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フラグ89 計画とタイミングと酒と

あーもうあっつい!暑すぎ!遅くまで寝れねえよ!

まだまだ8月中旬、寝る時はエアコンをかけているが、節約の為に数時間で切れるようにタイマーをセットしてあるため遅くまで寝れない人生の夏休みを過ごしていた。

そろぼち京まふの予定決めとかねえとな。渡瀬にどうするか話すかー、今日土曜だしとりあえず電話の方がはえーか。京まふのことについて話したいんだけどいま電話できる?っと

できるよー

(さすが!返信はえーな)

「ういっすーおつー」

「おつかれー」

「ま、とりあえずホテルだよな」

「やな、調べてみるわ」

「さんきゅーおれも見てみる」

俺は電話しながら会場周辺のホテルを調べた。

「にしても珍しいじゃん、いつもこういう予定早めに決めとくのに」

「あー、まあ色々ありまして」

「もうやることないのに?」

「やかましいわい。そんなこと言ってちゃんとベッドふたつで調べなあかんで」

「わかってるって」

「まあ、2日間行くから、っても2日目は行って帰るだけだもんな」

「さすがに次の日仕事だし」

「だよな。だからホテルと1日目の夕飯か。いつも通り夕飯もおねしゃす」

「おけー、何系がいい?」

「酒系?」

「いや肉とか魚とか」

「あーそっちね」

「それしかないだろ」

「まあ肉かな」

「おっけー探しとく」

「さんきゅさんきゅ、時間と計画だけはまかせて」

「さんきゅー。あ、ホテルいいとこあったかも」

「まじ?」

「これ」

そう言うと渡瀬はURLを送ってきた。

「1万は安いな、わりと綺麗だし」

「だら?」

「ここにすっか」

「おっけー予約しとく」

「ないす。ま、夕飯の店は今すぐじゃなくていいから時間ある時に探しといて」

「おけー」

「で、えっとー、開場が9時だけどコミケより混まないし10時着とかでいっか」

「いいら、9時だとめっちゃ早く出ないと行けないし、たかとは特に」

「じゃあ10時着で中の行動はコミケみたいに別々として、結局ステージはなに当たった?」

京まふには各アニメのキャストたちが話したりするステージがあり、それは抽選で見れるかどうか決まるのだ。

「おれは剣と盾の国かな。何当たった?」

「コイワズライと異世界の国からと2日目が俺らのアニメ制作委員会ってやつかな」

「さすがすぎる、めっちゃ当たってんじゃん」

「ま、アニメ運はカンストしてるからな。たしか剣盾は17時からだら?」

「そーだっけ?ちゃんと見てないから分かんないけどたぶんそう」

「なんやねん、、まあ、だとすると18時ぐらいまでおれは待ちか。俺が行くステージ全部昼過ぎだし」

「わりいな、待っててくれ」

「あいあい。その他の細かいとこはまた京まふ近づいてからで」

「おけ」

(だいたいは決まったよな、ホテルと店とスケジュールと、、ま、こんなもんか)

「めっちゃ話変えていい?」

「ん?」

「俺彼女できたわ」

「え!よかったじゃん!」

「あざあざ」

「何繋がりの人?」

「バイトー」

「大学生って感じやな」

「大学生やし」

「とりあえずおめでとうや!」

「京まふんとき色々話すわ」

「楽しみにしとく」

「そんじゃこんなとこで」

「おけ」

「そんじゃ」

「はーい」

(あー、京都か、金かかるけど社会人になったら行けないかもだし、楽しみになってきたなー。旅行って感じもするし、、あ!陽と伊勢と卒業旅行とか行こっかな。うん、そうしよそうしよ)

思い立ったらすぐ行動するのが佐々木貴翔。俺と陽と伊勢のグループRINEが前々からあるのでそこで誘ってみた。

卒業旅行行こうぜ!

いこいこ!

