ慶介の足を止める。

 運動が出来るとはいえ、相手は本職。慶介はボールを即座に戻して自身はそのディフェンスを抜きさってさらに大きく弧を描いてゴール前に飛び込んできた。

 慶介にセンタリングが上がる。


「どんぴしゃ!」

「残念」


 真司が飛び出してセンタリングをグーでカット。戻っていたサッカー部員が足元に収めると前に大きく蹴りだした。慶介を中心に攻め込んできていたため、ディフェンスが間に合わずそのまま1点先取。


「ナイスカット!」

「瀬戸川いいじゃん!」


 そんな声に真司も少しテンションがあがる。

再度ボールがセンターから。慶介は少し下がり気味で、他のメンバーが左右からボールを運んできた。

 中盤後ろで、慶介がボールを受け取りサイドチェンジ。左サイドには運動があまり得意ではない生徒しかいないためあっさりパスされてその男子生徒と真司が一騎打ちになる。


「っしょ!」


 地面に転がるような、少し強めのシュートが来る。

 真司はコースを読んで両手でそれをキャッチ、即座に前線にボールを投げるとそれがカウンターになってさらに1点。


「ナイスキー!瀬戸川!」

「あいつあんな動けたっけ?」

「おのれしんちゃんめ」


 若干一名、恨み言が聞こえてきたが気にしないことにした。

同じような展開を何度かくりかえし、さすがに2対1の時は止められなかったがそれでも8-3と大差を付けてその授業は終了の時間を迎えていた。

あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。

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