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職業なしの俺、実は“触れるだけで全職業を奪える”最強のバグ持ちでした ~ 召喚された王国に見捨てられたので、自由に生きてたら世界の勢力図が変わってた~  作者: 天音天成
第10章 無職は王にならない

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100/100

第100話 無職の旗は翻る

アストラの外れ、小高い丘の上に新しい旗が立てられた。


派手な紋章も、王族の色もない。


 ただ、深い紺地に簡素な銀の線だけが入った旗。


「地味ですね」

 玲奈が言う。


「らしくていいだろ」

 俺が返す。


無職の旗。


最初は皮肉だった。


 王国に捨てられた無職を笑うための言葉みたいなものだった。


でも今は違う。


職業がなくても。


 王国に認められなくても。


 それでも立って、生きて、手を取り合っていけるんだと示す旗になった。


丘の下では、子供たちが走り回り、商人が品を運び、工房では新しい道具が作られている。


 美咲さんは診療所の準備をし、玲奈は訓練場で弓を教え、大雅は護衛たちに剣を振るい、ルナはその全部を自由に見回っている。


「コーイチ」

 ルナが旗を見上げる。

「翻ってる」

「ああ」


風が吹く。


旗がはためく。


王国に追放されたあの日、俺はただの“外れ”だった。


 でも今は違う。


王にならなくてもいい。


 英雄にならなくてもいい。


 無職のままでいい。


そのまま、自分の旗を立てられたなら、それで十分だ。


「……悪くないな」

 俺が呟くと、美咲さんが隣で微笑んだ。


「ええ。とても」


空は高く、風は穏やかだった。


壊れたものが全部戻ったわけじゃない。


 これからも問題は起きる。


 世界管理機構も、王国も、諸国も、まだ不安定だ。


それでも。


無職の旗は翻る。


誰かに与えられた役割じゃなく、俺たちが自分で選んだ場所で。


その旗の下で、物語はようやく一つの終わりへ辿り着いた。

これにて、本作は完結となります。

今回は実験的な試みとして、短いエピソードを積み重ねる形で投稿してまいりましたが、無事に全100話を書き終えることができました。

個人的にも非常に愛着のある作品となったため、いつか第2部として続きを描く日も来るかもしれませんが、現時点では未定です。


最後までお付き合いいただいた読者の皆様、本当にありがとうございました!

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