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怪盗Rと怪盗A  作者: 瑠奈
TARGET9 〜裏切り者は誰?〜
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情

「――にしても、フォーマルハウトって誰なの?」


 出会い頭で衝突しそうになった黒服を蹴りで吹き飛ばしながらRが訊いた。


「……さあな。電話も変声幾を通してたし、よくわからなかった。口調は男っぽかったけど、それで判断するのはマズイな」


 口ではそう言うが、Aは心当たりがある。


(もっと情報があればよかったんだが)


 小さくため息をついたAはKの指示に従って階段を駆け上がった。



「来たか」


 スマホを横にして見ていたベクルックスは小さく呟いた。そして立ち上がる。


「結構ギリギリになったな。あと十分遅けりゃ、あいつら殺ってたんだが」


 ニヤリと笑うフォーマルハウトがレザージャケットの内ポケットから拳銃を取り出した。


「情がねえな」


「お前が言うか? それ」


「十三年間兄としてあいつらに接してきたんだろ。貴様に指令が来たのは八歳のときだし、情くらい湧いたって不思議じゃねえ」


「……まあ、普通はそうだよな」


 フォーマルハウトの小馬鹿にしていたような笑みが消えた。頬杖をつき、遠くを見ているような目をする。


「――俺さ、両親殺ってんだよ」


「……」


 ベクルックスは何も言わなかったが、ピクリと眉を動かした。


「俺は日本人だけど、生まれはどっかの紛争地。俺の親は俺がとにかく邪魔だったらしくて、飯もろくにくれなかったし、いつも殴られてた」


 そこまで言ったフォーマルハウトは椅子の背もたれに体を預け、天を仰いだ。


「七歳くらいのときか。突然空襲が来てな、パニックになった親が包丁で俺を襲ったんだ。もう俺の人生終わるのかって思ったな。けど、何でかは分からないが、死にたくないって思ったんだ。で、気づいたら、母親も父親も刺されて死んでいた。俺の手には血の付いた包丁があった。その後、空襲から逃げ回ってたら隣の国まで行ってて、そこでボスに拾われたってわけだ。俺の情は、両親を殺したときからないんだよ」


「……だから、階級も与えられていないのに潜入なんて任されたのか」


「年齢の問題もあったからな」


 頷いたフォーマルハウトは立ち上がった。


「怪盗共来たんだろ。行くぞ」


「……貴様に指図される筋合いはないな」


 フォーマルハウトを睨みつけたベクルックスは会議室を出ていった。



「ダメだ……どこにいるんだ……?」


 Kは焦ったようにキーボードを打っていた。


「見つからない?」


「うん……防犯カメラをわざと設置してないのかもしれない。けど……」


 Kはパソコンの画面に新しいウインドウを表示させた。


「ビルの見取り図からして、死角になっているところは各階に一箇所ずつあるんだ」


『それ、絶対狙ってるだろ』


 KとYの会話を聞いていたAの声がヘッドホンから聞こえた。


『危険だけど、行ってみるか。分担したほうが早い。十一階から二十階だよな?』


「うん」


『わかった。一人二箇所担当しよう。二十階から俺、R、X、T、Uでいこう。それでいいか?』


『OK!』


 Aに訊かれた一同が返事をした。


「死角になっているところはその都度指示する。まずは持ち場に向かって!」


『OK!』

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