(お、さすが陽だ。返信はえー)

いつにすっか

俺は別にいつでもいいけど

(おれも別にいつでもいいんだよなー、あ、でも12月は空けといた方がいいか。お、伊勢からもきた)

いいね!いこうぜ!俺はゼミとかまだあるから11月とかかな

さすがゼミ長!11月はライブあるから中旬以降なら

おれも11月おけー

じゃあ11/23とか

いいよ!

いいよ!平日に旅行とか大学生だなー

旅館も予約取りやすいしいいっしょ

あとは場所だよなー

近ずきるのも嫌だし遠すぎるのも嫌だな

草津とか?

あり!

いいねー草津

おっけーじゃあ決まりで

今度一旦電話して決めるか

そだなー

みんないつが空いてる?

来週の火曜なら

おれは大丈夫

おれもー

じゃあ21時付近で

おけ!

おっけ!

そんじゃよろしくー

(なんか立て続けに計画計画で頭おかしくなりそうだわ。あ、暑いのもあるか。エアコンつけよ)

そう思いエアコンのリモコンを取ろうとした時、電話が鳴った。

(うわ!びびったー、歌乃からだ)

「もしもし」

「あ!たかといま大丈夫?」

江ノ島へ行ったあの日から歌乃は徐々にではあるが、タメ口になっていた。

「大丈夫よ」

「来週の日曜日、花火大会いこーよ!」

「来週の日曜は、、バイトは、」

「私もたかとも入ってないよー」

「さすがっす、じゃあ行くか!どこの?」

「立川の!」

「あーなんかやってるやつか」

(毎年行き帰りかわかんねーけど、カップルがよく店に来てたやつだよなー。あーうざかった)

「そうそう!近いしちょうどいいじゃん?」

「だな!」

「したら17時に最寄り集合ねー」

「あいよー」

(展開はえーな)

「じゃあいまからバス乗るから」

「あ、部活終わったのか、おつかれ。てかもうそんな時間か」

「そうだよぉ、これだから4年生は」

「やかましいわ!」

「あはは!あ!そうだ!今日のバイト後の飲み行くよね?」

「行かないって選択肢がねえな」

「だよね!おっけー!じゃあまたバイトでね!」

「はーい」

最初に色々話したせいか、友達っぽいけど違う恋人の関係値を作れていた。バイトも含め会う時もわりと普通だし、でも時々甘々みたくなる。良い意味でお互いの線引きができているのかもしれない。

(なんか一気に決まったけど、京まふに卒業旅行に花火大会か、、リア充すぎて怖い!一旦今日の飲み会の為に頑張るか!仕込みからだけど、、ま、疲れた分酒が美味えってことだ!)

それから14時台という一番暑い時間に自転車を漕いで汗だくになりながらバイト先へ向かった。

「おっすおっすー」

「ういっすー」

「外暑すぎてしぬんだけど」

「暑いよなー」

「まじこんな中で野球やってたとか信じられん」

「おれもサッカーやってたんだよなー」

健人と二人して遠い目をしながら着替えて仕込みに取り掛かった。



仕込みが終わり、賄い(仮)ラーメンを作ってると健人もラーメンにすると言い、健人の分も追加して作った。

「はい、おまちどお」

「さんきゅー」

「やっぱエアコン効いた部屋で食うラーメンは美味えよな」

「間違いねえ」

健人とも長い付き合いだとあまり話すことはなく、お互いスマホで動画を見ながらラーメンをすすった。

「今日たかとも飲み行くんでしょ?」

「そりゃもちろん」

「ほか誰来るんだっけ?」

「歩が集めてたけど、まあほとんど来るっぽい。竜生も歌乃たちとか」

「イツメンってかんじか」

「だなー、朔斗は仕事だからこれねえって言ってたわ」

「あいつはいいだろ」

「仕事やってるとしゃーないよなー」

「おれも仕事だけど?」

「そうでした。すんません」

いつもの感じで話し、その後にゲームもして、営業開始時間の15分前になると、健人は予約ボードに予約を書きに、俺はテーブル席でスマホをいじっていると、その日シフトに入っている子たちが来た。

