12.咲き乱れし花は悪戯な魅惑①
神木さとるは撫子の胸だけは愛撫しない。イクニュウしたら支障があるからだ。撫子は外では男で通っている。
「―――…ァっ」
意図せず出てしまった声に撫子は自分で驚き神木も目を丸くした。
うわずった女らしい声。すくんで真っ赤になる撫子に
「今の声もっと聞かせて…」
愛撫が再開される。
視界がピンクの髪で囲まれて、さとるのキスの雨が優しく降ってくる…―――――
ライブ
♪いつにない雨模様…傘もささずさまよい…
濡れた髪が顔に…へばりついたまま
空見上げた…
Ahー…愛しくて…愛しくて愛しくて愛しくて…
Ahー…眠れない…眠れない眠れない眠れない…
「ナデシコなんか歌い方上手くなってない!?」
「なんか色気でたよねー」
「私生活絶対なんかあった」
「や~んナデシコ彼女できたのかなーっ」
私生活は謎の倒錯系アンニュイイケメン、日中は某スーパーの品出し。
ライブ前、楽屋に集まって冥海が
「撫子、お前最近急に綺麗になったて噂だぜ。前から綺麗だったけど」
アンニュイに髪を耳にかけて受け流す。
「そうか?」
「絶対神木と付き合ってるってファンが」
ぶー!撫子は飲んでたお茶を鼻から吹き出した。
「ゲホゲホいてて」
鼻を押さえる撫子。
P「ば、ばっかだなー!神木みたいな可愛いコと同棲しててモノにしないテは無いよな!?な!?」
必死にウインクを飛ばしてくる。
「あ、ああ?」
頬が引きつる撫子
(ああ、逆にいつボロが出るか気が気じゃないや)
「ほんとに付き合ってんの?」
クラが聞いた。
神木が答えた。
「…。ごめん付き合ってた」
「ほーらね!ってうわーん撫子ーっ!」
泣いて飛び出してってしまったP。
(てかそれって女同士じゃん、こないだはフラれたショックで頭になかったけど、まさか神木と撫子が…レズ…)
ピューッと戻ってきたP
「神木…っ、やっぱその、撫子とはもうちちくりあったんか?」
5秒考えて、コク、と頷く神木。
「ノォーーー!!」
また飛び出してったP。
「あのバカなんでんな事神木に聞くんだ、聞くなら男の撫子だろ」
知らないクラは呆れている。
廊下でしゃがんで丸まってブツブツ考えるP
(けどレズって事は女同士なんだから、まだ処女と呼べるのでは?…ハッ!まさかだけどレズグッズとか買って、ペニバンとかディルドとかでやる事やってたら!?あんな事やそんな事を…!?)
「っノォーーー!!」
頭を抱えた所にピンキーが来た。
「よぉP今夜も宜しくー」
Pはヨロヨロ頭を上げた。
「キキ…お前に残念な知らせだ。撫子が神木と付き合ってるって」
「え!?」
男3人は先に楽屋に行った。
「嘘でしょほんとなの?」
「ほんとだよ!もうやる事やってんだからな」
「嘘」
(だって撫子が好きな相手は男だったはずよ、神木は女じゃない!)
「撫子ったら目の前の性欲を満たす為に神木と!?」
「ちげーよ!ちゃんと、神木が好き!つって俺フラれたんだからな!」
よろめくキキ
(神木クンがその相手!?じゃあ神木クンは…男!?)
Pを置き去りに楽屋に駆け込むキキ
「神木クン!」
ムギュ!と抱きついてさりげなく体を触る。顔面蒼白になるキキ
(そんな…間違い無いわ、神木クンは男!
風呂上がり裸で歩き回る四人の兄と育ったあたしに間違いは無い!)
無言でヨロめいた所にPが戻って
「撫子ー!やっぱり俺諦めないからー!
神木みたいな女より男の俺の良さを分かってくれー!」
「やかましい」
べし!と叩くクラ。
「痛てーなっ!撫子、いつか絶対振り向かせっからな!」
引くピンキー男3人。キキはプルプル
(神木クン♂とやる事やって…!♂同士で!)
「っ撫子、一応おめでとうを言うわ…」
「ああ、ありがと」
少し困った爽やかアンニュイスマイル。撫子はキキとの初デートの時“好きな相手は男”と言った事を忘れていた―――――
(さとるのことを考えると思い出して体がうずく。そういうの今まで分からなかった。でも今は、歌詞の愛しくて眠れないが実体験が付随してすごくよく分かるの)
アンニュイに首を傾けて目を閉じ、
(さとるこの歌詞書いた時、押入れで眠れないでいたって事かな、あたしのことを考えて?…なんてっ)
ニヤケないように小さくゆっくり頭を振る姿はクールアンニュイイケメン。
ライブ後、楽屋で脱いだP&クラを見て撫子は
(さとるのおかげで男の裸に慣れたけど、よく見るとあいつらもけっこういい体してんだよなぁ)
後ろを向いて自分で頬をつまむ撫子を見て神木が
「ちょっと」
と引っ張って湯沸室へ。
「?何?」
ムッとした表情の神木が撫子の顔を両手で挟む。
「んっ…」
強気なキス。
「よそ見すんな、俺だけ見てろ」
カアアア赤面の撫子
(かっ…可愛いーーー!!!)
ムギュ!と神木を抱きしめる撫子。
「ごめん♥でもさとる一筋だよ♥」
見つめ合ったら。我慢できなくて。
神木が撫子の首に腕を回し、撫子は神木の腰に手を回し、もう1度キスをやり直す。
(幸せ♥…)
一瞬ピョコッと覗いてまた足音を立てず去るP&キキ。
(女同士で…!)
(男同士で…!)
目を押さえてプルプルする二人…
その時リュージは知ってしまった事実を頭の中でハンスウしていた。
(神木が撫子と付き合って、もうやる事やってるって…)
撫子がライブで歌ってる曲「琥珀の空に虹がかかり」をYouTubeで公開してます検索は
ミカン青 「琥珀の空に虹がかかり」
です聴いて下さいませm(_ _)m




