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欠片を拾う。深淵を覗く。
「深夜、虫の音 聞こえる中」
この世の刹那
恥じらいもなく泣けることの傲慢さよ
ゆらゆらと木漏れ日が
優しくもなく腐った四肢に降り注ぐように
いかでか その意味を知れよう
目に映る事が全て
存在はたしかに有形
流線の先にあるのは空だとして
それでも 今 排泄を繰り返す
無駄の多い螺旋
嫌気がさしたのは日常か
ひだが邪魔なんだ
お前の眼が痛いんだ
押し出されるように涙がこぼれるくらいなら
汚れた空でも見上げる
しとやかに雨が
いたわりもなく哀れな人に降り注ぐように
まばたきの刹那
様々なものを切除した
往々にして大切なものばかり
手の内には残らない