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屋敷の中をお母様に付いてアルベルト様の部屋の前まで来た。アルベルト様の部屋は2階の一番奥の部屋だった。まだ会ったことのない人をお父様とは呼びにくい。
コン、コン、コン
「アルベルト、セリアです」
中から入るように声が聞こえる
僕もお母様の後に続いて部屋の中に入った、すると上半身を起こしこちらを見て驚いている男性がいる、銀髪の30代半ばで顔立ちが整っているが、顔色が悪く少し痩せている。間違いなく鏡でみた僕の顔立ちに似ている
「せ、セリア、後ろにいるのは、、もしかしてリオンなのか?」
「はい、間違いなくリオンです」
初めはお母様が両手でアルベルト様の左手を包み込むように触れていたのが、いつの間にか二人が抱き合っている、目のやり場に困ってしまうが、顔色の悪いアルベルト様が気になって鑑定を使ってみた
鑑定:下だけあって名前と年齢と性別と状態だけだった、まあ、盗賊が持っていたスキルだし、盗賊は相手の名前さえ解ればいいもんね、そんな事はどうでもよかったんだよアルベルト様の状態は?
ーーーーーーーーーー鑑定弱ーーーーーーーーー
名前 アルベルト・ガーディン 年齢37歳 男性
状態 毒溜病(中期)
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なっ、毒溜病聞いたことないぞ、、ん、なになに、体中の毒素を排出できなくなる病気だって、ん、テーブルの上に薬湯がある、僕は近づき匂いを嗅ぐ、う~ん、普通の薬湯だこれで効くのか、僕が首を傾げていると二人に呼ばれて、慌ててアルベルト様の側まで近づいた。
「どうしたのリオン?」
「あっすみません、少し気になりまして」
「ああ、リオン生きている内に会えて良かったよ」
アルベルトが僕の右手を両手を握った、アルベルト様の手は大きく力強そうだったのだろう、今は少し痩せて力無く震えていた
「アルベルト様」
「こんな身で頼りなくて申し訳ないが、せめて一緒に居れる間だけでも、どうか私の事は父と呼んでくれないか?」
初めて会った父は何処か弱々しかった、何か出来ないのか僕は。僕は両手にグッと力が入る。
「ありがとうございます、お、お父様」
何だかお母様を呼ぶより照れくさいぞ、普通の家庭ではお父様なんて絶対呼ばないよな、せめてお父さんだもんな
「ありがとうリオン」
そう言うとお父様は僕を抱き締めて震えていた。僕の方からは見えないが泣いているのだろう、一応気付かない振りをした。
しばらくしてお母様がお父様の体を心配して声を掛けてくれた
「アルベルト、そろそろ横にならないと体に障りますよ」
「ああ、そうだな、すまなかった」
そう言うとお父様は名残惜しそうにベットに横になった、僕はどうしても解毒の魔法が試してみたかった、毒が溜まるならその毒を先ずは何とかすればいいんじゃないかと、原因が解っていて何もしないなんて出来ない。
「あの、お父様ちょっと気になる事が、、、僕は少し神聖魔法使えます、試させてもらえませんか?」
「ん、よく分からないが、気になるなら試しなさい」
そう言うとお父様とお母様はやさしく微笑んでくれた、色々試しても治らなかった病気だ、それでもリオンの優しさにセリアとアルベルトは嬉しく感じていた、そんなことつゆ知らず、、リオンは
よし解毒だ!!解毒してやる。
僕は身体魔強化をして少しでも魔法の威力をあげる、回復魔法で毒の浄化と水魔法で毒を流していくイメージでダブル解毒魔法だ、右手をお父様にあてる青白い柔らかい光が包み込んでいく
「神聖水魔法!!」
激しく青白い光輝きやがて光が消えていった
【合成魔法スキルを取得した】
想像と違ったのかお父様とお母様が目を見開いて驚いている。
「リオン今何を、、したの?」
結構魔力を持っていかれた、何か声が聞こえたが、今はそれ所ではない、しばらくすると少し顔に赤みが差し顔色が良くなった気がするが、もう一度鑑定だ、どうか解毒出来てますように、、、、、。
ーーーーーーーーーー鑑定弱ーーーーーーーーー
名前 アルベルト・ガーディン 年齢37歳 男性
状態 溜病
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ホッ良かった解毒は出来たよ、次は溜病状態をなんとかしないと、また同じ状態になるからね。今度は回復魔法を水魔法でスムーズに循環していくイメージだ、体の循環機能の回復だ。
僕は回復と水の魔力を素早く練っていく
「神聖水魔法!!」
再びお父様に薄い水色の光が包み込み体内に浸透していった。
さあ、これでどうだ!
