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リーナは右手が戻ってから嬉しそうに同じ行動を繰り返している。元に戻った右手をジーと見ては、閉じたり開いたり、右手の感触を確めている。時折瞳を潤ませたかと思ったらこちらを見てにこりと微笑んでくれる。
僕も意味もなくこくりと頷き返すのだが、ただ、みんなの視線は元に戻った右手にくぎ付けだった。それだけ衝撃的だったのだろうリーナの右手が動く度にみんなの視線も付いていく、アーシャは我慢できなくなってその右手に触れていた。
ついやってしまった感もあるが後悔はない、ただみんなには念のため僕が治療した事を人に話さない様に約束してもらった。
リーナは「約束するときはこうするものです」と、小指を絡めてきた。これは指切だよなとも思ったが、リーナは元に戻った右手の小指を嬉しそうに僕の小指と絡めてぶんぶん振っていた。すると他の皆も当たり前の様にリーナの後に並んでいた。
皆と約束は出来たし安心した僕は心置きなく馬車の隅で景色を楽しむことにした。目立ちすぎた感があって空気と化に徹した。
まだ目的地まで時間がかかる。僕はガタゴト揺れる馬車の振動と、遠くの山や見たことのない木々、馬車を横切るウサギらしい生き物など風景を楽しんでいた。
たまに吹く風が心地よく眠気誘う、たまに視線を感じつつも、ウトウトしながら贅沢な時間を満喫していた。
◇
行軍中野営をした、、。
ーーああ、思い出せば野営は大変だったな、、。
兵士達はどんちゃん騒ぎ、姫と騎士団は馬車の中で優雅な時間を過ごし、僕は何故か料理当番の兵士と料理をしていた。料理と言っても皆、干し肉と固パンは支給されているのでスープを作ればいいだけなのだが、、。
ーー僕ってスープばかり作ってない?
こうなったのも王国兵士の中に学園治療院に来たことある兵士がいたからだ、僕が炊き出しをしていたのを知っていたのだ。
まだ1回しか参加していないのに、その兵士がしきりに旨かったんだ、と言うものだから、気がつけば大きな鍋の前に立っていた。
ーーまあいい、スープだけだ、チャチャッとやってしまおう。
と思った事もあった、、皆がお代わりして足りなくなるものだから、継ぎ足しで作り続けないといけない。
酒が入った兵士に遠慮はないツマミを作れや、ツマミを作れと同じ事を言われた。
切りがないと思い忍スキルを使って馬車まで戻って寝た。
朝起きたら当然のように衛生隊のリーナとフィナが隣に寝ていてびっくりした。ただ6人みんな、顔中に擦り傷があったが触れないでいた、酔っ払って皆で転んだんだろう。次に顔を見たときには、みんなキレイに治っていた。流石衛生隊だ。
◇
2日目の朝コボルトの洞窟まであと数時間と言うところで前方の馬車の動きが止まった。どうやらユーナ姫の指示で止まったみたいだが、、、、。
「前で何かあったのかしら?」
「ここからは見えないね」
リーナとアーシャが前方を心配そうに見ている、皆考えてる事は一緒らしい。
ーーんっ、コボルトかな!?
コボルトの気配が無数にある、僕とは戦闘能力の差が開きすぎて意識しないと気づかない程のレベルだったが、鷹の目スキルで確認するとコボルトとコボルトリーダーが隊列を組んでこちらに向かって来ている。
その手には棍棒の他に片手剣や直槍を持っている。
ーー前に伝えるべきか。
すると王国の兵士長らしい人が何やら叫んだ、すると兵士達が次々と馬車から降りて隊列を組み始めた。
ーー僕が伝える間でもなく目視出来たらしい。よくよく考えれば僕のいる衛生隊は最後尾。最前列は数百メートル前だもんな。
コボルトの数は王国兵士の倍になる120体程いる。
ーー大丈夫だろうか?
暁騎士団は戦闘能力200あると言っていたから、気にする事ないのだが、、、。コボルト達単体は弱いしな。
「コボルトがこちらに向かって来ているみたいですね、ちょっと僕、暁騎士団まで行って確認してきます。」
「ええそうなの!?リオンくん大丈夫なの?」
「コボルトってこの辺りまで出ます?」
「うーん、ここは街道よ聞いたことがないわ。リオンくん気を付け確認に行ってね。さあみんな私達も馬車から降りて何時でも回復魔法が出来るように待機しましょう。」
僕がコボルトの事を教えるとリーナ、ローザ、と続きフィナが何時でも回復魔法が出来るように指示している。
そして、みんな指示された通り王国兵士の後方に待機した。
ケガした兵士は直ぐに後退して衛生隊の回復魔法を受ける、そしてまた前衛に上がって行くのだろう。
僕は気になって前方の方まで行くと、さほど慌てた様子もなく姫と暁騎士団がコボルトの方を呑気に眺めていた。
ーーあれ!?指揮をとらないのだろうか?
