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第一話:星九天玉と塔

「へぇ、今のMMORPGってこんな感じなんだ。」

 見渡す限りの草原の一角にトカゲが大量にいた。

 星九は、早速そのトカゲの近くにいるNPCに声をかけてみた。

「君は見慣れない顔だな?丁度いい、あのトカゲを10体狩ってくれないか?」

 すると星九の頭上にクエスト受注マークが出た。

星九は言われた通りにトカゲを狩り、次のNPCに話を聞く事にした。

「始めまして、星九さん。あなたはどう言う職業に就きたいですか?」

 そう言いNPCは靴の爪先をトントンと地面に叩き、転職画面を開いた。

 ウォーリア、ローグ、レンジャー、クリエイター、マジシャン、アコライト、ワンダラー、リベンジャーと様々な職業が表示された。

 ウォーリアはオーソドックスな剣士であり、剣や槍、斧や何故か鈍器まで使える職業である。

 

 ローグは短剣、片手剣を両手に装備して戦える職業であり、トリッキーな動きも出来る上に狩り速度は最速である反面、防御面は下から数えた方が早い。


 レンジャーは弓、片手銃、両手銃を使える職業で遠距離からの攻撃で相手を翻弄(ほんろう)する職業である。


 ………………

 …………

 ……

 

 全職業の説明を見ながら星九は考えた。

 接近戦ならウォーリア、ローグ、リベンジャー。

 遠距離戦ならマジシャン、レンジャー。

 ヒーラーならアコライト、クリエイター、ワンダラー。

 魔法職ならマジシャンの一択。

 

「うーん……ウォーリアかローグで行くかな。ヒーラーは楽しそうだけど、HP管理が大変そうだし、リベンジャーは逆にHP減少しながら戦うので倒れやすそう……。」


「良し、ウォーリアで行こう!」

 ウォーリアを選択した瞬間、光が星九を包み転職に成功した。

「転職おめでとうございます、では、拠点に転送しますね。」

「え……、ステ振りは!?」

 星九は光に包まれ、拠点に飛ばされた。


 拠点にはサービス開始と言う事で多くの人がいた。

 様々なキャラクター名が頭上に表示されており、中には頭上にキャラクター名とは別に書かれている文字に目が行った。

「……なんだろう、あの文字。」

「あぁ、アレね!アレはギルドに所属しているって言う証やね。」と横から声が掛かった。

 ふと、横に目をやると一人の女性が立っていた。

「えぇっと、どなた?」とクビを傾げて尋ねてみた。

「うん、ウチ?」横にいた女性の頭上にキャラクター名が表示されてるが読めなかった。

「そうそう……ミッシェルさん?」

 キャラクター名はMichaelと書かれていた。

「誰がそんな外人の真似すんねん!」

「じゃあ、なんと呼べば良いの!」

「うちの事はミカエルさんと呼びや。」

「……えぇ」困惑しながら星九は尋ねた。

「なんや、不服か?」

「ミカさんはダメ?」

「…よし、許したろ。」ミカエルさんは満足そうにそう言った。

「ねぇ、ミカさん?」

「なんや、まだなんかあるん?」

「ここで知り合ったのも何だし、フレンドになりませんか?」

「ええよ!」とミカさんは了承してくれた。


 ミカさんと別れ、一人でワープポイントまで来た。

「ミカさんは確かここでレベル上げと言っていたっけ?」

 ミカさんと別れる前に様々な事を聞いていた。

 ステータス振り分けやギルド設立の仕方やレベル上げ等……

 レベル上げはワープポイントの先に1階があり、その階のクエストをクリアしたら次の階へと上がれる仕組みだった。

 中には階にボスモンスターがいる階もあるから気をつけるように聞いていた。

 