ーーーーーーーーーー鑑定弱ーーーーーーーーー
名前 アルベルト・ガーディン 年齢37歳 男性
状態 良好
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よし、良好になった、もう大丈夫だ
「良かった、お父様の病気はかなり進行してましたけど上手くいったようです、、僕は回復魔法は得意じゃないので出来るか心配でした、、、あれ、、お二人ともどうしたんですか?」
「ど、毒溜病は不治の病なんだが、治ったのか?」
「リオンあなた、何したの、上位の神聖魔法使いも治せなかったのよ」
「えっ、いや、お父様を治したいなぁと思って、普通に回復魔法をしただけです」
「「リオンありがとう」」
セリアは目に一杯涙を溜めてアルベルトと抱き合ってしまった、よかった、、、!?、感動のしたのは一瞬たった、目のやり場に困るんですけど、、あぁ、あら、あら、あらら、僕はそっと部屋を出た。
◇
アルベルトの病気が完治したことは屋敷内で瞬く間に広まった。そして屋敷内の皆が集まり食事をすることなった。
元気よく話すアルベルトを執事やメイドが目を潤ませてみている、そう、元気になったアルベルトの姿を皆1年振りに見ることが出来たのだ。
そしてびっくり!!僕には1つ下に双子、13歳弟レインと13歳妹フローラがいたのだ、どちらもお母様と同じ金髪で美少年、美少女だったが、話の流れからしたら、僕は一人っ子だと思い込んでいて気合を入れていたが、僕の他に子供がいてよかった。おかげで肩の力が抜け、何処かホッとした。でも、二人とも僕が話し掛けても話返してくれない。
急に兄が帰って来ました、じゃ面白くないのだろう。それに僕は長男になるみたいだけど領主なんてしたくない、出来ないし、それに自分が後継ぎと思っていたレインに悪い、ちゃんと僕は継ぐ意志はないと言わないと、お父様達のようになると大変だしね
「これで本当に家族全員が揃ったわね」
「そうだね、セリア、どれだけこの日を待ち望んだ事か、、、リオンもこれからは遠慮するな」
「はい、、今まで一人と思っていたのにこうして家族が増えて僕も嬉しいです、、」
あっ、やっぱりレインが睨んできたか、フローラにも睨まれたよ、他のみんなは嬉しそうにしてくれているのに、なんか複雑だな
「そうか、そうか」
アルベルトはご機嫌に頷いた、言うなら今しかないか
「ですが、僕が孤児院育ちの宿無しだったと言う経歴は紛れもない事実、その事で家名に泥を塗りたくありません、、、そこでお願いがあります、ガーディン家の次期当主はレインだとお考えください」
「リオンそれは、、つまり、、、リオンはガーディン家の長男なんだぞ、それにまだ、そのような事を考える歳ではないぞ!!」
「そうよ、リオン、貴方何いってるのよ」
「勝手言ってすみません、、ですが、僕は駆け出しですけど冒険者として生活していました、僕が突然帰った事でご迷惑をお掛けしたくありません」
レインが目を逸らす何処か落ち着きがない、フローラがレインに落ち着くようにと背中をさすっているのが視界の隅に入る
お父様とお母様が悲しい顔をしているが、僕は笑顔で頷き返した。
「分かったよ、リオン、でも15歳から天地族が必ず通う王立学園には入学してもらうぞ、そこで色々見て学んでくるといい」
うそっ、そんなのがあるのか、天地族の付き合い面倒くさそうだから放棄したいのに、、、ん、ん、でもよく考えたら冒険者よりは命の危険が少なくて安定している騎士になる方がいいのか
