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JOKERMAN  作者: ホーリン・ホーク
26/33

26.northforest

  四日目の朝。

 ついにノースフォレストに入るジョーたち。

 目の前に広がる大自然。美しい緑と雄大な山々。

 新鮮な空気と澄んだ水。生命に満ちた匂いが、彼らを温かく歓迎しているようだった。


 夜の出来事でボビィはますますジョーが好きなった。

 ――僕も強くなりたい。おじちゃんみたいに。

 銃声で目が覚めた二人は窓越しにジョーを見ていた。事無きを得、リリィは感謝で涙が溢れた。



 ジョーはビフから聞いたハイランズの住所を地図で確認する。

「ハイランズさん。居てくれたらいいがな」

 橋を渡り森を過ぎると、小さな町が広がった。

 素朴な風景と平穏な日常は懐かしくもある。通りを抜け、小高い丘を目指した。



 やがて無事、ハイランズの家に辿り着いた。

 それは実に質素な、木造の白い一戸建。

 ジョーは速度を落とし、ゆっくりと敷地に入った。地面には残されて間もないタイヤの跡が。


「ジープだ。もう帰っているかも」

 木彫り看板で〝ハイランズ診療所〟とある。その正面に車を停め、ジョーは降り二人の手を。

 ボビィは勢いよくポーチに走っていった。リリィはジョーに言う。

「ハイランズ先生は(困った時はいつでもおいで)と。……でもまさか本当に、来てしまった」



 ボビィは玄関のチャイムを鳴らした。

 四回、五回……だが、何の反応もない。

 リリィはボビィの頭を撫で、ジョーを見た。

「やっぱりお留守かしら」

「うむ。車庫の方を、裏へ回ってみる」


 行くと、駐めてあったのは黒いジープ。これはドクのものだろうかと首を傾げながらジョーはその物騒なサイドボディの印字を確かめた。


 〝航空機動隊 = No.05〟


「これは?!」ジョーは振り向いた。

 ボビィが歩み寄ってくるその時、物影から伸びる銃身が。それを見てボビィは叫んだ。

「おじちゃん! 後ろっ!」


 轟く銃声、火を噴くショットガン。

 ジョーは背後から撃たれ、うつ伏せに倒れた。


「おじちゃーーーーんっ!」

 撃った男、そこに姿を現したのは――。リリィは驚愕する。


「フットプライド!」

 震えながらリリィは必死でボビィを背に。

「ど、どうして、あなたがここに……?!」

 姿を現したレオ・フットプライドは含み笑いで銃を肩に、二人の前に歩み寄る。

「おいリリィ。さぞ他人行儀なご挨拶だな。何様のつもりだ?」

「ひ、人殺し! あなたは彼を、…なんて人なの?!」

「くくっ、ふ、はっはっは! はあ? 何て口の利き方だぁリリィ。お前を拐った男に裁きを下したまでだぞ!」

 したり顔が醜く歪み始めた。

「撃たねばこっちが殺られたわ! そいつは元ビリジアンベレーの……」

 硬直しているリリィの腕をフットプライドは掴んだ。ボビィの腕も無理矢理引き寄せる。

「おじちゃん! ジョーおじちゃん!」

 二人に手錠を掛け、ジープの後部座席に押し込むフットプライド。涙目でリリィはジョーを見つめた。


 フットプライドが言う。

「こんな死に損ないの、幽霊みたいな男と……怖かっただろうボビィ? 今度は優しいパパとドライブだぞ」

 フットプライドはちらりと地に伏すジョーの横顔を確かめた。


「ん?」

 フットプライドは顎を摩りながらジープに乗り、キーを回した。それから後ろのリリィに訊いた。

「リリィ。あの男は……ジョセフ・ハーディング なのだろう?」

「……え?」

「顔が……違うように見えたが……。まあ、いい。とにかく早く行くぞ」



挿絵(By みてみん)

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