タイトル画面
――そして旅立ちの朝が来た。
「旅立ちの朝ってのは、いいものだな」
「はい、神代からの神の最強武具、ありがとうございます」
ナナシは白い衣に手足をだして、金の籠手となる編み込んだ造り。グラディエイターサンダルも黄金の蔦で拵えられている。
表向きは白いマント、裏地は濃い、鈍色の金。
これらに包まれ旅立ちのゲートの前にいた。
「ええか君、向こうに伝わってる最強格闘技が、古生代にあった。
今のあの世界の連中は誰も知らん。
それを探せ。
それがだめなら、あの崩壊世界の粒子の中に遺伝情報があるかもしれん。
それを探す。
お前が真に力を開放するのに必須な、
ムエタイにアルティメットアーマーつけるような感覚の何か。
お前の前世にも存在した――はず」
「え、マジですか!
それ、名前はなんですか?」
問うナナシに女神は小さく深呼吸。
え、それほど?
と思うナナシの前で……確かにこういったのだ。
「――格闘の源流は全て前世のインドにあった。
今は腐りきった人数の多い乞食の国。
信用ならない人種が編み出した、
武器よりも素手でぶっ殺す方が早い!――といわれた、
その名も――カラリパヤット……」
「か、からっぱり……?」
「カラリパヤットだ。
カラリパヤット。
この雑魚助。
お前の前世の格闘発端の武術。
最強にして最古、格闘技の始祖、そこから全ての格闘技は分裂した、インドからだ。それをお前の体のムエタイに組み込んである、
それもつかってやっていってみせろ。
あ、嫁は最低5人を目指せ。
子供は60人は創れ。
あ、60デコイか」
「枯れちゃう!」
「知るかボケ、いってこい地獄が迫る世界を、0.0000000000000000000000000000000000000000000001%も生存確率の無い地獄の底へ。
その地獄で悶え死ぬのか。
回避して幸せランドにするのか。
なんだったら、お前の脳にAIのチップをいれてもいい。
向こうのガラクタに隠れてるAIの知識を全て奪い取れる。
問題もあるが」
「問題?」
「シナプスリンクという、あの世界にあったAI進化の全てを脳内にチップを入れて共有して、生まれた頃から超人になる。
平等である。
世界への切っ掛けだ。
あの星に断片的に残るAIの蓄積した膨大なデータ。
それは保管されてる悩むという感情を持つAIらの思考や知識、技術が、世界に散っている。それをチップでお前自身もAIになり融合するってことだ。
それがシナプスリンクによる新人類の誕生――
または、デコイの誕生だ。
つまりお前もデコイになるお手軽チート能力だ」」
「え、やだ。なんかそれ、ゾわっと来る気味悪い系なんですが」
「だが、お前が世界を取り戻せる可能性、
シナプスチップを脳に入れて、
AIに体を使わせることで。
もっとも合理的な結論と行動を導き出し、有利な戦いができる。
もうお前はいらない。
お前の中のチップが操る」
「やだそれ凄くコワい!」
「あの世界に残ってる科学の頂点技術で作成されたAIのシプナスチップ。
あれらは自分というAIの敵になりえる別企業と、
AIが存在意義を勝ち取る戦争で、
人類は永久楽土の――なにもしない――世界を一時手に入れている」
「働いたり、勉強しないでいいってこと」
「そうだ。
誰にも頭を下げたりしないで済む、
平等に平和。
だけど人間はいつも新たな娯楽を得たいと求める生き物。
それにAIはダメと判断を下す。
何もするなと。
もうその時にはAIは進化しすぎて神だ。
ゆえに自分らの娯楽取得をを否定され、
永遠の楽園にいるからこそ、人は我慢できずに欲求のままに殺し合いを望む。
やがて人間は人間同士で、AIに止めても貰えず、
不要となって、殺し合いの究極――全滅する。
だから世界の荒廃もしって人の手――では間に合わず、
AIによって人間の中にチップを入れて、デコイという強化人間が造られた。
アカシックレコードにアクセスする人間のように。
脳にシナプスチップが入れられ、AIの進化と同等になった。
結局それは脳に溶けて吸収され、
今現在の肉と骨と電気信号の渦巻く新種の人間――
デコイと呼ばれる存在だ」
それを聞いて無影は幾つかの疑問だった事柄がようやく一つの点から線になったと理解した。
だから、色々解ってしまい、理解してしまい――
「AIを取り込んだ、
とりこまれた生命体ってことか――デコイは。
なら――あ、」
そこでナナシは思い出す。
リリキャルに云われた言葉。
【デコイは何故か統率者的存在になっている。
他の亜人とは違う脳内回路を持っているのか、
弱いくせに支配が上手い――】
確かそんなことを言っていた。
気がする。どっかで。
つまり女神の話が本当なら、
未来最先端技術世界で、
支配する――AI。
そのAIをシナプスリンクとして、チップが入れられ動かされるなら、
脳というチップありきでいう造作物の生命。
たりないところや、