「じゃあ、リオン、、明日は1日ゆっくりするとして、明後日からお勉強ですね」
「ええ!」
「あら、レインとフローラはお勉強を6歳からしているのよ、いいわね」
「わ、分かりました」
僕は渋々承諾した、この世界のちゃんとした知識を手に入れるチャンスと思うしかないな
「うむ、さあ、この話はここまでだ、今日めでたい楽しく食事をしよう」
◇
ーアルベルト寝室ー
「しかし、リオンがあのような事を言うとは思わなかったよ」
「はい、リオンがいない寂しさでレインとフローラにはかなり甘やかして育ててしまったから、、」
「うむ、リオンもレインから何かしら感じ取ったのだろう、私の病名も見抜ける位だからね、リオンの属性は神聖なんだろ?」
リオンは勘違いされた、病気を見抜いたのは鑑定スキルのお陰なのだ、ただ、その鑑定スキル持ちが非常に少ないのは事実である
「そうだと思います、護衛の子達も回復して貰いましたし、、だから苦労しつつも1人で生き抜いて来れたのかも知れませんわね。、、それだから私は、リオンが不敏でなりませんの、あの歳で周りに凄く気を使っているわ、子供らしくないのよ」
リオンはただ、常に空気を読み、生活していた世界だった前世の記憶から無意識にしていることで意識して気を使っているわけではない
「そうだな、見ず知らずのセリアを盗賊から助け、ケガした皆を助け見返りを求めず立ち去ろうとしたんだろ、、私もまた助けられた、、、」
急に力を手に入れ調子にのっていたリオン、話が大きくなってきて怖くなって逃げようとしただけだった
「だから王立学園に行くように言ったのでしょ」
「そうだ、そうすれば何か考え方も変わるかもしれないからな」
「私達もこれからだ、、リオンとは本当の家族になれるように頑張ろうセリア」
「はい」
◇
「リオン様、ここがリオン様の部屋になります」
「ありがとう、シルビさん僕にはこんな広い屋敷だと落ち着きません」
「私の事はシルビって呼んで下さい、リオン様」
「あははは」
「シルビです、リ・オ・ン・様」
「そ、そうだね、し、シルビ」
「はい、リオン様よろしくお願いします」
シルビがニッコリ微笑んだ
「でもシルビが居てホッとしたよ」
ここ広いし知り合いいないから心細いんだよね、それにシルビを見ていると黒髪だしどこか落ち着く
「まあ、リオン様ったら、じゃ後の事も私にお任せ下さいね」
シルビが頬を染めている、どういう事だ、僕は何か言ったのか?
「ん?うん」
その後シルビはお風呂まで付いてきて僕をくま無く洗って、満足気に僕の部屋を出ていった。僕がそんなにお風呂に入らない人に見えるのか?、、、、実際入って無かったんだけど。でもでも、僕は何か大切なものを失った気がする。シクシク
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ギルドランク G
名前 リオン・ガーディン 年齢 14歳 男性
戦闘能力 122【244】
《スキル・魔法》
・暗黒魔法:極 ・神聖魔法:下 ・四大属性魔法:中
・無魔法:下 ・光魔法:下 ・闇魔法:下 ・合成魔法
・武神:中 ・二刀流 ・忍 ・超人 ・料理
・身体魔強化 ・毒耐性:上 ・収納 ・鑑定:下
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