「おはようございます!」

「おー、さすが歌乃だ。早いねー」

「そんなことないですよー」

「でもちゃんと15分前守ってるのたかとと歌乃ぐらいだよ」

「えー、そうなんですかー?じゃあちょっと遅くしてみようかな」

歌乃は健人に対してそんな冗談も言えるぐらいには仲良くなっていた。そして、楽屋に入る前に俺に小さい声でおはよ、と言って楽屋に入っていった。

(今日のポジションどうすんだろ、最近ホール多いからキッチンやりてえんだけどな)

そう思って健人の所へ行き、聞いてみた。

「今日どうする?」

「んー、みんなホールもキッチンもできるからなー。たかとキッチンやりたいっしょ」

「え、いやまあそのやりたいです」

(心読まれてる)

「おっけー、誰と組みたい?」

「誰でもいいけどなー」

「今日の女性陣は歌乃、萌香、実菜いるし、1人ぐらいキッチンいれても良さそうだし、萌香もたまにはホールやらせたいし、歌乃にするか」

(これ絶対気づいてるよな!)

「おっけー」

(平常心平常心)

と、いう感じで決まり、キッチンは俺と歌乃、ホールは健人、ゆうと、とし、萌香、実菜になった。

営業開始前になり、みんな集まってくると、プチ朝礼もどきが始まった。

「じゃあたかとからひとこと」

「えー、頑張って美味い酒を飲むぞー!」

「お、おー」

ゆうとだけがノッてくれて他は何も言ってくれなかった。

「じゃあおれ休憩行くからたかとよろしくー」

「振っといて逃げんな!」

「あ、キッチンはたかとと歌乃だからー」

(言い方!なに爆弾投下して休憩言ってんだよ!)

一応いつも通り何事もない感じで俺と歌乃はキッチンに入った。

「ねえ、健人さんわかってて言ってるよね?」

「あれは絶対わかってる。おれほんとに言ってないからね」

と、小さい声でやり取りをしつつ、いつも通りっぽくした。

(てか付き合ってからシフトは被ってたけど、ホールとキッチンだったからそんな話さなかったし、でも何話せばいいんだこれ、付き合う前何話してたっけ?)

「今日は部活だった?」

「部活って言ったじゃ、、いや、部活!部活だった、じゃなくて部活でした!」

(おいー!慌てすぎだろ!それもう四捨五入しなくてもタメ口だぞ!でもやっぱこういうとこも可愛いんだよなー。じゃなくて、萌香めっちゃ見てるって)

「暑い中お疲れ様すぎる!」

「たかと、さんもやってたじゃないですか〜」

「イヤモウイチネンタツトワカンネエヨー」

(やばいおれもつられてカタコトになっちゃってる!)

はい、会話終わり。

(冷静になろう冷静に、一旦洗い場行こう)

俺は洗い場に移動し、溜まってもいない洗い物をゆっくり洗って洗浄機のラックに乗せていた。

「ちょっと」

「うわ!びびった〜、なに?」

「あんなんじゃバレちゃうって」

「いやいや歌乃の方がひどいって」

「たかとほどじゃないよ!なにイチネンタツトワカンネエヨーって」

「そっちこそ、あれはもうタメ口じゃんか!」

「しょうがないじゃん!もう慣れちゃってるんだから」

(なにそれうれし)

返す言葉もなく、食器を洗い続けていると、自分が言っている言葉に気づいたのか、歌乃は照れくさそうにしていた。

「と、とにかく、バイトに集中しよう。そうすればたぶん自然な感じになるって」

「たぶんって、もうたかとも自然にしてよ?」

「りょーかいっす」

そんなやり取りをして歌乃はキッチンに戻っていった。



ぎこちなかったのは最初だけでどうにかその日のバイトは自然な感じになった。たぶん。バイトは。


ホールもキッチンも上がり、着替えも済ませた頃だった。健人が楽屋から出てきた。

「行くかー」

「もう業務終わったん?」

「飲み行くから秒で終わらせた」

「さすがだわ。竜生と歩はもう入ってるって」

「似た者同士はさすがだな」

「みんな行くぞー」

「はーい」

移動している時には健人とずっと話しており、というか居酒屋まで5分ほどということもあるので話したうちに入らないが、雑談をして居酒屋に入った。

「おー!きたー!おつかれ!」

「おつー」「おつかれさまです!」

(相変わらずうるせえな)

