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ワールド・セネカ  作者: FRIDAY
弐 天使を従えた少女
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26/51

To Be Continued…

 どことも知れない雑居ビル。その中にある一室に、人影はふたつあった。

 一方はブラインドの降りた窓にもたれかかった男。

 そしてもう一方は、応接用のソファにだらしなく足を投げ出して座る少年だ。


「――それで? 今回の仕事は?」


 少年がぞんざいに問うと、男は無言で大判の茶封筒を投げて寄越した。

 鋭角に飛んだそれを眼前で受け止め、少年はその封筒を開封する。


「お前も話には聞いているだろう。あの『至高の三師』真柴(ましば)・鈴沙(れいさ)が完成させたというホムンクルス七式。今回のターゲットはそれだ」

「へえ、七式。本当に完成してたんだ」


 書類とともに出てきたのは、クリップで留められた写真だ。

 写っているのは、純白のゴスロリ少女。

 ふーん、と眺めていた少年だが、手触りからその写真の下にもう一枚重なっていることに気付く。それを何気なくめくった少年は、これは、と目を見開いた。


「……こいつは?」

「そのガキが、最近七式と契約したとかいう奴だ。どうやら全くの素人らしいが、既に何度か七式狙いの人形遣いを退けている」

「へえ、素人が。なかなかやるもんだね。その辺りも、七式のお陰なのかな?」


 小バカにするような物言いの少年に、さあな、と男は煙草に火をつける。

「今回のお前の任務はその七式の回収だ」

「こっちのガキの方は?」

「歳はお前と大差ないと思うがな……そっちは好きにして構わん。だがまあ、七式を回収するには契約者は、処分するのが一番手っ取り早いよな」


 暗に抹殺を仄めかす男に、成程、と少年は小さく笑った。

 凶悪な笑いだ。


「それじゃ、確かに了解したよ。期限はいつまで?」

「可能な限り早く、だ。お偉方はより迅速な吉報を御所望さ。いつだってそうだろう」

「そうだね」


 応じるなり勢いをつけて少年は立ち上がった。書類は机の上に投げ出したまま、写真だけをポケットに差し込む。

 その背を漠然と眺めていた男だったが、少年が部屋を出ていく寸前に、ああ、と思い出したように声をかけた。


「言うのを忘れるところだった。まあ、俺には大して意味のある情報じゃないんだが、お前にとっては大事(おおごと)だろう」

「何さ。もったいぶるね」


 半身退出しかけつつ、視線だけ男に投げる。男は紫煙(しえん)の向こうから、軽い調子で言った。

「お前はまだ知らんようだが、そのガキ、この間は秋東(ときとう)・七星(ななせ)とトルクシュタインをも倒したそうだ。お前、確かその秋東を探してたんだろう? どうやったのかは知らんが、あの『翔光(しょうこう)』をどうにかできる奴のようだから、油断はするなよ」

「――へえ、あの秋東さんを。そのガキが? ……へえ」


 少年の雰囲気が、明確に変わった。

 それまではどこか気だるげな様子を漂わせていたのに、一変して全てが鋭角になる。

 猛々しく、好戦的に。

 そして、明らかに面白がるような。


 心底楽しそうでありながら見る者を凍り付かせるような笑みを浮かべ、少年は頷いた。

「御忠告どうも。心しておくよ……でもどうやら、容赦や遠慮はいらないようだ。何ていったって、僕の秋東さんを傷つけたっていうんだから……徹底的に、ぶっ潰してやる。協会認定の『人形狩り』である、この向日(むかえび)・相馬(そうま)がね」


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