「とりあえず1階から挑戦するか!」

 1階には、トカゲが大量にいた。

 そして、それを狩るキャラクター達が10人前後いた。

「ちょっと横殴りしないでよ!」

「すまん……」

 様々な人が居るんだな……と実感した。

 星九はなるべく離れてトカゲを狩りつつ、階を進めていた。

「あ、ミカさんだ!」

「お、今さっきの……えぇっと、星!」

「ちょっとミッシェルと言ったら怒ったのにこっちは星って……」

「アハハ! うちはええねん!」

「……えぇ、理不尽。ところでミカさんもここで狩りですか?」

「そうそう、まぁ、見ておきや!」

 ミカさんはそう言い、杖から炎を繰り出した。

「ミカさんってマジシャンだったの?」

「ウンウン、エフェクトがかっこええやろ?」

 そう言うミカさんを横目にひたすらにトカゲを狩り続けた。

「ところでこのパーティーってのは何ですか?」

「あ、これ?」ミカさんは相変わらず派手な魔法を繰り出し、トカゲを狩りながらパーティーについて説明し始めた。

「パーティーってのはクエストをはよ終わらせて、経験値をゲット出来る方法やで!」

「……意味が全く分からない。」

「なんやと! まぁ、ええ…この階のクエストが終わったから次の階に行こうか!」

「了解です。」

 ミカさんに連れられ、次の階にやって来ると周囲にはモンスターが居なかった。

「あちゃー、ボス部屋やな…」

「ボス部屋?」

「そうそう、5階ごとにボスがいる部屋があって……丁度、来たわ!」

 ミカさんに言われて、正面を向くと体長10メートルくらいある巨大な紫色のトカゲが星九を見下ろしていた。

「アレがボスや…そうや、パーティーを組もう!」

「え……、了解です。」

 ミカさんはパーティー画面を開き、頭上にパーティー募集中と表示が出た。

「はよ、入りや。」

「入りって……こうかな?」

 パーティー募集中に指が触れるとパーティー画面が表示され、リーダーはMichelとなっていた。

「これでオーケー…では、倒すか! 星はトカゲを惹きつけておいてな!」

 ミカさんはそう言い、魔法を唱え始めた。

 星九はと言うと巨大トカゲの足元に行き、剣で切っているだけだった。

 魔法と剣による攻撃を巨大トカゲに与えていると周囲を赤いエフェクトが円状に広がって行った。

「範囲攻撃が来るで、逃げて!」

 周囲に赤いエフェクトが広がり隕石が落下して来た。

 土埃(つちぼこり)が舞い、見えにくい視界がうっすら開けると巨大トカゲはまだ怒り狂っていた。

「ミカさん、大丈夫?」

 パーティー画面を開き、Michelさんの名前を確認するとどうやら無事だ。

 星九は範囲攻撃に巻き込まれ傷を負ってる状態。

 ミカさんは無事なのは無事だが、土埃のせいで確認は取れない。

 八方塞がりな状況下、とりあえずポーションを飲んでHPを回復し、スキルを確認する。

「……これって有効なのか?」

 再度、赤いエフェクトが地を這い足元に迫って来た。

「やってみるか……ショックスタンプ!」

 巨大トカゲの頭上に剣を振り下ろし、ノックバックさせた。

 巨大トカゲを中心に広がっていた赤いエフェクトは範囲外になった。

「これって有効なんだ……、そうと決まれば。」

 星九が巨大トカゲの頭上を目指し、攻撃していると「炎よ。」と声が聞こえた。

 後ろを振り返ると遠くの方にミカエルさんが魔法を放つ準備をしていた。

「星、前衛は任せた!」

「了解です。」

 星九は巨大トカゲの足や頭上を狙い定め、ミカエルさんは体に魔法を放ち続けた。


「ふぅ……やっと終わった!」

「お疲れ様〜、範囲攻撃を食らってもピンピンしてるけど、どんなステータスにしたん?」

「体力多めで、回避=力です。ミカエルさんは?」

「ウチ? 知能=体力やな!」

「なるほど、通りでタフな訳ですね。」

「そうやろ? じゃあ、ボスも撃破したから拠点に戻ろ!」

………………

…………

……

 拠点に帰ると次々とギルドが出来ていた。

「ギルドが増えましたね」

「まぁ、資金さえあれば誰でも作れるからな。」

「ところでミカさんはギルドに入らないのですか?」

「……それを聞く?」

「何かあったのです?」

「星が来る前に所属していたけど、追い出されたねん!

 五月蝿い(うるさい)と言われてな。」

「あぁ……わかるかも。」

「何やと!?」

 二人は顔を見ながら笑い始めた。

「もし、星九がギルドを作ったらミカさん、入ってくれませんか?」

「ええけど、五月蝿いで?」

「大丈夫ですよ、五月蠅さなら星九も負けてませんから!」

「じゃあ、ええよ。」

「ありがとうございます、今日はもう落ちますね。」

 ……………………

 ………………

 …………

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