「わりとみんないるじゃん!」

「僕の人望です」

すかさず舐めたことを言う歩。

「はいはい。そうですね」

誰も何も言わないので俺が軽くあしらった。

「一旦生とレモンサワーピッチャーでもらうか、別々だとめんどーだし」

「そうね」

「おねがいしまーす!」

「はいよー」

「生とレモンサワーピッチャーでグラス人数分もらえます?あとはこっちで注ぐんで」

「そんな遠慮しなくていのに」

「いやいや毎回使わせてもらってるし、2杯目からは別々で頼むかも!」

「そう?じゃあ生とレモンサワーね。お通しも持ってきていい?」

「おねがいします!」

こんなやりとりは竜生でないとできないだろう。一応俺も常連の中には入ってるが、ここまではできない。

注文したものが来ると、各々飲み物を注ぎ、乾杯へと移った。音頭はもちろんこの男。

「じゃあ皆さんグラスを持ってもらって、、えー、お集まり頂きありがとうござます!結構集まってもらって歩は自分の人望とか言ってますけど、飲める環境を作っているみんなのおかげということで、明日シフト入ってる人も予定ある人も、飲んじゃいましょー!かんぱーい!」

「かんぱーい!」

いつも通りに飲み会が開催され、バイトのことであったり、近況であったり色んな人と話をした。

俺は最初、竜生、健人、歩グループと飲んでいたが、後輩たちとも飲もうと思い、大学2年生組プラス栞のグループへと行った。

「ゆうと明日入ってんの?」

話始めはとりあえずゆうとから。

「明日入ってますよ!17時入りです!」

「じゃあ余裕で飲めんじゃーん」

「いけますよ!」

「他に明日入ってる人ー?」

俺がそう言うと萌香だけが手を挙げた。

「え!明日あるのにいいんすか?」

「17時なんでいいかなーって」

「萌香も成長したな〜」

「どういうことですかー?」

「これまで飲み誘っても渋ってたじゃん」

「今日はみんないるので」

「結局そこかー。あ、歌乃、俺のグラスとってくんね?」

「どれ?これ?」

「たぶん」

「たぶんってなんなの、もう」

歌乃はそう言いながら俺の肩を叩いた。

「ごめんごめん」

そのやり取りを偶然見ていたのか竜生がひとこと。

「なんかもう付き合ってるみたいじゃん!」

(やば、酒入って普通にしすぎた)