王国兵士は50人兵士長が指揮を取り10人隊長に指示を与えている、どうやらコボルトに突撃するみたいだ。コボルト相手に作戦なんてないみたいだ。
「ユーナ様失礼します、王立学園のリオン・ガーディンです。兵士達はこのまま突撃するようですけど、コボルトの数が多いようです大丈夫でしょうか?」
僕がユーナ様に声をかけるとイケメンのローランがグッと睨み口開いた。
「こらお前、ユーナ様に気安く声をかけるな、王の命令だから連れていくだけなんだ、勘違いするな。本当は学生風情なんて必要ないんだよ。」
「はあ、、すみません。」
「ローラン!!いいのよ、学生で戦闘経験も無いから不安なのでしょう。
今回は王国兵士達だけで大丈夫、これ位してもらわないと私が困る。足手まといなんめいらない。私達はもっと上位種と戦うのだから、、、。
あなた学生の中では神聖魔法が凄いらしいけど、所詮は学生よね、あなたの必要はないと思うから気楽にしてなさい、、何なら衛生隊と一緒に兵士達の治療さえしとけばいいわ。」
「ありがとうございます、僕は衛生隊と行動を共にしたいと思います。手間を取らせてしまい済みませんでした。」
「そうだ、それでいい。あんな雑魚共は兵士に任せとけばいいんだ、こんな所で俺達の体力を使う必要はないんだ。」
「そうなんですけど、ここからでも分かると思いますが、コボルトは倍以上います、ここは皆で確実に行った方がいいんじゃないのですか?」
「うるさいな、学生の分際で分かった風な事を言うな!!いいんだよ兵士に任せとけば、負傷したらお前達がいるんだろ、少しは考えろ。」
「分かりました、出過ぎたまねをして申し訳ございませんでした。僕は負傷した人の治療にあたります、、、では、失礼致します。」
「そうしろ、いちいちこっちにく来るな、ここぞとばかりに王族に取り入ろうとしやがって、生意気なやつめ。」
何言ってるだこいつは、王族なんてどうでもいいんだよ、ただコボルトリーダーまで出て来ている。
こちらの兵士の数は少ない簡単に行くとは思えなかったんだよ、こうなったら僕も少しは加勢しないと負傷者が増えるだけだな。
一進一退の攻防がはじまった、僕は衛生隊の所まで下がると、案の定、殺られそうな兵士があちらこちらに見える。
みんなに分からないように急ぎコボルトに向かって小石を投げつけていく。兵士に襲いかかっているコボルトを優先して投げていく。
ヒューン!!バンッ!!っと僕の投げた小石が当たるとコボルトは破裂して光の粒子となって消えていく。これを何度となく繰り返す。
殺られそうなっていた兵士は急にいなくなるコボルトにイマイチ状況が分からないみたいで辺りをキョロキョロ見渡していた。
僕は更にどんどん小石を投げてコボルトを倒して行く、衛生隊の皆は負傷した兵士に集中していて僕の行動に気がつかない。衛生隊の人数以上に負傷者が多いんだ。
それでも王国兵士が徐々に押し始め数も同じ位の所まで来ると、コボルトの動きに変化が起こり始めた。
「あっ危ない!!くっ、なんて事をするんだ!!」
コボルトが兵士に抱きつき、抱きついたコボルトごとコボルトリーダーが直槍を突き刺して行く。
「リオンくん、どうしたんですか、急に大きな声を出して。」
リーナが僕の大きな声を聞いて心配そうに声をかけてくれた。そりゃそうだよね、こんな後方で負傷兵の治療に集中している中でだもんね。思わず赤面するも気を取り直して。
「あっ!!ごめん、コボルトリーダーが自分の仲間を巻き込んで攻撃してきたから、思わず声が出たんだ。あそこにコボルトリーダーの槍で刺された兵士が倒れてる、ちょっと行って来ます。」
「それなら私達が行きますから。」
僕の話を聞いていたフィナや、ローザが名乗り出たが、戦闘のど真ん中とても衛生隊には任せられない。
「ありがとう気持ちは嬉しいけど、皆さんじゃ危ないから、、直ぐに戻ります。」
皆の叫びが聞こえたが、もう遅い僕はバレない程度に走り、倒れた兵士に駆けていた。
ーーいた、息はある大丈夫そうだ。
コボルトがクッションになり思ったより傷は深くなかった。
「回復魔法!!」
倒れていた兵士の傷がみるみる治っていく、ぐったりしていた兵士は起き上がり傷口を確めている。
「君は料理の上手い学生じゃないか、、回復魔法も出来たんだねありがとう助かったよ。」
「いえいえ、次はあっちに倒れている兵士の所に行きってきます。」
スレ違い際に凄い早さの掌底をコボルトやコボルトリーダーにお見舞いしつつ兵士の治療を続けた結果、王国兵士の負傷者0人と言う驚異的な事になっていたが、姫や暁騎士団はたいして気にした様子もなく、兵士達に労いの言葉や休息もなく直ぐに洞窟に向かい移動した。
《暁騎士団構成》
◆ユーナ・ママール姫【戦闘能力200】
剣術:上 盾術:中 二刀流 光魔法:中
〈王族固有スキル〉 魔手(魔力の腕が2本発現する)
◆ローラン・マーキス【戦闘能力225】
剣術:上 槍術:中 盾術:中 チャージ 火魔法:中
◆ラッシェル・ゴードン【戦闘能力210】
剣術:上 槍術:中 二刀流 剛力 水魔法:中
◆スチル・ヒルター【戦闘能力208】
剣術:中 槍術:上 鉄壁 土魔法:中
◆キース・ガネット【戦闘能力201】
弓術:上 剣術:下 槍術:下 集中 風魔法:中
◆王国兵士50名 ◆衛生兵士6名
ーーーーーーーギルドプレートーーーーーーー
ギルドランク E 王立学園1年生
名前 リオン・ガーディン
年齢 15歳 男性
戦闘能力 672
身体魔強化時【1344】
身体魔強化+無属性身体強化時《2016》
暗黒魔装+1000《3016》
《スキル・魔法》
隠蔽・暗黒魔法:極
隠蔽・魔神:上
隠蔽・同属魔法発動
隠蔽・合成魔法
隠蔽・並行魔法
隠蔽・武神:中
隠蔽・二刀流
隠蔽・忍
隠蔽・超人
隠蔽・身体魔強化
隠蔽・毒耐性:上
隠蔽・大地の加護
・神聖魔法(魔神)
・料理
・収納
・鑑定:下
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