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1-1. 死んだら驚いた

今のなろうでは受けないかもしれませんが、テンプレートな異世界もの。

 ベッドに眠る自分を空中から眺めていた。窓の方は少し明るい。夜が明け始めている。

 死んだか。呼吸をしてない自分を上から眺めていた。


 13年前に事故に遭い内臓の一部を失っていたので長くはないと思っていた。死んだのは納得はできる。

 ただ死後なぜこんな風に自分を見ることになっているのか、それが理解できない。

 それに自分の肉体が感じられない。腕を前に突き出すこともできない。ただここにあって見ているだけ。

 試しに叫ぼうとしたが声は出ない。


 毎日ケースワーカーが連絡をくれるはずなので、死体は腐る前に発見されるはずだ。それに自分が死んだ場合の手順と費用は手配済みだ。

 自分が死んだのに作業に漏れがないか考えてしまっている。まったく何を考えているんだか、性分は死んでも直らないらしい。


 元々少なかった家族は事故の時に全員いなくなっていた。車椅子生活になり仕事も家も変わり友人たちとも連絡が少なくなっていった。

 いや、たまにくる「変わりないか」を生存確認のように感じてしまい自分から距離を置いてしまったのだ。

 事故に遭う前は大学生時代に起業し従業員8人の小さな会社の経営者だった。

 特に事故直後は体が不調になることも多く責任を持って対応できる状況じゃなかったので、一緒に会社を立ち上げた友人に席を譲り会社を去った。


 その後は保険と賠償金を切り崩しながら生活をしていた。

 心配した友人から無理に押し付けられ、在宅でできる趣味みたいな仕事が唯一社会との接点だった。


 冷静に自分の状況が判断できている。

 ただ走馬灯のような風景は思い浮かばない。あれは死ぬ前に見るもので死んだ後には見ないのだろうか。

 そう思いながらぼーっと自分を眺めていると上がり始めた。お迎えが来たのか?

 視界が天井を抜け上の階をすり抜けアパートの屋根に変わる。空に昇るということは俺は天国に行けるのか?

 どんどん上昇スピードが上がる。視界が街、日本列島、地球と変わっていく。地球が見えなくなり太陽も離れ始めている。


 長くないか、これ。

 加速している太陽が点になったあたりで星々が流れ始めた。細長く線を描いていた星の明かりが突然消えた。

 光速を超えたのか?

 いやいやいや、おかしいだろこれ、どこ向かったんだよ地球離れすぎだろう。天国ってどこにあるんだよ。

 真っ暗な中を物凄い速度で移動しているのだけは感じていた。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 目が覚めた。いつの間にか気を失っていた。

 目は開いたが真っ暗、何も見えないし体は動かない。

 あれは臨死体験か、それともここがあの世なのか?


 口は何かで塞がれていて鼻には何かが入っていた。酸素マスク?

 しかも横になっている。


 *意識覚醒*


 いきなり知らない言葉が聞こえた。でも耳じゃない頭ん中だ。意味は理解できる。

 これは脳に直接語りかけています系か?


 *拘束解除*


 いきなり体が動かせるようになった。

 手を上げようとしたが何かにぶつかる、塞がった中にいるようだ。

 おいおい棺桶じゃないだろうな。


 *起動・注意してください*


 斜めになっていく。ずり落ちそうになるので踏ん張る。

 踏ん張る!?

 足が動く、何でだ!


 ゆっくりと垂直に立てられた。


 左右に体重を移動、片足ずつ上げてみたが問題なく立っていられる。

 何年かぶりの足の裏の感覚。

 嬉しいはずなんだが、それ以上にこの状況がおかしすぎてそんな感情が出てこない。


 抜かれ始めて自分が液体の中にいるのに気づいた。

 水面から顔が出るとマスクが外れ鼻からチューブが抜ける。


 *パス確認、OK。リンク*


 相変わらず意味不明の声が頭に響く。


<マスター>


 別の声?

