あっけなくは、終わらない
「――ふん。あっけなかったわね」
四階建て校舎の屋上、そのさらに上空に浮かび、秋東は詰まらなさそうに鼻を鳴らした。
秋東を空中にとどめているのは、傍らに浮かぶ天使の力だ。翼の隙間から差し出されたトルクシュタインの手を取ることで、秋東も支えを必要とせず上空にいる。
見下ろすのは、先程まで自分が立っていた校舎の屋上だ。しかし既に、トルクシュタインの攻撃で原形とどめず半壊しており見る影もない。光爆の余波を避けるため同時に上空へ上がったのだが、正解だったようだ。少々派手にやり過ぎたくらいかもしれない。
「ま、いいわ。これで当面の憂いはない。あとはいよいよ七式とやらを処分に――トルク?」
移動を促す秋東に応じず、半ば瓦礫と化している校舎を見下ろすトルクシュタインに、秋東は怪訝な思いを抱く。しかしすぐにその理由に思い当り、まさか、という思いで同じく下界を見下ろす。
厚く立ち込めていた土煙が、ようやく晴れていく。そのお陰で、だんだんと校舎の全景が露わになる。秋東の見下ろす中、辛うじて残った無事な屋上部分にいるのは、
「……へえ。そう。ちょっと甘く見過ぎてたのかしら」
再び冷酷な色を顔に浮かべ、秋東は吐き捨てるように言う。
「個別に処分することはできなかったわけか……結界はちゃんと張ってあったんだけど、ぶち破ってきたの? ま、いいわ……手間が省けたってことでしょ」
ふん、と尊大に鼻を鳴らす。
「今度こそ……その人形ごと、消し飛ばしてやるわよ、吉野・徹平くん」




