失恋
彼女は悟る。自分の初恋が実らないことに。散りゆく運命だと言うことに。
どうして好きになってしまったのだろう。彼のことを幼い頃からの恋慕を。
いつまでもいられると思っていた。けれど彼は向いている。1000年に及ぶ純愛を。
年の差なんて関係ないと思っていた。けれど彼のことを考えると胸が苦しくなる。
自分の方を向けてくれるその顔は、優しさに満ちている。憂いを帯びて。
罪な人だと皆が言う。だけども、平和があるのは彼のおかげでもある。
生きる礎。それが彼。彼の手によって、この平和が守られている。
脅かす者たちは彼の手を恐れていった。撃退されていった。昔のことだと彼は言う。穏やかに。
守るべきものを守っている。それだけにすぎない。それが彼という存在だった。
巨大な存在。だと言うのに、恋愛沙汰になると、その恋は実らない。彼女もその1人となってしまった。お互い長命な存在だというのに。長い時の差は広がっている。
子供が大人に憧れを抱くようなものだったのかも知れない。それに気づくのに時間はかからなかった。
彼と過ごした日々が思い出される。小柄な彼の背中はとても大きかったのを思い出す。背負うべきものの大きさかもしれなかった。父の背中のように。
彼女は決めた。前を向いていくことを。新たな恋は自ずと見つかるだろうと信じて。
失恋の涙は辛いもの。それでも、前を向いていくしかない。新たな恋の相手は誰になるのだろうか。そして、恋の魔法は、どのような愛へと成るだろうか。
それは彼女自身、分からないものであるーー。




