8.異変
ーー事件は起きた。
討伐を終え、帰宅した一同は眠っているシャーロットの元へ訪ねた。そしたらーーシャーロットがいない。
「シャーロット様!?」
ジャスミンが取り乱し、慌ててお風呂場や手洗い場をノックするが返答はない。それに、強い魔力を使ったばかりだ。1週間は起きないだろうとスティーヴンが憶測していた為、皆混乱する。
「スティーヴン様」
ロゼッタが固い声を出す。ロゼッタは状況把握が早い。
「攫われましたね」
オスカーもそういい、窓を見る。一階の窓の扉が開いている。雨なのに、窓が全開だ。
「やられた」
スティーヴンが苦い声を出し、拳を握りしめる。
「今すぐ部屋の明かりを消し、蝋燭を灯せ」
「はい」
転移魔法でシャーロットを連れてくるつもりだろう。何度かしたことがある。
手早く三人が準備を行い、部屋は整った。
「影よ、繋げ」
シャーロットの影とスティーヴンの影は繋がっている。簡単に召喚されるーーはずだった。
「え!?」
オスカーが驚いたような声を出す。ロゼッタも目を見開いている。
スティーヴンの腕には、ドラゴンが一体乗っているだけで、シャーロットの姿はなかった。
「どういうことだ」
ふわりと風が舞い込み、スティーヴンの髪を揺らす。怒りにわなわなと震えながらも、スティーヴンはドラゴンをロゼッタに渡した。
「何が起きている、シャーロット」
転移魔法を弾かれた。理由は定かではない。寝ているはずの彼女に何があったのか、分かるものは誰もいなかった。