俺と歌乃が目を合わせてアイコンタクトだけして否定はしなかった。

その様子を周りが見て数秒静まり返った。

「え、がち?がちで?」

「うん」

「お、お、おぉ!おおおぉ!おめでとうすぎる!」

「てかたぶん知らんの竜生だけだぞ」

「え!!!」

俺と歌乃と竜生が一斉に声を上げた。

健人が俺の肩に手を置いて言った。

「たかと、もうみんな気づいてんぞ」

「まじ?」

そう言って周りを見渡すとみんな頷いていた。

「ちょっと1回たかとと歌乃集合」

竜生の号令によって俺と歌乃は中心に集められ、竜生が司会をした。

「あゆむはわかってた?」

「わかってました。たかとさんわかりすぎます」

「いやだって歩最近入ってないじゃん!」

「いやまあこの飲みで2人を見てたら、、そのへんは竜生さんと違うんで」

「なんでおれここで貶される?」

そんな歩と竜生の漫才は置いといて。

「まってまってゆうとも?」

「すみませんですけど、わかりやすすぎます。最近のバイト中とか見てれば」

「え、じゃあ萌香も?」

続いて歌乃が萌香に確認。

「歌乃わかりやすいんだもん。しかもタメ口で喋ってる時あるし」

「ちょっとそれはタメ組のグループで言ってよ〜」

「おもしろいから言わなかった」

そう言いながら萌香はニヤニヤしていた。

「え、じゃあ俺らは逆におもろいから騙されてたってこと!?」

「みたいだね」

そう答えた歌乃は耳まで赤くなっていた。

「え、なに?2人ともおもしろそうだから俺らには黙ってようってなってたの?」

「はいそうです」

「これはカップルイッキだな。歌乃は半分でいいけど」

「さすがにこれは飲みます。いや、飲まさせてもらいます!」

「歌乃大丈夫?半分でも無理なら」

「いや、半分なら」

「じゃあそっちは任せた」

イッキコールをしつつ、みんな笑って祝福してくれた。

イッキコールが終わると歌乃は女子チームに連れてかれた。たぶん色々聞かれたのだろう。

かくいう俺も男チームから根掘り葉掘り聞かれた。いつからとか、どっちからとかその他諸々。

「ちょっとトイレいってきまーす」

「吐くなよー」

一応心配?するように健人が言った。

「いやもう限界突破だわ」

(ちょっと外の空気吸ってこよ、トイレ空いてなかったら場ゲロしそう)

俺は店を出て適当な段差に座った。

(まじ飲みすぎたー。てか前にもこんなことあったよな)

そう思っていると、後ろから話しかけてきた子がいた。

「おつかれさまでっす!」

「おー実菜かー」

「あ、ちゃんと歌乃には言ってありますよ、入れ替わりで来ます」

(入れ替わり?なんか話があるってことだよな)

「ちゃんと言ったんですね」

(ま、その話だよな)

「おう」

「よかったです。あ、いやこれはほんとに。歌乃も大事な友達の1人なんで。それにAllceanのみんなだったら無理やり奪い取るなんてしないんで、付き合ったからにはわたしは何もしません」

「うん、、」

(どういう言葉を出したらいいかわかんねえ、頭まわんねえし)

「わたしが言いたかったことはそれだけです!歌乃泣かせたら許しませんから!それじゃ!」

そう言い放って実菜は店に戻って行った。

(この子も大概強い子だよな、、本当にごめん)

少ししてから歌乃が来て、ちょこんと俺の隣に座った。

「飲みすぎたよねー」

「歌乃は大丈夫?」

「いつもよりは酔ってるかな〜」

「ちゃんと水飲めよー」

「たかともね」

「おれは鍛え方が違うからいいんだよ」

「こんなんで?」

「うっせ」

「あはは!結局バレちゃったね」

「まあ今日のみたいのが続くならバレた方がマシだわ」

「あはは、たしかにね。。みな、なんて言ってた?」

「歌乃泣かせたら許さないって」

「あはは、みならしいな」

「深くは聞かないけど歌乃にも辛い思いをさせたよね、ごめん」

「うーん、そう思うならこれから精一杯楽しもうよ!全力で!でしょ?」

そう言って歌乃は覗くようにして俺の方を見た。

「そう、、だよな。ありがとう」

「ほ、ほら早く戻らないとまたいじられちゃうよ!」

「だな!いくか!」

そう言って立ち上がって店に戻ろうとした。俺は何を思ったのか先に歩いていた歌乃の手を取った。

「歌乃、好きだ」

「え!い、いま!?」

「なんかそう思ったから」

「そういうとこだよ、、わたしも好き」

歌乃は照れくさそうに言って、一緒に店に戻った。

戻ってからは記憶がなく、というか目が覚めたらもうみんな店を出ようとしていた。

「あ、たか起きた」

「あ、え?出る?」

「そー」

「やっべ、吐きそう。おれかね」

「歌乃がたかとの財布開けて払ってたぞ、あとでお礼言っとけ」

「はい、すんません」

ちょうどその時、隣にいた健人が教えてくれて店を出るまで介抱してくれた。

「あゆむとゆうとのトイレ待ちだから先出るぞ、店ん中で吐くなよ、耐えろ」

「まかせとけって」

俺はずっと下を向きながら健人の肩を掴みながら歩いた。

「にしてもよかったよ。たかとにも彼女ができて」

そう言った健人の顔は見えなかったが、優しい口調で本当に祝っているようだった。

「ありがとう」

「まだスタートだから色々がんばれよ」

「おう」

そんなひとことふたことを話して店を出て、縁石に座った。

「たかとやっば!大丈夫か!」

(あー竜生の声が頭に響く)

