表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/44

結婚式

結婚の準備に関して、特筆すべきことはない。

誰でもしている事を普通にしただけ。

クレーベ伯爵家は何も希望はないようだし、わたくしも結婚に夢は見ていない。

準備はとんとんと順調に進んだ。


結婚準備期間の間に、わたくしにはある心境の変化があった。

気がついたのだ。

この結婚はその気になれば拒否することも出来た。なのに、わたくしは諾々とレイビックの勢いに押されるまま、準備が進むに任せた。

それはつまり、わたくし自身が、この結婚を認め望んだということなのだ、と。

それならわたくしは、フェリクスを一生を共にする夫として迎え、受け入れる責任がある。

このアダルベルト侯爵が完璧な支度で婿を迎えてみせよう!

そう決意表明したらエリーには

「お姉様、お固過ぎますわ。それでは誰も齧れません」

と笑われた。訳わからない。



結婚式はウォルバルツ教会で行われた。

教会の待合室でレイビックと待っていると、あの日すれ違っただけの美貌の主がやってきた。

やはり、公園で見たものは見間違えではなかった。天使像から抜け出てきたような、完璧な容貌。

白金色のさらりとした髪と、髪の色を濃くしたような金色の衣装の組み合わせが妙を得ている。

その圧倒的な美しさに改めて驚き、こんな人間が世にいるものかと感心した。

「アダルベルトのマルグリット、ですわ」

身分が上であるわたくしから名乗る。

彼は優雅に腰を折った。

「クレーベから参りましたフェリクスと申します」

声は想像よりも低い。空気にしっとり溶けていくような声。

「良いお天気でよろしかったですわね」

「昨日までの雨雲も今日は侯爵様に遠慮し去っていったようです」

卒なく返す会話力、正しい発音、抑揚のある発声。

これっぽっちの言葉を交わすだけでわかる。

貴族として正しい教育を受けてきた者だ。

父親であるクレーベ卿を見て、いろいろ心配してたけど、まともそうな息子だ。良かった。


そのクレーベ卿は隣でレイビックと固く握手を交わしている。

二人とも目が潤んでいる。

いや、クレーベ卿の目尻からつーと零れた。

そんなにこの日が嬉しいのか‥‥‥親の気持ちはわからない。


教会の者が案内に来て、わたくしはフェリクスに手を取られて、神父の前に進んだ。

アダルベルト家は妹二人とレイビック叔父、クレーベ家は父親であるクレーベ卿が見守る中、わたくしたちは神の身前に夫婦と認められた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