#806 ハルト隊長、スペースレール㈱車両基地にようこそ
#806
このやりかたチキュウのらぶほてるというカップル向けホテルの部屋案内にあるやつだ、とハルトは思ったが、とりあえず言わないでおく。
工場にも縦横に線路が設置されて、作業工程に応じて車両を移動する仕組みのようだ。近くの線路では大型作業用ロボットがコスモ1号の点検整備をしている真っ最中だ。
その脇では、アリスがミーナミとなにか相談しているらしい。そして、その横の線路にはコスモ2号らしき真新しい編成が留置されている。
「ハルト隊長、スペースレール㈱車両基地にようこそ」
ハルトの接近に気が付いたアミーナミが近づいて来る。
「やあ、ミーナミCEOお疲れさん」
ハルトも返事をする。
「ハルト隊長、CEOっていうのはなんでしょうか?」
「ああ、CEOっていうのは最高責任者のことなんだよ、代表取締役とか社長とも呼ぶよ」
「じゃあ、私は社長って呼ばれるのがしっくりきます」
「では改めて、ミーナミ社長、就任おめでとう」
ノバとルミナも合わせて手をたたいている。
「じゃあ、ノバは副社長ってわけだな」
「私は形だけなので、今まで通り航海長がいいです」
「まあ、そういうなよ、ここに来たら副社長って呼ばないと示しが付かないだろう?」
「ところで、アリス中佐、今どこまで進んでいるんだ?」
ハルトに声をかけられて、コスモ2号の先頭車両の側面ハッチに首を突っ込んでいたアリスがようやく顔を見せる。
「あっ、ハルト隊長、お久しぶりです」
思いっきりものづくりを堪能しているためか、アリスの顔はつやつやしていて血色が大変良い。
その赤みが差している頬に紅ではなくて、オイルらしき汚れがうっすらにじんでいるのが、どうにもアリスに似合っている。
服装はチキュウのつなぎによく似ているが、ずっと機能的で腰に装備したツールを的確にしようできるであろうことがわかる。
「ハルトさん、今はアリス中佐はいいから」
隣でルミナがハルトとつつく。
「えへん、今日はミーナミ社長と折り入って話があってきたんだよ」