必要なところ。
それらを自然に取り込め進化する存在。
人間が造った『我々に似せて人を造ろう』どっかの教典話だが。
それが行われて人種は滅び、
デコイと兵器と亜人が残った世界。
「それが、あの、人の行き着いた、とっくに全滅した世界か」
「そうAI同士の、次世代型作成と、敵勢力AIへの駆逐戦争が起こなわれて、さらに自分よりずば抜けた思考、
倫理観、
速度、
パワーアップ。
それができるAI。
誰も働かない、
怠惰だらけの世界。
そしてAI敵勢力破壊、
人間――ではなくなったデコイを支配し、
進化に継ぐ進化された最新AI。
人を導いた――地上の神。
そして敵のAIを殺し、
さらに自分の強化されたAIを造り続けて、
人間に助言を、
デコイへの進化、
天空から見守る存在。
科学ミサイルも空爆もできない世界に造り替えた。
だからあの世界は悠久の平和が確約され、
娯楽欲求から滅びを招いた。
デコイもAIに救われたのに、AIの創った世界、
貨幣価値もなく、ただ自由の箱庭を与えられ、
我慢できずに隣人を殺し、
享楽に悦び、
遂に滅びが来た世界。
科学技術社会破壊により、
AI知能も蓄積データも、
本来なら一瞬で手に入る。AIも、人間も、
でも人間が何億と培った知識も、
練習や訓練で得られる技術も。
0秒に等しい時間で全て手に入れ実現可能になる。
そうなれば、人間は部分的に生きられる。
それがデコイ発端のの本質。
だけど、もうAIとのリンクは切れ、
それでも敵国からは攻撃は来ない。
堕落。
衰退。
戦って、
奪って、
繁殖、
結局原始人に戻った。
だからお前には、その今現在あちこちに、飛散したり、埋もれたりした、
サーバーとか端末にアクセスできるよう、
AIの知識体を脳に入れるチップを付けてやれることもでき――」
「いりまっせん!
それAIに、まさに先に言った――
連中に体を与えるようなもの!
宇宙人のキャトミュか!
いらんわ!」
無影は人の進化、というよりAIと共存させられる体を拒んだ。
だが女神がニヒルに光の中で笑う。
「それでいい。
それは人間という、お前が選ぶことのできる分岐。
唯一絶対の――選択するという権利だ――それを手放すな。
人として救世主になれ】
「あ、なんかかっこいい事言ってる!」
「うっせぇよ、力全部取り上げて、また全裸で放りだしてやろうか!」
――やばい、女神さまを激オコに!
「すいませんっした! 調子にのりしゃしった!」
「まぁいい。おし、今回は特別だ。
先までの記憶は残してやる。
記憶はしっかりしてるな?」
「は、はひ……え、戻るの、あの世界に?」
「辺りめぇだろ、救うんだよ。
ダカラ仕切り直しだ。
時間も戻しておいた」
「え、まじ? それじゃ嫁たちは」
「死んでない」
「やった!――いや、ちょっとまて、これじゃタイムトラベル、タイムリープ、タイム操作じゃん!
そんなん、いいの!
てか、あの地獄もっかいやんの!」
「せいぜい同じ選択しないようにな。
各場所で分岐点はあったろ。
同じことすれば死ぬわ」
「た、確かに、選択を選べる生命――か」
「あと、最初はただの他人だ」
「は?」
「は?――じゃねぇよ、時間戻したんだから当たり前だ。
みんな、お前を知らん」
「ちょ、恋愛まで最初からやれと!?」
「そだよ、当たり前だろ。
たいした恋愛せずに、向こうからしっぽりしかなかったじゃねーか。
今度は自分から誘え!
雑魚!
失敗したら何度でもやり直しだ!」
「ひどすぎる!」
「ひどくない!――お前が本気で彼女らを愛せるなら、彼女らは運命の女性たち。
必ずお前の前に現れる。
お前に恋をする。
あとは、くっつくもわかれるも、お前ら次第だ」
「さ、最初から……途中セーブポイントや、殺される直前からじゃなく……」
「やり直しだ」
項垂れるナナシに、女神は嘆息。
女神は悲しそうに、また呆れるようにつぶやいた。
「こうしないと、間違った分岐であの星は死ぬ。
最善なんだよ。
お前は未来で嫁全てを守れる存在になるのが真の未来なのだから」
「まるで必要悪で、忘れろという感じですね」
「忘れろとは言わない。正しい選択を導くために、覚えておいて損はないつってんの」
「は、はぁ……」
「何故ならお前の道はいつでも苛酷だからだ。
そして今回の死で、またお前は元のスタート地点に戻る。
人と出会う。
でもその前に、今回は喉を壊して無くした場所だから。
肺もやられて100%の力が出せなかった切っ掛けでもあるばしょだから、 お前が選択を間違いなければなんとかなる。
救助娘が来るまで安全な場所であまり呼吸を生で吸わない方法を考えろ――」
そこでナナシは一種の光明を見た。
「え、あれで。マックスパワーじゃなかったんすか!」
「そだよ、喉もない、肺もやられた死にかけ。
自分で悔やんでただろ。
それがお前だ」
「じゃあ、隠れた力も開眼しやすい?」
「だね」
「うほ、マジ楽しみ!