「もう吐きそう」

「水買ってくるわ」

「まじたのむ」

(おれが竜生に介抱される日が来るなんて、あ、歌乃は大丈夫かな)

俺は下を向いて座っているところを少しだけ上を向いて辺りを見渡した。

(あ、いる。てかみんなたぶんおれ以外大丈夫そうやん、、)

落ち着いたのか安心したのか、そう思った瞬間盛大に吐いた。側溝に。

「あー水は間に合わなかったかー」

「あーしぬー、もう一発来そう」

もう一発吐いて、竜生が水を持ってきてくれて、水を飲んだらすっきりした。

「復活したわ。ありがとう」

「超人か」

俺の周りには健人と竜生がいてくれて、どうにかひとりで歩けるまで回復した。

「たかとも回復したっぽいしみんな帰るか」

竜生がそう言って一旦解散した。

さすがに歌乃と一緒に帰るのは無理だと思ったので、先に行っといてとジェスチャーを送り、ゆうとたちと先に歩いていった。

(さすがにチャリは乗れそうにねえな、電車、乗ったらそれもそれで吐きそうだし、、歩くのもしんどいな)

「たかと俺ん家で休んでいけば?」

そう言ってくれたのは竜生だった。竜生は地元だが、一応一人暮らしで、家も俺が帰る通り道になっている。

「まじ?そうする」

「どうせチャリ乗れねえだろ。俺が持ってくわ」

「さんきゅー」

「歌乃に言っとけよ」

「わかってるって」

RINEにしとこうと思い、スマホを開くと数分前に歌乃からRINEが入っていた。

たかとの飲み代たかとの財布から払っといたから

それに飲みすぎー

(健人が言ってたやつね、ごめんごめん。今日は許して)

まじごめん、ありがとう

なんか嬉しくてつい、、

竜生ん家で休んでくからほんとごめんだけどゆうとたちと帰ってもらってください

(これ怒ってるよなー、明日ちゃんと謝っとこ)

わかったー

たぶん怒ってるよなーとか考えてると思うけどほんとにそんな怒ってないからね、少しは怒ってるけど笑

でもどうせみんなが祝ってくれて嬉しくて飲んじゃったんでしょ

(あれだけの文でよくわかってんなー)

気をつけます

(一応ゆうとにも連絡いれとくか)

まじごめん歌乃のことよろしくー

はい!任されました!

(これでよし、と)

「連絡しといたわ」

「そんじゃいくか」

「おれも竜生ん家で休んでくわ」

「お前は家に帰れ」

「えー」

「嫁がいるんだろうが」

「んー、そうするかー」

「ま、途中まで帰ろーぜ」

「だなー」

それから駐輪場へ行き、竜生は自分の自転車と俺の自転車を押しながら歩き、3人で途中まで一緒に帰った。

竜生の家に着くと、秒で寝て、起きたのは11時だった。竜生をいくら叩いても起きなかったので、一応帰ると伝えて、竜生の家を出た。

(うわ、明るすぎだろ。家帰ってからシャワー浴びてまた寝るか)

暑すぎて死にかけながら自転車を漕ぎ、なんとか家に着いた。家に着いてから歌乃にはちゃんと連絡をしといた。

昨日はまじごめん、いま自分の家着いた

ほんともう

こんなに飲むことほぼないんだけど

しょうがないから花火大会の日全奢りで許してあげる

ぜひ奢られせてください!

お腹空かしていこ

お手柔らかにおねがいします

(あれ、なんかだんだん尻に敷かれてねえか。ま、いっか可愛いし)

二日酔いの頭で結局可愛いしか出てこなかった俺だった。

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