48/51
戦端
ハルカは、強い。それは戦歴の浅い吉野でも見ただけでわかった。
七式に成り損なった、何者でもない人形。
しかしそれは、他の誰にも劣る失敗作というわけでは、決してない。
それをはっきりと悟っても――吉野は、退かない。
「――セネカ」
「ん」
短い応答。しかし渡される力と信頼は、強く。
吉野はセネカとともに、前に出る。
踏み出す。
……成程、話に聞いていた通りですね。
迷いなく前線に飛び出してくる吉野を見て、しかしハルカは驚きを禁じ得ない。雷撃と暴風を叩き込みつつも、感嘆の吐息をもらさずにはいられない。
ともすれば無防備な人形遣い、それも自衛手段すらまともにもたない吉野が、ほぼ丸腰で人形であるこちらに向かってくるなど、事前に聞いていたハルカですら気が触れたようにしか思われない。けれども、
……彼らはこの戦い方で、ここまで戦ってきている!
『翔光』も『人形狩り』も、決して弱い人形遣いではない。ともに協会でも一級として認識されている人形遣いだ。そのふたりを、吉野は同じ戦い方で退けている。ならば、
……容赦は無用ですっ!
ハルカはあらゆる魔法を、幾重にも重ねてぶち込んでいく。




