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JOKERMAN  作者: ホーリン・ホーク
20/33

20.license to kill

 風になびくコート。

 カフェレストRamonaへの客人。

 ビフ・キューズは手を挙げ、彼を迎え入れた。

 みしりと床を軋ませながらその男はゆっくりと、奥の衝立で隔てた席へ向かう。

 視界を全て遮るほど大きく、髪は短く、サングラスをかけている。

 食事をしていた数人の客はその威圧に身をすくめ、硬直した。


 生成りのコートを脱ぎ、彼は腰掛けた。

「ご苦労様」と、それはビフからの報酬。

 彼はその包みに手を当て、しばらく経って表情を和らげ、懐から取り出した煙草に火を。ビフは灰皿を置き、カップを取り、カプチーノを注いだ。


「怪我はなかったかい?」

 彼は一口味わい、低く掠れた声で答える。

「ああ。大丈夫だ」

「よかった」

 ビフはその硬い肩を叩いた。

「会えて嬉しいよ。ライセンス」



 〝ライセンス・トゥ・キル〟

 彼はビフの古き友人。

 暗黒街でその存在が既に伝説と化した男。

 〝LICENSE TO KILL =殺害許可証を持つ男〟。

 そして奇妙な話だがジョーの良き理解者でもある。

 


 軽く身を起こし店内を一望して、ライセンスはまたビフを見る。

「ジョーは、もう発ったのか?」

「昨日の朝な……」

「どうしたんだ? 何か考えてる」

「その後電話で、ジョーが〝レオ・フットプライド〟のことを訊いてきた」



 ビフは昨日の出来事を話した。ライセンスは黙って聞いていた。身を乗り出してビフは話す。

「それで思い出したんだ。そのリリィという女……彼女の写真を、ジョーは持っている」

「ん? どういうことだ?」

「地下牢から助け出した時、ジョーはそれを離さなかった。手術の時も静養中も肌身離さず」


 ライセンスはふぅっと息を吐いた。

 煙が目に沁みる。


「……で、ジョーは彼女たちをどうするつもりなんだ?」

「ノースフォレストまで。ハイランズ(ドク)の所まで連れて行くと」

「そうか」

 ライセンスはカプチーノを啜り、考えた。ジョーの胸の内を。



「ビフ。もう一度、フットプライドの事を調べてみてくれないか?」

 調べるのがビフの仕事だ。無論だと頷き、

「実は今、ドクはグレイヴスにいる。お前さんが掴んだ情報をずっと追ってた。その証拠をいよいよ手に入れようとしている」

「……そうか。もしそれが真実ならば」

「真実ならば?」

 煙草を揉み消し、ライセンスは言った。

「その時は、俺が出向く」


挿絵(By みてみん)

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