7.収束
村で過ごして半月が経過した頃、あと召喚するドラゴンはあと一匹となっていた。それもどでかい琥珀石。自分の魔力で事足りるのかと不安になる大きさだ。この琥珀石のドラゴンの名前は、パルシェンというらしい。グルーストが言っていた。このドラゴン達の長だったらしい。年齢は数千年は生きているとのこと。ぜひ会ってみたいものだ。
「では、始めようか」
「はい」
広い天井の地下室に、スティーヴンの声が響く。
大きな魔法陣を朝から晩にかけて慎重に描き、その上に琥珀石を乗せる。乗せるのはスティーヴンが魔法でやってくれた。
「では、いきます」
いつものように呪文を唱えた途端、眩しい光に辺りが包まれた。目を開けていられなくて目を閉じると、直様スティーヴンに体を支えられた。倒れたらしい。
ひどい眩暈を感じながらうっすらと目を開けると無事、ドラゴンは召喚されていた。
ものすごく大きいのね。
そんな感想を覚えて意識は途絶えた。
※※※
「パルシェン!!」
グルーストが泣きながらドラゴンに近づく。すると、それに応えるようにパルシェンが甘えるように顔を下げた。大きな額を撫でてやり、嬉しそうにグルーストが涙を落とした。
「お嬢さんは大丈夫かの」
「眠ってるだけだ。大丈夫」
「なんとお礼をすれば良いか…!」
グルーストがシャーロットに向かって手を合わせている。
「では、寝室に運んでくる」
スティーヴンは腕の中で寝息を立てるシャーロットを見つめる。魔力量がかなり減っている。これでは、暫く眠ったままになるだろう。
慎重にベッドにシャーロットをおろし、髪をすく。柔らかい髪がさらりと指の隙間から滑り落ちる。
「おやすみ、ロティー」
そう言って、扉を閉めた。
※※※
「では、行きますか」
「嗚呼」
オスカーの呼びかけに答え、外套を受け取る。馬車から馬を外して、跨る。
今から、討伐に出る。ドラゴンを攫った一味がわかった。ドラゴンのツノや爪を売り、皮も剥ぎ取り商売をしている、ここ最近目撃されている賊が相手だ。
馬を全速力で走らせて、五時間くらいはかかるだろう。族は呑気に他の獲物も探しいるらしく、まだシニアンにいるらしい。オスカーの情報だ。間違いはない。
馬を走らせておおよそ五時間、大きな荷車を持った集団を見つけた。オスカーが先行し、後方にロゼッタが回る。
賊たちは呑気に酒を飲んでいた。焚き火のそばで。
「誰だお前らは!」
こちらに気がつき、賊が立ち上がる。三人とも馬を降り、ロゼッタは荷台を確認。頷いたのを確認してからスティーヴンが、賊に詰め寄る。
「ドラゴンを攫ったのはお前らだな」
「ひっ、こ、こいつツノが生えてやがるぞ!」
「お前らだな」
威圧的な声でその場を制する。賊はスティーヴンの姿に怯えながらも、剣を抜く。
「手合わせ願おうか」
スティーヴンのその声で金属のぶつかり合う音が響いた。オスカーやロゼッタも加勢し、十人程の賊を相手に、素早く剣を捌いていく。
ーー瞬殺だった。
賊たちは地面に倒れ、苦しんでいる。一人一人手足を縛り、荷台に乗せる。荷台を引いていた馬にロゼッタが乗り、オスカーは二頭を率いる。スティーヴンは返り血をぬぐい、空を見上げた。
「夜明けだ。帰るぞ」
「御意」
そうして朝がやってきた。