 これも言葉じゃない、意味が直接頭に響く。

 挨拶をしてくれたみたいだ、それも2つから。


 *サポーターとのリンク良好。活動補助を移行します*


<サポートカイシシマス>

 勝手に話を進めないでくれ。考える時間をくれ。


<リョウカイ、マチマス>

 と返してきて黙った。


 考えるといっても状況が理解できない。

「ここはどこだ」真っ当な疑問だ。


<チカ>

 何だそりゃ。どんな場所かって聞いてるんだよ。


<フメイ>の返事と同時に頭にイメージが飛んできた。

 人に備わっていない感覚だったので、最初ウッとなった。


 直径10mほどの球状、その内側に存在するすべての”もの”がわかる

 その中心にいるのがイメージを送ってきた何か。ぐにゃぐにゃしている。

 通路を挟んでカプセルに入っているのが俺らしい。

 周りには同じようなカプセルが並んでいる。ただしその中には液体はなく人だったものが残っていた。


 知らない間に医療技術が上がり冷凍保存されたというのか。

 しかしよく見ると俺若返っている。

 高校、いや中学生?

 しかも全く俺に似ていない。少女と言えば通りそうな美形、しかも裸。

 どうなっている。


<フメイ>

 返事が返ってきた。

 俺にイメージを送ってきたのとは別の個体。


 だからお前はなんだ?

<シュリーゲン>

 名前らしい。


 もう一体は?

<ボトリス>

 こいつがイメージを送ってきたぐにゃぐにゃしたやつなら、シュリーゲンというのはそこにいるヘビか。

<イエス>とシュリーゲン。


 俺はなんだ、この体はどうなっている。

<フメイ>


 今の状況を知るため、色々と質問したが、俺が知りたいことには2匹は答えを持っていなかった。


 心が折れた。答えがありそうな質問に変えた。

 サポーターって何だ

<マスターをサポートする>

 答えになってねぇ。


 その後は彼らが知っていそうな内容を質問するがわかったのは、俺が目が覚める前のことは何も知らないということ。

 俺をマスターとしてしか認識しておらず、マスターが何かは知らない。

 彼らはマスターを可能な限りサポートする存在としか自分を認識していない。


 ボトリスには目や耳はない。何かわからないぐにゃぐにゃしたもの、俺のイメージでは某有名ゲームのスライム。

 バスケットボールほどの大きさ。

 自分を中心に球状に空間を認識し、その中のものの状態を認識できる。カプセルの中にいる俺を認識できるように壁があってもその向こうを認識できる。


 もう一方のヘビはシュリーゲン。ボトリスの目で見ると、長さ50cmほどでトンボ型の羽が体の前後に2組ある。飛べるらしい。

 ボトリスと同じように彼が見ている景色を頭に送ってもらったが人の視界に似ていた。

 ただし真っ暗なはずだが色がある。可視光の目ではなさそう。

 それと周りの匂いも感じるが、こっちも純粋な匂いではなさそう。


 *リリースします*


 カプセルが開いた。

 恐る恐る一歩出てみた。

 立てる。立てる。立てる。

 その場でジャンプ。がっしりと足に地面が感じられた。

 それからしばらく、足をバタバタしていた。

 笑っていた、泣いてもいた。涙が流れていた。


 満足すると喉が渇いているのに気づいた。

 何か飲めるものがない。


<ナイ>

 返事とともにボトリスから新しいイメージ、半径50mほどの空間が見えた。

 今回は動画ではなく静止状態。解像度も低く荒い。


 俺たちがいるのは地下の施設らしく、同じカプセルが並ぶ部屋が何層にもなっていた。

 最初からこうしてくれよと思ったらボトリスから謝罪。

 俺の聞き方が悪かった、ごめんと謝った。今のはぼやきだから。


 この施設の出口が見えない。

 地面が見えなかったので、少なくとも地下50mより深い。


 ここは墓地か、たまたま俺が生き返っただけでみんな死んでる。

 いや、墓地だって出入り用のはあるだろう。

 ぐるぐると訳のわからん考えが巡る。


<コッチ、デレル>とボトリス。


 ボトリスに見られながら真っ暗な部屋をゆっくりと進み部屋の外に出て壁に手をつく。

 そのまま通路に出て進む。

 通路はまっすぐで長い。


 結構歩くと通路は行き止まりになる。行き止まりには小さな部屋。

 ボトリスは<コッチ>

<ハイル>とシュリーゲン。

 逆らう理由もないので彼らに従う。

 部屋に入ると光に包まれた。



主人公に未練がないようにと考えていたらこんな話に...


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