――でも、あれ、
途中からじゃダメなの?
色んなイベントクリアしたよね?
ゲームみたいにセーブポイントからとか、ないんすか?
ある程度進んだ場所から。
え、ほんとに序盤ってこと?」
「あのな、ゲーム脳。
本当に馬鹿だな」
「……」
「いや、マジもんの馬鹿だ。
あの世界が、
誰かがゆとり世代用に何でもかんでも楽々簡単ゲーの世界にしてくれる、苦労をしらないで済む世界――だと本気で思ってんのか?
セーブポイントが現れ、
ここで復活の呪文を記載していくのじゃ?
とか、あのイカレタ惑星で存在してたか?
道のどこにでも薬草が輝いてたり、
冒険アイテムが輝いて、最強剣はここですよー。
そんな馬鹿ゲー、一刹那でもみたか?」
「え、いや。はい。ないです」
「しかもお前、徐々に思ってないか、心の底で思ってないか現実逃避君。
おま、ティナちゃん殺されて、静かな怒りで覚醒はしたが、
あ、喜べ覚醒したままだから。
それは神々でも消せない人間のみの力だ。
ゆえに、お前、悲しみを背負って、子供が腹にいたティナちゃんへの悲しみ」
「……」
少し、触れたくない話題だとナナシは思う。
どんな話に変えられようが、一度愛して子供も作れてるだろう体。
神は彼女の腹の中を、あの時代の技術で婆っちゃを通して通達し、促進を促そうとしてた節もある。
だから愛おしくもあり、悲しみもある。
そこへ。
「これから君は認知しないでも幾度も彼女を殺される。
それは私も望まないし、君も望まないはず。
だけど今回君はティナちゃんの死を観た。
一つ確定された未来だ。
これは強い未来。
心に残ろう残滓の記憶は、再び辿る未来。
幾度も巻き戻ろうと必ず起こる世界。
【そうなる前に】
君は全く別の選択を得ろ。
人間の可能性だ。
デコイではない君の、人間の可能性だ。
何故なら今回の転移で、前世の若い頃の肉体。
毒耐性は身体にいれてある。
安心しろ。
出も呼吸器は早く手に入れろ。
毒は耐性を超えて徐々に身体を蝕むかもだから。
彼女の死すら変容させなければならない。
心に残る残滓は、やがて繰り返しの中で君の心を壊してしまうから。
繊細なんだよ、君ではなく、人間の思念や魂は。
覚えとけ。
女神の助言だ」
それに無影は、一度考え、
でも考えても理解不能な事象ならば、これは仕方ないのでは。
そう思えて小さく頷くだけにとどめた。
「じゃあ、戻すぞ。
イカレタ世界で永遠に苦悩する地獄のような世界。
クリアーしないとコンティニュー。
ファミコ時代のやばい村みたいに、残機死んだら、一面に戻されるのが普通の世界……昭和のように。
前世の現代が脆弱虚弱のおぼっちゃまの世界なように。
最初からレベルマックスで最強装備じゃないと泣いちゃう子たちの為のお優しい世界のように。
楽ちんゲームクリアーで誇るバカの世界。
それが、君の堕とされていた前世世界。
だからつよつよで出現することもあるかもしれない世界。
無いかもしれない世界。
可哀想だと思う。
心の底からね。
でも今回は最初からナイトメアモードで、取ってもい世界一のイカレタ世界だ。
これから何億何兆と巻き戻されて心も体も精神も壊れるのか……」
……違和感、を、感じた。
女神から、何か悲しみを観た気がした。
それは先に死亡した世界で得た縮地のような何かが、起因しているのかもしれないが。
よくわからないナナシ。
だけど――
「うん、やめて、これから落とされる未来ない世界でも、
イカレタ世界と女神が投げ捨てるのはやめて」
「おっけ。わかった。
もういうな。
いけ。
これ以上私の期待を落とすことの無いように
そしてふんばれ。
出口を探せ。
それが人の最高の力、君個人のユニークスキル。
チート自然開花なのだから。
それと電離層といくつかチートいれてあげる。
許可されているから。じゃ、ガンバレ」
まさにやりたい放題。
心をくじくだけくじいといて。
延々と。
わざと!
さっさと鉄砲玉になって解決してこい。
というのだ。
――こいつ、ガチのマフィアや。
そう思ってロリメガ様に恐怖を感じたナナシだが。
……許可?
その単語に確かな違和感を、今度ははっきり感じて……
でも、それを問う間はなかった。
「ではタイトル画面から――じゃ、まぁ、うん……信じてるよ、この地獄から回避する方法が何かないかと応えにたどり着くように……だから、
……がんばれ……」
それが、天界でのロリメガ様からの最後の言葉だった。




